音楽ネタも書きます(笑):Benmont Tenchの初ソロ作は渋いねぇ...
"You Should Be So Lucky" Benmont Tench(Blue Note)
サッカーのことばかり書いていては,「中年音楽狂日記」と呼べなくなってしまうので,音楽の記事もアップである。リリースされてから暫くになるが,今年発売のものなので,新譜として取り扱わせて頂く。Benmont Tenchと言えば,Tom Petty & the Heartbreakersの番頭と言ってもよいが,ほかのミュージシャンのアルバムにも結構参加して,いいプレイを聞かせる名バイ・プレイヤーである。そんなTenchが還暦を過ぎてリリースした初リーダー作である。しかもBlue Noteレーベルからのリリースなので,一体どんな音になってしまうのかと思ってしまうが,アメリカ的な響きの強い渋いアルバムとなっている。
本作のプロデュースはGlyn Johnsが務めており,その縁でかどうか知らないが,彼の息子のEthan Johnsが全面参加しているのに加え,現在はBlue Noteの社長に収まっているDon Wasがベースを弾いている。バンマスのTom Pettyも1曲でベースで地味に参加している(笑)。こういう音が,現代においてどういう層に訴求するかと言えば,ある程度年季の入ったロック・ファン,即ちはTom Petty & the Heartbreakersを聞いてきた世代というところになり,若い衆には何がいいのかわからんという感じになってしまうのではないだろうか。だが,私のような中年のオヤジにとっては,こういう音楽はまじで落ち着く。確かに刺激はほとんどないと言ってもよいし,今の世代にはこれがロック?と言われてしまう可能性だってあるだろう。だが,ベテラン・ミュージシャンの来日公演に,多くの中年が駆けつける事実からも明らかな通り,中年と言ってもロックへの情熱は失っていないから,Tom Pettyにしろ,本作にしろ,そうした年齢層には十分訴求する「ロック」だと思える。
確かに相当音は渋いので,ブリティッシュ系の音を求めるリスナーにはちょっとイメージが違うと言われるかもしれないが,最後をBob Dylanの"Tempest"に収められていた"Duquesne Whistle"で締めるところにこの音楽の本質が表れていると言ってもよいかもしれない。いずれにしても,ややノスタルジックな響きすら感じさせるアルバムであるが,私のようなアメリカ的な音を好むリスナーにとっては好ましい音楽である。
初リーダー作にしては,何の気負いもなく,非常に肩の力を抜いて作られた佳作。星★★★★。やっぱ渋いわ。
Personnel: Benmont Tench(vo, p, org, g), Ethan Johns(g, ds, perc), Blake Mills(g), Gillian Welch(g, vo), David Rawlings(g, vo), Ryan Adams(g), Don Was(b), Tom Petty(b), Jeremy Stacey(ds, perc), Ringo Starr(tambourine), Eric Gorfein(vln), Daphne Chen(vln), Lauren Chipman(viola), Richard Dodd(cello)
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コメント
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あぁ~いいねぇ~!長年のブログファンでしたから、…らしい内容が好きなのです。初コメントが 挨拶抜きの少々皮肉なものとなってしまいました.Vamos Vamosもよいのですが、唯一の音楽情報ブログとさせていただいておりますので 今後とも宜しくね。さてと、今宵はジョビンのストーン・フラワーでも聞きますか♪
投稿: シマチャン | 2014年6月17日 (火) 21時19分
シマチャンさん,続けてこんばんは。皮肉でもなんでもかまいませんので,引き続きご愛顧下さい。
それにしても,Jobimの"Stone Flower"ってのが渋いっすねぇ。
投稿: 中年音楽狂 | 2014年6月17日 (火) 23時00分