Alan Parsons Projectのボックス・セット:未発表音源には絶句...
"The Complete Album Collection" The Alan Parsons Project(Arista)
私はAlan Parsons Project(APP)のファンであるが,手許にあるのはベスト盤と"Eye in the Skey"のみという状態だったので,「それでファンと言えるんかいっ?!」と問われれば,「申し訳ございません」と答えざるをえないだろう。しかし,今回,彼らのキャリアを振り返るボックス・セットが発売されることになり,未発表となっていたアルバム"The Sicilian Defense"も含まれての再発ということで,購入に至った。
ほかのアルバムは追って聞き返すことにすればよいとして,今回はいの一番にその"The Sicilian Defense"である。ライナーによれば,本作は"Eve"の後に,わずか3日間で録音されたとのことであるが,この頃,APPとレコード会社(Aristaということであろう)がもめていたらしい。しかし,アルバム制作契約が残っていたため「無理矢理」吹き込んだ作品ということで,その制作の経緯からしても真っ当なものにはならないだろうと想像させるものである。
そして,聞いてみたら,それこそAPPらしいメロディ・ラインがないわけではないが,まるで演奏としては力が入っていないインスト作となっているのには,本当にレコード会社ともめてたのねぇと思わせるものである。まさに「無理矢理感」たっぷりなのだ。歌は全くなし,リズムもほとんどなし,基本は打ち込みとキーボードだけというところに,「どうでもええわ」って感じが強く出ている。アルバム・タイトルとなった「シシリアン・ディフェンス」とはチェスのオープニングの定石で,曲名はロシアのチェスのグランドマスター,スベシニコフのヴァリエーションから取られているとのことである。そこまでやらなくてもと思わせるが,これがもめごとのもめごとたる所以である。いずれにしても,この作品,音楽としてはちっとも面白くない。お蔵入りして当然のアルバムであったと言える。
Alan Parsons本人からして"The Sicilian Defence album was never released and never will be, if I have anything to do with it. I have not heard it since it was finished. I hope the tapes no longer exist."とまで言っているのだから,中身のほどは推して知るべし。
なので,本作を目当てにこのボックスを購入すると痛い目に遭うが,私は彼らの作品をアルバム単位で聞いたのは実は3枚しかなかったので,今一度APPの楽歴を振り返り,彼らの魅力を再認識するためには丁度いい機会だったということにしたい。
« 病に臥せった時には最適だったMyung-Whun Chungのピアノ曲集 | トップページ | David Lettermanの引退発表... »
「ロック」カテゴリの記事
- Robert Plantの”Saving Grace”:渋さの極致。昨年聞いていればベスト作確実だった...。(2026.03.12)
- よくできたコンピレーションなのに廃盤なのが謎なGeorge Harrisonの"Best of Dark Horse 1976-1989"。(2026.02.26)
- "Sittin’ in":相当前に買ったまま放置されていたアルバム。(2026.03.02)
- これって本当にSeamus Blake?って思わせるオルタナ・ロックの世界。(2026.02.05)
- Stephen Bishopのベスト盤を久しぶりにプレイバック。(2026.01.22)
「新譜」カテゴリの記事
- またもAlice Sara Ottが放つ超美的ピアノ音楽。(2026.03.11)
- クリポタの新譜への期待が高まる。(2026.03.08)
- Jeremy Peltの新作をストリーミングで聞く。タイトルに込めた意図ほどは激しくはないがいい出来だ。(2026.03.05)
- Kris Davisによる越境型音楽。もはや現代音楽と言った方がよいだろう。(2026.02.24)
コメント
« 病に臥せった時には最適だったMyung-Whun Chungのピアノ曲集 | トップページ | David Lettermanの引退発表... »





































































APPはどれと言って傑作がなくて困ります(笑)。必ず素晴らしい曲とどうでもよい曲が入り混じりますね。私の好きなのは、Vulture CultureとAP名義でのOn Airでしょうか。しかし、APの録音はいつ聞いても素晴らしいと思います。
投稿: カビゴン | 2014年4月 5日 (土) 18時34分
カビゴンさん,こんにちは。
「APPはどれと言って傑作がなくて困ります」というのはまさしくおっしゃる通りと思います。なので,ベスト盤を持っていれば事足りるって話もありますね。
アルバムで言えば,私は"Eye in the Sky"が一番いいと思っていますが,AP名義になってからはやはりEric Woolfsonの声の不在がどうにも痛いって気がしています。Woolfsonも最初から歌っていたわけではないですが,やはりあの声は魅力的でした。
投稿: 中年音楽狂 | 2014年4月 6日 (日) 15時33分