オープニングの軽い響きにびっくりしたStefano BollaniのECM新作
"Joy in Spite of Everything" Stefano Bollani (ECM)
このアルバムのリリースが告知された時に,メンツの意外性に驚いたのは私だけではないだろうと思う。何てたって,Stefano BollaniのトリオにゲストがMark TurnerとBill Frisellである。Turnerはさておき,Frisellがどんな演奏をするのか期待と不安があい混じった人は多いのではなかろうか。そのアルバムが先日デリバリーされたのだが,その冒頭から,私としては意表を突かれるような演奏ぶりに驚いてしまった。一言で言えば,ECMらしくないのである。
ECMと言えば,こっちの勝手な思いこみかもしれないが,サウンドはクールな感じがするように思えるし,清冽な美学を実践する音が出てくると考えてしまうのだが,この作品の冒頭に収められた"Easy Healing"はそういう感じがしないのである。このリズム,何かを想起させるなぁと思っていたのだが,ふと思い当ったのがChick Coreaの"Friends"であった。楽器編成は全然違うのだが,何ともハート・ウォーミングな感覚を醸し出していると言えばいいだろうか。まさしく私にとって,こうした響きは意外と言えるものだったのである。Bill Frisellもサウンド的にはいつもの感じと言えばそうとも言えるのだが,フレージングがやややさしめって感じがする。
2曲目もややECMらしからぬストレートなジャズ的な響きがあり,これはどうなってしまうのかと思えるが,3曲目の"Alobar e Kudra"でゲストが抜けてトリオが抜けるや,いかにもECMのピアノ・トリオ的な響きに変化するのが面白い。TurnerもFrisellもECMに録音歴があるからこそ,こういう展開は不思議に思えるのである。私としては,やはりECM的なるものがより強固に打ち出される方に魅力を感じる。だが,冒頭の2曲以降はそれっぽくなるので,ECMファンでも全然問題ないだろう。"Teddy"なんてBollaniとFrisellのデュオだし...。それだけ,1曲目が異色に響くのだが(笑)。
全体を通してみれば,全然問題はないとしても,この異色の響きをどう捉えるかによって評価は変わってしまうように思う。私としては一貫した響きを求めてしまうので,星★★★★ってところだろうなぁ。
Recorded in June, 2013
Personnel: Stefano Bollani(p), Mark Turner(ts), Bill Frisell(g), Jesper Bodilsen(b), Morten Lund(ds)
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やっとCD聴きブログアップの復活です。この夏場はECMその他の欲しいCDの発売数が少なかったので、助かった面もありました。
このところサイドやゲスト参加が少なかったビル・フリゼールですが、こういう演奏なら大歓迎です。ちょっと曲により、カラフルな(?)サウンドの印象を受けますが、個人的にはけっこう好きな方でした。最近はECMも自由にやらせてくれる印象を持ちました。
TBさせていただきます。
投稿: 910 | 2014年9月26日 (金) 13時43分
910さん,おはようございます。返事がおそくなりました。TBありがとうございます。
おっしゃる通り,最近のEicherは自分の美学をあまり押しつけなくなったのかなぁって気がする演奏ですね。メンツは異色とも言えますが,収まるところには収まったって感じだと思います。
ということで,こちらからもTBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2014年9月28日 (日) 10時31分