誤解を恐れずに言うが,私はKarajanが苦手である。でも例外もあるってことで。
"Also Sprach Zarathustra" Herbert Von Karajan / BPO (Deutche Grammophon)
私のクラシック音楽に対する審美眼なんてはっきり言って大したことはないが,それでもやはり好き嫌いがあるのも事実である。例えば,ピアニストで言えば,Argerichは好きでもPolliniには入れ込めないということもあるのだ。そんな中で,私にとって長年微妙であり続けてきたのがKarajanである。この人のやっている音楽はレベルが高いのはわかるのだが,平均的に優れているという感じがしてどうもダメなのである(私の天邪鬼ぶりの炸裂)。極論承知で言えば,例外は「ばらの騎士」と「惑星」ぐらいかなんて思っている。その他にもBernsteinのマラ9が出るまではKarajan盤がいいと思っていたが,苦手なものは苦手なのだ。そんな私でも,この人でなければダメだって言う演奏もあると思わせるのが本作である。後のデジタル再録音盤ではなく,「ツァラトゥストラ」に限ってはこの「1973年盤」でなければならないのだ。
「2001年宇宙の旅」のおかげで,クラシックを聞いたことがない人間でも,この曲の冒頭は知っているって感じになっているが,私にとっては,曲を通しで聞けば,それほどの名曲か?とも思えるというのが正直な感想である。しかし,そんな私でも,この曲を真っ当に聞き返してもいいと思えるのはこの演奏ぐらいではないかと思う。私も,この曲については何人かの指揮者による演奏を聞いてはいるものの,この1973年盤に聞かれるような緊張感はほかのどの指揮者でも,彼本人のアルバムでも聞けたことはないと言いきってしまおう。別のアルバムとの抱き合わせで買って,久しぶりに聞いたのだが,まじでこれは大したものである。
いやぁ,それにしてもよく出来たCDである。LPとは異なり,「ツァラトゥストラ」のみならず,「ドン・ファン」も「ティル」も入っているのだ。まぁ,リヒャルト・シュトラウスの管弦楽作品を聞くのであれば,これから間違いなくこれに依存するだろうって演奏である(そもそもそんなに持ってないが...)。基本的にはKarajanが好きになれなくても,これに関しては間違いなく星★★★★★と言えるものである。
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