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カテゴリー「ジャズ(2013年の記事)」の記事

2013年12月30日 (月)

Jim Hallを偲んで,今日は"Jim Hall in Berlin"

Jim_hall_in_berlin "It's Nice to Be with You: Jim Hall in Berlin" Jim Hall (MPS)

今年もいろいろな訃報があったが,J.J. Cale,Lou Reed,そしてJim Hallまで亡くなってしまったことにはショックが大きかった。人の人生には限りがあり,死はいつか訪れるとわかってはいても,Jim Hallは来年1月の来日が決まっていただけに,突然の訃報には驚いてしまった。

年末も押し迫り,大掃除だ,買い物だ,あるいは何だかんだで慌ただしい中,音楽をちゃんと聞く時間もないが,ようやく夜になって落ち着いたところで,何を聞こうかなぁと思って取り出したのがこのアルバム。

やはりJim Hall,とてつもなく渋い。このアルバムにはギターの多重録音という珍しい取り組みもあるが,そうは言っても落ち着いた音色,滋味溢れるフレージングの数々に,とても録音時には40歳にもなっていない人の演奏とは思えない。やはりこの人は昔から完成されたスタイルを持っていたのだと思い知らされるアルバムである。あるいは若年寄と言うべきか(笑)。

今日はこのアルバムをじっくり聞いて,Jim Hallのご冥福を改めて祈りたいと思う。

Recorded on June 27 & 28, 1969

Personnel: Jim Hall(g), Jimmy Woode(b), Daniel Humair(ds)

2013年12月29日 (日)

2013年の回顧(音楽編):その2(ジャズ編)

Wayne_shorter_without_a_net

今年の回顧もこれが最後である。今年聞いたジャズ・アルバムの中で何をベストとするかは,実はアルバムを聞いた瞬間に決まっていた。それはWayne Shorterの"Without a Net"である。このアルバムのテンションの高さは正直言って異常と言ってもよいぐらいであったが,Wayne Shorterは80歳にしてこの演奏というのが凄過ぎる。結局,この1年,テンションという意味ではこのアルバムを上回る作品には出会っていないし,今後もそうはないだろうと確信させる超弩級の傑作。今年のShorterの来日公演は見逃したが,来年はライブに参戦予定である。ライブでも締め上げられるような感覚に陥ること必定であろう。それにしても強烈な作品であった。

Keith_jarrett_somewhere次に印象深いのがKeith Jarrett / Gary Peacock / Jack DeJohnetteのトリオによる"Somewhere"である。私は今年,彼らのライブにも行ったのだが,この作品がライブをはるかに凌駕するクォリティだったことには若干微妙な念を感じつつも,これほどの演奏をこのトリオで聞いたのは久しぶりということで,やはりこれは高く評価しなければならない作品と思っている。全編を通じてのクォリティの高さは特筆もの。最初のつかみから,タイトル・トラックの感動と聞きどころ満載の作品であったと思う。まさによくプロデュースされた作品とも言えるが,このあたりがManfred Eicherのマジックである。やはり素晴らしい作品と言ってよい。 

Dave_holland_prism_2そして,今年最もスリルに富んだジャズを聞かせてくれた作品としてDave Hollandの"Prism"を挙げておきたい。そもそもHollandはハイブラウな作品をリリースし続けているが,この作品では旧友Kevin Eubanksの貢献度が高いのだが,加えてCraig TabornにEric Harlandを配するというバンド構成にも,バンド・リーダーとしてのHollandの才覚を感じざるをえない。彼らのブート音源を聞いた段階から,正式なレコーディングは待望のものであったわけだが,ちゃんと期待に応えてくるDave Holland,さすがである。今年聞いた中で最もスリリングだったアルバムとして,やはり本作は見逃すことはできない。

Carla_bley_trios

一方,滋味溢れる演奏ということで印象に残っているのがCarla Bleyの"Trios"である。一方的にCarla Bleyに対するイメージを抱く私のような人間にとって,現在のCarla Bleyとはこういう音楽を展開していたのかという驚きすら与えた演奏である。ある意味では慈愛に満ちた部分を感じさせることにはPatti Smithと同質の部分を感じさせる演奏と言ってもよいかもしれない。私はこのアルバムでCarla Bleyに関する認識を完全に改めさせられたと言ってもよいと思う。酸いも甘いも噛み分けた人間の成熟さえ感じさせると言っては大袈裟か?いずれにしてもいろいろな意味で印象に残っているアルバムである。

