超お下劣,でも無茶苦茶面白い「ウルフ・オブ・ウォール・ストリート」
「ウルフ・オブ・ウォール・ストリート("The Wolf of Wall Street")」('13,米,Paramount)
監督:Martin Scorsese
出演:Leonardo DiCaprio, Jonah Hill, Margot Robbie, Matthew McConaughey, Kyle Chandler, Rob Reiner
今年最初の劇場映画がこれである。これは非常に面白い。ただ内容には相当お下劣な部分があるため,これはR18+は仕方がないなぁと思わせつつ,約3時間の尺をものともしない映画に仕立てたScorsese,さすがである。
この映画が実話に基づくというのは全く信じ難いが,実は日本のバブル期にも同じようなことがあったのではないのかと思わせる部分もある。結局は成り上がりの悪党に天罰が下るという話なのだが,全然感傷的なところも,説教じみたとこもなく,破天荒な人生とはこういうものだというかたちで描かれているので,結構笑えてしまうところがこの映画のいいところである。
一方,映画としては無茶苦茶面白いのだが,「良心」がどうのこうのとか言う人間にとってはまさに「何じゃこれは?」と言いたくなるような映画である。だから,この映画が今年のオスカー・レースにおいてどのように評価されるかで,アカデミーの保守性が問われることになるのではないかと思う。私はここでのDiCaprioの演技は認めてあげてもいいと思うし,Scorseseの監督の腕,更には助演賞候補のJonah Hillも見事なものである。だが,ここで所謂「良識」が首をもたげてくると,この映画に対する風当たりは強くなりそうである。結局,これでヒューマニズムの観点で立派な"12 Years a Slave(邦題は「それでも夜は明ける」と言うそうだ)"で大勝してしまったのでは,それはそれで全然面白くないということにもなる。"12 Years a Slave"はまだ日本公開は先なので,予告編を見ただけだが,これは結構,賞レースでは有利な話だろうなぁなんて思ってしまった私である。それに比べると,やはり「ウルフ」はお下劣に過ぎる部分があるのは事実なのだ。
いずれにしても,この映画に対する評価は,これを笑って見られるか,眉をひそめるかという観客のメンタリティに影響される部分大だと思う。私はこの映画を見ていて笑って見ていたクチであるから,娯楽映画として大いに評価したいと思う。世間の「良識」派の皆さんに対するアンチテーゼとしても,私はこの映画に星★★★★★をつけたい。お下劣で何が悪い!映画は映画全体として評価すべきだろうとだけ言っておこう。トータルで見れば,絶対この映画は面白いのである。
そしてもう一点,付け加えておくならば,この映画に出てくる音楽は魅力的である。クレジットをよく見ていると,Executive Music ProducerがRobbie Robertsonとなっているではないか。"The Last Waltz"以来,RobertsonとScorseseの関係は脈々と続くって感じか。選曲の妙を楽しめるのも,この映画のポイントの一つと言っておこう。
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