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2014年1月12日 (日)

Avishai Cohen:クラシカルな響きにはまる

Almah "Almah" Avishai Cohen(Parlophone)

ブログのお知り合いの皆さんの評価も高いAvishai Cohenのアルバムである。私にとってのAvishai Cohenと言えば,Chick Corea Originでの活動やBrad Mehldauのゲスト参加がある"Adama"ぐらいのアルバムが記憶に残る程度であり,決して熱心な聞き手ではない。また,最近,イスラエルのミュージシャンのアルバムが話題になることがあるものの,ショップで試聴しても私への音楽的なフィット感は実は今イチって感じなので,真っ当に購入したことはない。だから,このアルバムもスルーしていたのだが,どうにも気になってきたので,年明けにショップで購入したもの。値段が結構安かった(ネットより安かった)のは嬉しかった。

そして,このアルバムを聞いて驚いたのは,その室内楽的な美しさと言ってよい。ある意味,クラシカルに響く演奏の中で,美しい旋律がひと際耳に残る。そして,スタンダード"A Child is Born"が何の違和感もなく含まれているところに,このアルバムのよさが表れていると思える。更にそこに組み込まれた"Arab Medley"は何を意味するのか?ユダヤとアラブの対立が根深い中で,ユダヤ人としてのAvishai Cohenが示した和平への祈りなのかとも思いたくなる演奏である。まぁ,ほかの曲とやや性格が異なるかなぁと思わせないわけではないが,それでも違和感はないものとなっている。

いずれにしても,全編に渡って静かに美しさを放つ曲が揃っているが,ややテンポの上がる"Shlosre"でさえ,美的な感覚を横溢させていることが,私の知り合いの皆さんに評価される理由だろうと思った次第である。ECMレーベルが持つような美学とは性格が異なるが,こうした美感もまた捨て難い。最後の曲に入っている歌はどうなのかねぇと思わせないわけではないが,意外と枯れた感じの声(Stingみたいと言えばいいだろうか)が結構フィットしていて,これはこれでいいかなぁなんて思ってしまった。Virgil Donatiのようなハードな音楽を聞いた後には,清涼剤のような役割さえ果たしてくれるナイスな作品であった。私にとっては,さすがにここまで目配りできないなぁというタイプの音楽であるが,さすがお知り合いの皆さんの洞察の鋭さを改めて思い知らされたアルバムである。尚,本作は昨年11月のリリースなので,本来,今年の新譜として扱うには問題があるかもしれないが,まだ2カ月程度なので,ここは新譜扱いとさせて頂く。

ということで,モダン・ジャズ原理主義者には向かないだろうが,バックの弦の美しさを堪能するだけでも満足できるアルバム。クラシック好きにも受け入れやすいだろう。星★★★★☆。

Recorded on June 2-9, 2013 & September 4-5, 2012

Personnel: Avishai Cohen(b, vo), Nitai Hershkovits(p), Ofri Nehemya(ds), Cordelia Hagmann(vln), Amit Landau(vla), Noam Haimovitz Weinschel(vla), Yael Sapira(cello), Yoram Lachish(oboe, english horn), Amir Bresler(ds), Keren Tannenbaum(vln), Galia Hai(vla)

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コメント

 アヴィシャイ・コーエンは私は昨年知ったのですが、彼の味はやはり独特なモノがありながら、違和感なく聴けました。このアルバムが出ているのは実は知らなかったんですが・・・・是非とも聴きたいですね。

風呂井戸さん,こんにちは。TBありがとうございます。

TBして頂いたアルバムは未聴ですが,私はイスラエル・ジャズの持つ独特の音階が特にいいとは思っていないので,Avishai Cohenについても決していいリスナーではないと思っています。

しかし,今回のアルバムは,私がイスラエル・ジャズに感じる「くせ」のようなものは希薄だったように感じますので,私にとっても受け入れやすいものだったと思っています。ストリングスの響きの美しさにもしびれました。

音楽狂さん、こんにちは、monakaです。
このアルバムアレンジに少し驚きましたが、エレべを弾いたのにはもっと驚きました。自由にやりたいことを演奏するアヴィシャイができつつあるという感じです。
TBさせていただきます。

monakaさん,こんばんは。返事が遅くなりまして申し訳ありません。TBありがとうございました。

記事にも書きましたが,私は決して熱心なAvishai Cohenリスナーではありませんので,エレベを弾くことが珍しいのかも実はわかっていませんが,このアルバムは純粋に美的感覚にひたることができました。いいアルバムですよねぇ。ライブ・レポートを楽しみにしております。

TBありがとうございます。Avishai Cohenって、リリースの度に雰囲気の異なるアルバムを出してくる印象があるんですが、これは特に好きです。当方からもTBさせて下さい。

1irvingplaceさん,続けてこんばんは。こちらもTBありがとうございます。

私はAvishai Cohenの追っかけではないので,雰囲気の違いはよくわかりませんが,これはストリングスのアレンジが非常によくできていて,耳をそば立たせてしまいました。いい出来ですよねぇ。

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