Aaron_parks_arborescence

音という意味で最も印象に残ったのはAaron Parksの"Arborescence"である。とにかく,このアルバムに聞かれるピアノの音は,その残響感が素晴らしく,Fred Herschがカザルス・ホールでピアノ・ソロをやった時の「天上から音が降り注ぐ」感覚というのを思い出した。来年,Aaron Parksはトリオで来日するが,ソロ・ピアノでの公演も予定されており,これは是非聞いてみたいと思わせる演奏であった。もちろん,公演が予定されているコットンクラブのレゾナンスと,このアルバムが録音されたMechanics Hallのそれでは違いがあるかもしれないが,それでも期待したいと思わせるに十分なピアノの音であった。

Gretchen_parlato_live_in_nyc

最後にジャズ・ヴォーカルであるが,私は熱心なヴォーカルの聞き手ではないので,聞いたアルバムも少ないが,Tierney SuttonのJoni Mitchell集にしびれながらも,やはりGretchen Parlatoのライブ盤に軍配が上がるかなぁって感じである。Gretchen Parlatoのいいところは,彼女はヴォーカルという「楽器」の使い手という感覚が強いことではないかと思っている。彼女の交友関係の広さもあるが,優れた伴奏陣を揃えているのも彼女の強みである。今回のライブも非常によかったと思う。そして,余談ではあるが,彼女の関係ではAlan Hamptonという人との出会いも私にとっては印象的な出来事であった。

ということで,これ以外にもいいアルバムはあって,あれはどうした?これはどうしたという声も聞こえてきそうだが,まぁこんな感じだろう。だが,今年のナンバー1は誰が何と言ってもWayne Shorter以外には考えられない。

2013年12月27日 (金)

遂に出た!"Complete Thursday Miles at Fillmore"

Thursday_miles001

Miles Davisのファンで"At Fillmore"のコンプリート・ヴァージョンを収めたブートを知らない人はモグリと言われても仕方がない(笑)が,これまで水曜,金曜,土曜は出ていたのに,長年,木曜日だけが市場に出てこなかった。今回,遂に,遂にその木曜日のコンプリート音源が初めて世に出た。今回のリリースでは「出る,出る」と言われてきた「木曜日」であるが,本当に突如のリリースである。半ば諦め気味にリリースを待っていた立場からすれば,喜ばしい「青天の霹靂」である。

だが,そうは言ってもブート音源である。個人がやっているブログとは言え,あまり一般の人にお薦めするべき代物でないということはよく承知している。だが,一度でも各曜日のコンプリート・ヴァージョンを聞いてしまうと,そこから逃れることができないという思いを強くする。人に言わずにおけないのである。それぐらい,このFillmore Eastでのライブは強烈である。

そして木曜日のMilesも激しい。"Directions"におけるSteve Grossmanのソプラノ・ソロがオフ・マイク気味なのは惜しいが,そんな瑕疵には目をつぶろう。ここでのMilesには怒気とさえ思える感情の発露を感じてしまう。とにかく強力である。そもそもメンツも濃いが,Milesの絶好調ぶりが凄い。ロックの殿堂,Fillmore Eastで自身のアイデンティティを認知せしめるべく,魂込めたって感じである。私にとっては,もうMilesのブート漁りは打ち止めにしてもいいかなぁとさえ思わせる演奏である。そうは言っても,どうせまた買ってしまうんだろうが...(笑)。

とにかくこのシリーズは強力である。財布には優しくないが,あらゆるリスナーがきっと元は取れると確信してしまうであろう激烈ブートレッグである。さて,この年末,年始は水曜から土曜を順番に聞くとしよう。ある意味,2013年最大のニュースはこれのリリースだったと言ってもいいかもしれない。

2013年12月24日 (火)

Ed Bickertの未発表音源現る!これまた私にとってはホリデイ・ギフトである。

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"Test of Time" Murley / Bickert / Wallace (Cornerstone)

私はEd Bickertのファンであるとこのブログでも何度も書いてきた。先日亡くなったJim Hall的な感覚も持ちつつ,テレキャスでなんでこんな音が出るのかというような暖かい演奏を展開する素晴らしいギタリストであるが,残念ながらプロとしての演奏活動から引退してしまっている。そんなEd Bickertにまだ未発表音源があるとは思わなかったが,突如の登場に嬉しくなったのはきっと私だけではないはずである。正確に言えば,本作は昨年末にはリリースされていたようなので,本来ならば新譜とは呼べない代物なのだが,全然認識していなかった私としては,まさにホリデイ・ギフトと言ってよい作品である。

ライナーにも書いてあるが,このトリオは"Live at the Senator"という作品をリリースしているが,これはそれに先立って行われていたスタジオ録音である。"Live at the Senator"についても既にこのブログで記事にしている(記事はこちら)が,その作品も相当気に入っている私だけに,本作についての情報を発見した時から期待値が高まっていた。そして,このアルバム,全くの期待通りである。

