児玉桃:このピアノの響きに身を委ねたい
"La Vallée Des Cloches" 児玉桃(ECM New Series)
これまでECMレーベルにおいて日本人の単独リーダー作は菊地雅章の作品があるだけだと思うが,それに続く作品として出てきたのがクラシック系の児玉桃である。やっているのはラヴェル,武満,そしてメシアンというのが,いかにもECMらしいが,これがなかなかよい。
収められている曲の中では「道化師の朝の歌」が最も有名かなぁと思うが,ピアノでこの曲を聞いたのは私は今回が初めてであった。だが,もともとはピアノ曲だと聞いて,妙に納得してしまった。その曲を含むラヴェルの「鏡」という組曲が実にECMレーベルとフィットした音楽に聞こえるから不思議なものである。だが,このアルバムの最大の聞かせどころは,児玉桃としてもメシアンの「ニワムシクイ」だと思っていたのではないだろうか。
「鳥のカタログ」の派生版と捉えてもよい大作であるが,正直なところ,私はメシアンがこの曲について語っている内容についてはよくわからない。だが,いかにも現代音楽と言いたくなるようなこの曲が,聞いているうちに快感になってくるのである。アルバム全体を通じても,一貫性の感じられるものであり,このプログラムは実によくできているのではないかと思わせるものとなっているのが素晴らしい。
私はPeter Serkinによるピアノの現代音楽を結構好んでいるのだが,そんな私にとって,ここでの児玉桃のピアノのスタイルが非常にしっくりくるという感じがする。やっぱりこういうのが好きなんだねぇ(笑)。ということで,決して万人にとって聞き易い音楽とは言わないが,この響きに身を委ねていれば,それはそれで楽しい(心地よい)と思えるであろう一作。そして何よりも,日本人の手になるこのアルバムがECMから出たことを素直に喜びたい。ということで,若干の加点も含めて星★★★★★としてしまおう。でもやっぱりちょっとハードルの高い音楽だろうなぁ...(苦笑)。
Recorded in September 2012
Personnel:児玉桃(p)
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北陸に移り住んでまもなく4年半になる。とても長い時間のように感じるし、また短い。最初の1年の時間の長さ、は素晴らしいもので、気持の中のギアを2段くらい落としたような感覚を覚えた。遅く、そして力強い。秒針が流れていくのではなく、明確に刻んでいることが感...... [続きを読む]
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これ、買います!
ストライクな盤ですね。メシアンとか武満ってもっとECMから出ていてもオカシクない、と思うのですが。
投稿: ken | 2014年2月 2日 (日) 07時06分
kenさん,こんばんは。
そうですよねぇ。私も現代音楽のピアノとECMは結構マッチすると思います。もちろん,Sciffのベートーベンやバッハもいいですが,こういう作品ももっと出してもよさそうですね。
投稿: 中年音楽狂 | 2014年2月 2日 (日) 17時47分
初めまして。いつも拝見しています。
児玉桃さんのオフィシャルサイトの動画を見て、
心を揺さぶられました。素晴らしいピアニストですね。
早速ご紹介のアルバムを注文、3/2のリサイタルも
申し込みました。
このような音楽の出会いができ感謝しています。
ありがとうございました。
投稿: いく | 2014年2月 2日 (日) 21時32分
いくさん,はじめまして。コメントありがとうございます。
3/2のリサイタルって成瀬でやるんですねぇ。私は昨年まで町田在住だったものですから,何となく懐かしいですねぇ。
児玉桃の音楽って必ずしも耳に優しくはないかもしれませんが,これは素晴らしい演奏集だったと思います。アルバムがお気に召せば幸いです。
引き続きよろしくお願いします。
投稿: 中年音楽狂 | 2014年2月 2日 (日) 22時09分
このアルバムがようやく届きました。
本当にいいですね。ラヴェルの冒頭の曲が大胆にうねっているのに驚きました。
改めてご紹介に感謝!
投稿: ken | 2014年3月 9日 (日) 10時00分
kenさん,おはようございます。TBありがとうございます。本作,お気に召して幸いです。
これは決して万人に勧められる作品ではないと思いますが,この響き,あるいは本作が生み出すアンビエンスが素晴らしいと思いました。好きな人には堪えられない音ですよね。
ということで,追ってこちらからもTBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2014年3月 9日 (日) 10時31分