Colin VallonのECM第2作:デリバリーされてから結構経つが,ようやくアップ。
"Le Vent" Colin Vallon(ECM)
手許にCDは結構な数がデリバリーされているものの,3月は異常に多忙で,ちゃんと聞いている時間が取れなかった。ここに来てようやく時間も少しは取れるようになり,このアルバムもようやく聞いたって感じである。
Colin Vallonと言えば,ECM第1作"Rruga"をリリースしたのが約3年前。これは彼のECMレーベルにおける第2作となるが,前作を評して私は「中音域が中心で,かなり落ち着いた響きを醸し出している」と書いている(記事はこちら)が,その印象は本作でも変わらない。ECMらしいクールで静謐な音楽である。前作からの変化はドラマーの交代であるが,基本路線は同じと考えてよい。ただ,前作で聞かれた現代音楽的なアプローチは影を潜め,静的な音楽で統一しているイメージが強い。これは前作がメンバーの曲を持ち寄ったものであるのに対し,今回はVallonの曲が中心になっているからかもしれない。
冒頭の"Juuichi"とは11を意味しているのかはよくわからないが,不思議な変拍子なので,11拍子にでもかけているのだろうか?とにかく不思議な感じの曲である。その後もアルバムを通じて,ある意味環境音楽のような音楽が流れ続ける。感覚的にはフランス映画のBGMのようだと言ってもよいかもしれないぐらいの感じなのである。鳴っていても何の妨げにならないだろうが,一方で耳をそばだてる瞬間もないわけではない。そうした音楽であるから,実は純粋に音楽としての評価は難しいのだが,それでもやっぱりECMだよねぇという音である。極めて詩的と言うべきか。
だが,残念ながら本作には強烈な個性というものが感じられない。ECMの膨大なカタログの中で,このアルバムを改めて取り出す機会が何度訪れるかはやや微妙である。私にとってはECMのピアノ・トリオであれば,もっと聞きたくなるアルバムが何枚もあるっていうことである。そうした点を鑑みれば,星★★☆程度が適当な評価と思う。ECMだからこそ成り立つのであって,これが別のレーベルからリリースされていたら,注目度も全然違ったと思える一作。
唯一ビートらしきものが現れる"Pixels"(それでも途中でビートはなくなる)などを聞いていると,やっぱりフランス映画のサントラみたいなのだ(笑)。う~む。フランス映画のサントラが嫌いって言ってるんではないのだが...。
Recorded in April, 2013
Personnel: Colin Vallon(p), Patrice Moret(b), Julian Sartorius(ds)
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この人、ECMから出さなければ評価はあまりされないような気がしますが、ゆったりと繰り返されるようなフレーズを聴いていて、不思議なトランス感覚にハマるので、それも、まあ、面白いかなあ、なんてことを考えました。
TBさせていただきます。
投稿: 910 | 2014年4月 8日 (火) 07時31分
910さん,こんばんは。TBありがとうございます。
私もECMは好きなので,こうした音に抵抗はありません。ですが,音楽としてあまり面白みを感じなかったんですよねぇ。あまりこういうことってないんですが,この人のピアノが中音域過多ってのが影響しているように思えます。
でも,次に聞いたら,全然印象が違うかもしれませんね。
投稿: 中年音楽狂 | 2014年4月 9日 (水) 21時06分
音楽狂さん、おはようございます。
コメント、リンクありがとうございました。
このトリオ初めて聞いたんですが、ベースやドラムスが表に出なさすぎでビートを感じられず、かといって流しておくBGMにしては暗すぎるし、日常いつ聞くのがいいか困る作品でした。この暗さはこれはこれでいい気もするんですけどね。
TB代わりにリンク張らせて頂きます。
http://musicpromenade.blogspot.com/2014/04/colin-vallon-trio-le-vent.html
投稿: とっつぁん | 2014年5月 4日 (日) 05時26分
とっつぁんさん,おはようございます。リンクありがとうございます。
おっしゃる通り,日常いつ聞くのがいいかは考えちゃいますね。この人,もとからこんな感じではありましたが,1作目よりも更に中庸化(中音域化,変化の乏しさ)が進んでいるように感じられました。それが私の評価を下げた最大の理由です。
まぁ,これはこれでいいんでしょうけど,ここまで行くと私としてもちょっとなぁ...って感じです。
投稿: 中年音楽狂 | 2014年5月 5日 (月) 10時41分
普段、どんな音楽を聴いているかによると思います。
『ジャズってこうだ』って思いが強い人は、そいういう音楽を聴いたらいいと思います。
たぶん、Nirvana や Radiohead より Keith Jarrett や Monk の音楽が高尚だと思ってる人にはあんまり響かないんじゃないかな?
好きなアルバムにケチ付けてるように感じたので、イヤなコメント残しておきますね (*^^)v
投稿: すれ違いの音楽 | 2025年11月18日 (火) 16時45分
すれ違いの音楽さん,コメントありがとうございます。
>普段、どんな音楽を聴いているかによると思います。
>『ジャズってこうだ』って思いが強い人は、そいういう音楽を聴いたらいいと思います。
私は間口は広い方だと思いますが,このアルバムに関しては好き嫌いの問題です。私は彼らの音楽を全面的に否定している訳ではないですが,このアルバムは私の嗜好には合わないということです。まぁ全否定でないことは来週,彼らのライブを観に行きますから,その辺でご理解を。私の感覚がライブの場でどうかによって,彼らへの評価は変わるかもしれません。
>たぶん、Nirvana や Radiohead より Keith Jarrett や Monk の音楽が高尚だと思ってる人にはあんまり響かないんじゃないかな?
ご想像されるのは自由ですが,上記は私には当てはまりません。私はNirvanaもRadioheadもKeithもMonkも全部聞きますから。
>好きなアルバムにケチ付けてるように感じたので、イヤなコメント残しておきますね (*^^)v
何でもかんでも褒めてたら,廃刊前のスウィング・ジャーナルみたいですわ。自分にとって好きか嫌いか,いいか悪いかがあるのは当たり前ですし,あくまでも個人の趣味の問題ですから,すれ違いの音楽さんの嗜好に私はどうこう申し上げるつもりはありません。
投稿: 中年音楽狂 | 2025年11月18日 (火) 17時38分
ご返信ありがとうございます。
中年音楽狂さんに文句いいたいというよりかは、このスレでのコメントのやり取りにってことだったのですが、まあ、それはそれとして。
こうやって、日本語で音楽を紹介されていることに敬意を表しつつ、
> 来週,彼らのライブを観に行きますから
この辺も流石だなと思いつつ。
彼らの音楽は、それよりも古い世代とは少し違う、どちらかというと、エレクトロニカやアンビエントのような、それとも違うような、何かがあると思うんですよね。
聴き時という意味では、仕事中に聴くと集中高まります。
そうい意味では、Eno や Raich や教授や、Autechre や。。。
ライブ楽しんでください!
また記事読みに来ます。
投稿: すれ違いの音楽 | 2025年11月18日 (火) 18時12分
すれ違いの音楽さん,おはようございます。
>ご返信ありがとうございます。
こちらこそありがとうございます。
>このスレでのコメントのやり取りにってことだったのですが、
コメントをくださっている皆さんも相応に音楽には造詣が深い方々なので,趣味,嗜好の問題だとお考え下さい。
>こうやって、日本語で音楽を紹介されていることに敬意を表しつつ、
痛み入ります。
>また記事読みに来ます。
引き続きよろしくお願いします。
投稿: 中年音楽狂 | 2025年11月19日 (水) 07時05分