と言っても,全然驚きはない。だが,それでいいのである。有名なスタンダード群とMurleyのオリジナル2曲から構成されるプログラムを淡々とこなしながら,絶妙のリラクゼーションを生み出しているのだから,私はそれで満足である。どちらが好きかと言えば,私は前述のライブ盤の方を推すだろうが,これはこれで彼ららしい演奏であり,忙しない師走の時期に,ゆったり感をもたらしてくれるという意味では非常にいいアルバムであった。星★★★★☆。

Recorded on January 22 & 23, 1999

Personnel: Mike Murley(ts), Ed Bickert(g), Steve Wallace(b)

2013年12月22日 (日)

ECMからのホリデイ・ギフト?

Re_seoul

"Re: Seoul" Various Artists(ECM)

このコンピレーションは韓国,ソウルにおいて,ECMの展覧会が開催された時に入手が可能となっていたものなのだが,日本でこのCDを入手した人は極めて限定的な数だろうと想像する。だが,ECMのサイトで2013年リリース作品を2枚以上購入すると,オマケでこれが付いてくるというEメールを受け取った私はすかさずオーダーである。ちょっと割高感があるのだが,このオマケの魅力に負け,買っていなかったYeahwon ShinとMaria Pia De Vitoのアルバムを発注したものが,デリバリーされてきた。そちらはいずれ記事にしようと思うが,まずはこのコンピレーションである。

このCDが貴重なのは,これまでCD化されていないアルバムからの音源からも含まれているということであり,それらは次のようになっている。

"Seven Songs for Quartet and Chamber Orchestra" Gary Burton(2曲)
"Five Years Later" Ralph Towner & John Abercrombie (2曲)
"Contrasts" Sam Rivers(2曲)
"Miroslav Vitous Group" Miroslav Vitous(2曲)

そして,来年リリース予定のNorma Winstoneのアルバムからも1曲が収められている。結局既CD化音源はKeith Jarrettの1曲とYeahwon Shinの1曲だけという大盤振る舞いである。まさに私にとってはECMレーベルからのホリデイ・ギフトって感じである。

コンピレーションゆえ,参加ミュージシャンが多いのでクレジットは省略するが,ちゃんとECM2365という番号も割り振られている。そして,今回,収められている演奏を聞いて,なぜこれらがCD化されないのか不思議に思ってしまった。ということで,ECM好きの皆さんは,何が何でも手に入れましょう(笑)。

<追記>なんて記事を書いたところに,ここに収められている未CD化音源が,来年早々リリースという情報が...。ということで,このCDの入手は必須ではありませんな(爆)。アホみたいと言えばその通りであるが,まぁいいや。

2013年12月18日 (水)

Zsófia Boros:聞いた瞬間に痺れたギター・アルバム

Zsfia_boros

"En Otra Parte" Zsófia Boros(ECM New Series)

このアルバムのリリースを知った時,ECM New Seriesなので,クラシック・ギターのアルバムだと思っていたが,弾いている曲はあくまでも現代の作曲家たちの曲であり,そこにはRalph TownerやVicente Amigo,更にはDominic Millerまで含まれているのだから,随分幅が広い。一体どんなことになってしまうのかとも思いつつ,聞いてみれば,これはひたすら美しいギター・アルバムとなっている。

ハンガリー出身の女流ギタリスト,Zsófia Borosがここで弾いているのはクラシック・ギターであるし,この人はそういう教育を受けているからこそのNew Seriesからのリリースだと思うが,そんなことはどうでもいいと思えるほど,この人は曲の持つ美しさをきっちりと体現できる人のように思えた。ECMにしては音は随分ソフトというか,クリアさよりも丸みを帯びたギター音になっているのは意外だが,この人のタッチもあろうし,この演奏にはこういう音こそが適しているとさえ思えてくるから不思議である。

そして,ここでの演奏は,まさに私にジャスト・フィットである。これはまじで素晴らしい。演奏が優れているのはもちろんだと思うが,この作品の勝利は「選曲に関する審美眼」である。様々な作曲家の曲を集めながらも,一貫した美しさを作り出したのは,もちろんプロデューサーたるManfred Eicherの功績でもあるが,やはりZsófia Borosというギタリストの音楽への取り組み,あるいは彼女のバックグラウンドを形成する音楽的指向(嗜好)であると言いたくなるのである。

正直言って,このアルバムを聞いたのは年末も押し迫ってからであるが,私の中では今年聞いたさまざまな作品群の中でも,気に入ったという観点では相当上位に来る作品である。このように美しい作品はなかなか聞けるものではないと,ついつい興奮している自分に苦笑せざるをえないが,これはいい。本当にいい。ということで,喜んで星★★★★★である。

