Claudio Filippiniの新作はあまりに普通で面白くない。
"Breathing in Unison" Claudio Filippini (CAM Jazz)
私はClaudio Filippiniの初リーダー作である"Enchanted Garden"を聞いた時に,結構辛口の記事を書いた(記事はこちら)が,そのピアノ・タッチの美しさは認めつつも,今ひとつアルバムに一貫性を感じられず,なんだかなぁって気がしていた。そんな評価だったので,彼の第2作である”Facing North"が出た時も買っていない。ベースがPalle Danielssonなのだから,買っていても不思議はないのだが,食指が動かなかったのだ。だが,今回は気まぐれ,というか抱き合わせでディスカウントにしようというせこい根性が働いて注文したのだが,これははっきり言って失敗だったと言える。
演奏そのものの質は決して低くないとは思う。だが,本作を一聴して抱いた私の感想は「なんだか普通になっちゃったなぁ」というものだった。そう思わせる理由として顕著なのは,緊張感に乏しく,カクテル・ピアノ一歩手前になってしまっている演奏が結構あることだ。冒頭の"Modern Times #evolutions"こそ,プレリュードとしてなかなかの出だしだと思えたのだが,その後がよくない。美しさこそ感じさせる部分はあっても,ジャズとしてのテンションが感じられないから,こっちとしても「だらけた」気分で聞いて(聞けて)しまうのだ。だから,思わず膝を乗り出すというような反応をこっちとしても示しようがない(きっぱり)。"The Sleepwalker"でやや持ち直したかと思わせるが,これとて決してレベルが無茶苦茶高いわけではない。いかにもECM的にやってみましたっていう感じの演奏なのだが,ECMの持つ清冽な響きには至っていない。6曲目の"Night Flower"なんて気の抜けたPat Methenyのようである。最後の名曲"The Dark End of the Street"も全くソウルのディープさとは無縁の極めて平板かつ平凡な演奏に留まっているのが,ソウルも好きな私にとっては許容できない。
全編を通してそんな感じなので,聞いていて不愉快になるってほどではないが,やっぱり今イチ面白くない。FilippiniはEnrico Pieranunziをメンターとしているはずだが,Pieranunziはこんなに軟弱な演奏はしない。私はClaudio Filippiniというピアニストはもっと期待できるピアニストだと思っていたが,30歳そこそこでこんな演奏をしているようでは先が思いやられる。その理由には,ここでの録音が影響しているような気もするが,それでもこれでは今後の購入はありえないだろう。この程度ならば星★★で十分である。Fulvio Sigurtàとやったデュオ・アルバム,"Through the Journey"が結構よかっただけに,今回は完全に期待を裏切られた気分だと言っておこう。私の本盤への評価は,駄盤と言うよりも,期待に応えられないFilippiniへの批判だと思って頂ければ結構である。これでは次は自発的には買うことはないだろう。
Recorded on April 17-19, 2013
Personnel: Claudio Filippini(p), Palle Danielsson(b), Olavi Louhivuori(ds)
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朝晩の寒さも少し和らいできましたね。 おかげで、ブナの葉っぱがいっきに開き若々し [続きを読む]
» オクサンに捧ぐ BREATHING IN UNISON / CLAUDIO FILIPPINI [JAZZ最中]
クラウディオ・フィリッピーニと言うピアニストのアルバムが幾つが出ているのはしっていたけれど機会がなくてこのアルバムが初めての出会いです。
1曲目若者らしいはっきりしたラインから始めました。
2曲目“As Time Goes By”を結構メロディ重視で弾いていきます。
...... [続きを読む]
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閣下、、
厳しいな。って、わたしはそこまで批判する気持ちにはなれないな。
少なくとも、わたしの気持ちを優しくほぐしてくれたし、三人のやり取りも繊細で気持ちよかったですよ。
部屋にお花を飾るように このアルバムを選んで 自分で淹れたお気に入りの珈琲を飲む。。
大変至福の時間でございました。
投稿: Suzuck | 2014年4月25日 (金) 21時12分
音楽狂さん、おはようございます。
とても平易な演奏に終始しているので、ジャズ的に求めるものからするともの足らないアルバムだと思います。でも休みたい時にはとても心地よいし、家人のお気に入りにもなっているし、ニーズはあると思ってます。あえてかどうかわかりませんが、こういう平易な内容ものを作ったこと自体面白いなぁと。
Alessi&Herschのデュオのアルバムと近いものを作ったフィリッピーニの幅を感じたアルバムでした。
リンクを張らせて頂きます。。
http://musicpromenade.blogspot.com/2014/04/claudio-fillippini-trio-breathing-in.html
投稿: とっつぁん | 2014年4月26日 (土) 05時40分
Suzuckさん,おはようございます。TBありがとうございます。
まぁ,私はこの人と相性が悪いってことになるんでしょう。とにかく気に入らない。そういうこともありますよ。
Suzuckさんが記事をアップされた時には,既にこの記事を私は書き終えていて,そういう見方もあるかもなぁなんて思って聞き直してみたものの,残念ながら私の感覚に変化はありませんでした。
Suzuckさんとは似通った感覚を持っていると思いますが,例外もあるってことがよくわかりました(笑)。
ということで,追ってTBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2014年4月26日 (土) 06時37分
とっつぁんさん,おはようございます。記事のリンクありがとうございます。
Suzuckさんへのコメント同様となりますが,とっつぁんさんの記事がアップされた時にはその感覚の違いに,私の記事のアップを躊躇したというのが事実です。
しかし,今回はどうしてもダメって感じで,私はこの人の音楽が本質的に苦手なのかもしれないなぁって思いました。まぁ,人間ですから,違いはあって当然ですね。ということで,後ほど,改めてお邪魔致します。
投稿: 中年音楽狂 | 2014年4月26日 (土) 06時45分
音楽狂さん、こんにちはmonakaです。
私この人初めてだったので1曲目でいいとおもいました。そのとバラッド調ばかりつづくので、ぼやけた感じうけますが、これは意識的だときずきました。タイトル、ジャケをみて訳を推測し納得しました。
TBいたします。
投稿: monaka | 2014年4月27日 (日) 13時47分
monakaさん,こんにちは。TBありがとうございます。
冒頭の出だしは私もいいと思いました。その後がいけません。意識的にしても,個人的な理由があるにしても,何にしても,私にとってはつまらない1枚のアルバムに過ぎませんでした。ということで,私自身が気に入らないなら,次は買わなきゃいいだけのことなので,私は現段階では彼については打ち止めにしようと思います。つれないようですが(苦笑)。
投稿: 中年音楽狂 | 2014年4月27日 (日) 14時16分