Rypdal~Vitous~DeJohnette:ECM的な音,再訪。
"Rypdal Vitous DeJohnette" Terye Rypdal / Miroslav Vitous / Jack DeJohnette (ECM)
今日はWolfgang MuthspielのECM第1作について書こうと思っていたのだが,通勤中に聞いていたこのアルバムに夢中になってしまったので,温故知新ということで方針変更である。
色気も何もない,ミュージシャン名だけを並べたタイトルだが,逆に言えばそれだけで十分と言ってもいいようなメンツであり,これぞECMという感じの音が冒頭から全編に渡って展開される。この演奏を聞いていると「浮遊感とスリルのミクスチャー」いう表現しか思い浮かばない(我ながらボキャブラリーが貧困である)。だが,まさにそういう音なのである。そして,この音はこの3人しか出せない音だというのが素晴らしい。
振り返れば,過去のECMにはいろいろなミュージシャンの意外な組合せによる共演というのが結構あったが,最近はそういうのがめっきり減ってしまった。しかし,Manfred Eicherのプロデュースのもとに,ミュージシャンがどういうケミストリーを生じさせるかというのは非常に面白い取り組みであったと思う。本作もそうしたタイプのアルバムであるが,3人がそれぞれに個性を持った人たちでありながら,ここでは非常にすぐれたバランスの音楽を聞かせていると思う。それでいて,馴れ合いのようなところは感じられず,レギュラーで活動しているような緊密度を感じさせるのは,さすが実力者って感じである。このアルバムの成功に気をよくしてか,続編"To Be Continued"も制作されたのは,やはりEicherも彼ら3人もこのアルバムの出来を認めていたことの証左である。
いずれにしても,いかにもECMだなぁと思わせるに十分な快作。DeJohnetteのギター・トリオと言えば,John AbercrombieとやったGatewayの諸作が思い出されるが,あれはあれで優れたバンドではあるが,私はこの3人の方が好きかなぁ。あくまで感覚的なものではあるが,やっぱりこのアルバムはよく出来ている。星★★★★☆。Rypdalのギターは環境音楽一歩手前と言われても仕方がない部分もあるが,それをVitousとDeJohnetteが塩梅よくジャズの世界に留まらせていると言ってもよい。次はJohn Abercrombieに申し訳ないので,Gatewayを聞きながら通勤してみるか。そんなことを言いだすと,いつまでもMuthspielの記事が書けないなぁ(笑)。
それにしても,こんなアルバムを通勤時間に聞きながら夢中になっている私も相当の変態だとは思うが,それでもいいものはいいのである(きっぱり)。Vitousがあまり得意でない私ですらそう思うぐらい,このアルバムはよい。VitousとDeJonetteの相性のよさはまさに意外ではあるが,ミュージシャン同士の交歓とはこういうものであろう。気まぐれで聞いたにもかかわらず,本当に夢中で聞けた。
Recorded in June, 1978
Personnel: Terye Rypdal(g, g-synth, org), Miroslav Vitous(b, el-p), Jack DeJohnette(ds)
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