なぜかモーツァルトが猛烈に聞きたくなって...。
"The Piano Sonatas Complete" Christoph Eschenbach(Deutsche Grammophone)
本当に突然なのだが,猛烈にモーツァルトの音楽が聞きたくなって,Ashkenazyのピアノ・コンチェルトやらこのアルバムやらを通勤途上で聞き続けている私である。
実はこのピアノ・ソナタの全集は父の遺品である。私の父は本当にモーツァルトの音楽を偏愛していたと言っても過言ではなく,モーツァルトの作品をケッヘル番号で呼ぶ父に,私の若かりし反抗期には「けっ,てやんでい!」なんて思っていたのも事実である。だが,そうは言っても亡くなるまで父が最も愛した音楽はモーツァルトであることを考えれば,私の(クラシック)音楽観に相応の影響を及ぼしたのも一方では事実である。
そして,なぜ父がこのピアノ・ソナタをよしとしたのか。それはもう本人には聞けないが,ギミックを排し,ストレートに弾き切った演奏を評価していたのではないだろうか。つまり,演奏家としてのエゴを示すことなく,作曲家モーツァルトに対するリスペクトに溢れた演奏をしたことにより,曲本来が持つ魅力を更に引き出したということだったのではないかと思える。
そうした意味において,モーツァルト好きであるがゆえに,父はそういうことを直観的あるいは論理的に理解して,ここでの演奏を好んでいたのではないかなんて考えてしまった私である。
いずれにしても,亡き父への感謝も含めて星★★★★★としてしまおう。
Personnel:Christoph Eschenbach(p), Justus Frantz(p)
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