久々にCecil Taylorを聞いた。
ちょっと前にブログのお知り合いのkenさんが取り上げられていて,ついつい懐かしくなって,音源をダウンロードしてしまったアルバムである。私はこの作品はLPで保有しているはずだが,実家に置いたままになっていると思う。CDには中古市場でとんでもない値段がついているが,ダウンロードなら安いものである。
そして,久々にこのアルバムを聞いて思ったのは,こんなにも演奏時間が短かったのかということである。あっという間に30分強の時間が過ぎていく。Cecil Taylorの音楽は,決して聞き易いものではないから敷居が高いのは当然だが,私も長年いろいろな音楽を聞いてきて,対応能力が増したのか,あるいは何でも受け入れるようになったのかは別にしても,今回の感じ方はやや意外であった。
Cecil Taylorと言えば,2012年にブルーノートでの公演が予定されていながらキャンセルになってしまい残念な思いをしたが,昨年来日して,田中泯との共演を果たしていたことは全然知らなかった。もはや80歳を過ぎて,なかなか来日が期待できないと思っていた割には,こういう情報を把握していなかったのはまさに痛恨である。
ライブの機会は逃したとしても,音源がなくなるわけではないということで気を取り直す以外にはないが,それでもここにはいかにもTaylorらしい音楽が詰まっていると言ってよいと思う。演奏時間の短さは,集中力の裏返しと考えれば,この程度でよかったのだと思える。これが"Air Above Mountains"になると,75分になってしまうので,こっちの体力も大変だってことになるが,このアルバムにはそうしたところがない。ピアノ・ソロだけに騒々しさはないが,それにしてもTaylorの叩き出す音数に圧倒される30分強である。星★★★★☆。やっぱり,Taylorのライブは一度は見ておきたいなぁとつくづく思わされた。
Recorded on May 29, 1973
Personnel: Cecil Taylor(p)
« Tony Williamsそっくりで笑えるCindy Blackman | トップページ | 追悼,Claudio Abbado »
「ジャズ(2014年の記事)」カテゴリの記事
- 2014年の回顧(その4):ジャズ編(2014.12.30)
- ジャズ・ギタリスト,John Scofieldが楽しめるライブ盤(2014.12.25)
- 今頃になって上原ひろみの"Alive"を聞く。(2014.12.23)
- Marko Churnchetz:ショップをうろついて出会ったなかなかナイスなアルバム(2014.12.21)
- コレクターはつらいよ(17):"The Broadway Lullaby Project"にBrad Mehldauが1曲だけ参加。(2014.12.15)
コメント
トラックバック
この記事へのトラックバック一覧です: 久々にCecil Taylorを聞いた。:
» Cecil Taylor: Solo (1973) 音の純度 [Kanazawa Jazz days]
音の純度を高めていき、それを極限にまで高めると、そこには享楽的な要素は消え去り、たた悄然と音そのものの奔流を眺めるだけになる。確かに、瞬間・瞬間を切り取ると、音の美しさは否めない。しかし、それが時間的に積分され、総体として表れるときには暴力的な存在で...... [続きを読む]
« Tony Williamsそっくりで笑えるCindy Blackman | トップページ | 追悼,Claudio Abbado »
こんばんは。
TBありがとうございました。
昔はきつかったんです。コレを聴き通すのが。
なんか今、普通に聴けるのが不思議。
でも聴き手に緊張を強いる音楽でLP片面が丁度。
山下洋輔のような純ジャズ的なカタルシスがないからなあ、とか思っております。
こちらからもTBさせて頂きます。
投稿: ken | 2014年1月28日 (火) 21時52分
kenさん,こんばんは。返信が遅くなりました。TBありがとうございます。
確かにLP片面が丁度という感じの厳しい音楽ではありますが,CD時代になって,そういう聞き方が少なくなりました。それでも30分ちょっとなら楽勝でしたが(笑)。
投稿: 中年音楽狂 | 2014年1月30日 (木) 18時51分