Brendel~Levine~CSO:ベートーベンのP協奏曲は苦手だが,これは例外だなぁ。
"Beethoven: The 5 Piano Concertos" Alfred Brendel / James Levine / Chicago Symphony Orchestra (Philips)
GWの休暇を使って,実家の雑事の手伝いに行っていたのだが,実家に置きっぱなしのソフトの整理をしていて,久々に引っ張り出してきたものである。私はそもそもベートーベンのピアノ協奏曲を苦手としていて,積極的に聞く気になれない代表みたいな感じになっているのだが,このCDを聞いて,その認識を改めてしまった。これほど,私に抵抗感なく訴求してきたベートーベンのピアノ協奏曲はほかに例を見ない。
だったら,手許に置いておいて聞きゃいいじゃないかという話もあって,まさにそう言われると返す言葉がないのだが,その理由はこの3枚組CDの構成にあったのである。CD1には3番と1番の1楽章だけが収められており,1番の2楽章以降と5番がCD2,2番と4番がCD3に収録という演奏の連続性が維持できない構成(CD1と2)によって,まともに聞く気が起こらなかったのである。だが,iTunesという便利なものができて,音はさておき,連続して曲を聞けるようになると,私の心にこれほどスッと入ってきたP協はないとついつい思ってしまった。
家に帰って,リッピングしたこの全集を,用事で出掛けた道すがらずっと聞いていたのだが,本当にスムーズに耳に入ってきたし,演奏も素晴らしいものであった。多分,私がこの演奏が好きなのは,ベートーベン的なゴリゴリ感とか暑苦しさがないところにあるのだろうと思うが,これほど心地よくこれらの曲を聞いた記憶がない。
いずれにしても,これまでCDのフォーマットを言い訳にして,これを押し入れの奥にしまい込んでいた自分を恥じた私である。これなら,何回でもリピートできると思えた素晴らしき名演。星★★★★★。そう言えば,私はこれのLPも持っていたはずだが,一時的な資金難に陥って売ってしまったのは,今にして思えば痛恨事である。まぁ,遅ればせながらちゃんと魅力に気付いたのだからよしとしよう(苦笑)。
Recorded Live at Chicago Orchestra Hall between June 14 & 20, 1983
Personnel: Alfred Brendel(p), James Levine(cond), Chicago Symphony Orchestra
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