さすがManfred Eicherと平伏すのみ。そして,演奏で応えたZsófia Borosも素晴らしい。近現代のギター音楽にこれほど美しい曲が溢れていることを知ることができただけで,私は幸せである。

Recorded in August, 2012

Personnel: Zsófia Boros (g)

2013年12月13日 (金)

追悼,Jim Hall

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来年1月に日本でのRon Carterとのデュオ・ライブがアナウンスされたばかりのJim Hallが亡くなった。

思えば,理由はよくわからないものの,私はJim Hallというギタリストに昔から魅力を感じていて,結構若い頃から彼の音源は聞いてきた。だが,私が大学に入った頃というのは,Jim Hallという人は所謂「ジャズ聞き」には全然評価されていなくて,「私はJim Hallが好きです」と言った時の冷たい反応は今でも忘れられない。だから早稲田の「もず」を根城にしていたなんとかというサークルの連中とは相容れないものを強く感じたのは今から30年以上前のことである。もちろん,その時にGeorge Adamsの"Sound Suggestions"を聞いている連中なのだから,指向/嗜好が違うのは当たり前だが。まぁ,私もその当時に比べれば,許容力は増したが,私もまだまだ若かった(苦笑)。そして,音楽的な好みも確立するにはまだ時間を要したのも事実である。

そんなJim Hallであるが,Pat MethenyがJim Hallを師匠のように崇めるような発言をする頃から旗色が随分変わったような気がする。しかし,Jim Hallのやっている音楽は昔から全然変わっていなかったし,首尾一貫していたように思える。そういう人なのである。

彼を追悼するにはどのアルバムがいいだろうかと考えつつ,やはり私が最も好きなアルバムとしてRed MitchellとのSweet Basilでのデュオ・ライブだと思う私である。一番売れたのは「アランフェス」かもしれないし,Pat Methenyとのデュオってのもありだが,Paul Desmondとの共演盤を除けば,私の中では,やはりMitchellとのデュオをおいてほかにあるまい。

今回はまさに急逝という感じであったが,晩年のHallは評価も確立し,尊敬を集めるミュージシャンとしての地位も明確だったので,地味ではありながら,充実した人生だったのではないかと思う。私は,結局彼のライブを見るチャンスには恵まれなかったが,このアルバムに出会えたことは,今にして思えば私にとって幸せなことだったと思う。ありがとう,Jim Hall。

R.I.P.

<訂正>私はJim Hallのライブを見るチャンスに恵まれなかったと書いたが,はたと思い出した。1991年,Sonny Rollinsがカーネギー・ホールに出演した時に,Jim Hall入りのクァルテットのリユニオンをしていたのであった。それが私がJim Hallの生を見た唯一の機会。Roy Hargroveのことは覚えていても,Jim Hallのことをすっかり忘れていた。歳は取りたくないもんだ(爆)。

2013年12月 8日 (日)

日野元彦の「流氷」:TBM再発シリーズで最も欲しかったのはこれだな。

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「流氷」 日野元彦カルテット+1(TBM)

今年に入って,続々と再リリースされたTBMレーベルの作品群の中で,私がこれだけは買うだろうと思っていたのが本作である(ほかにも買っているが,記事はまだ全然書いていない)。私はファンハウス・レーベル時代の日野元彦のアルバムが結構好きなのだが,正直言ってしまうと兄貴のヒノテルよりずっと日野元彦の方が好きなぐらいである。ファンハウスのアルバム,特に"It's There"や"Sailing Stone"はメンツ買いの部分があったことは否定できないが,それでもリーダーとしてアルバムを仕上げているところには非常に感心していたのである。

その日野元彦が厳寒の根室で繰り広げた熱い演奏を収めたのが本作であるが,オリジナルのLPでは3曲に短縮されていたものに2曲を追加して,当日の演奏順に並べたものである。私はLPを聞いたことがないが,3曲で終わらせるのはもったいないと思わせる演奏群となっていると思う。2月の根室と言えば,想像するのも憚りたくなるような寒さだと想像するわけだが,それと反比例するかのような熱さに聴衆もきっと燃えただろうと思いたくなるような演奏である。

本作はメンツも濃いが,やはり2テナーによる音の分厚さが,演奏を熱くした要因のようにも感じられる。Elvin JonesがLighthouseでLiebmanとGrossmanをフロントに立てたようなものだが,そう言えば,この編成はその後のJazz Machineと同じだと今更のように気がついた私である。だが,演奏としては例えばFrank Foster~Pat LaBarbera組の2テナーのJazz Machineより,この作品の方がずっといいとさえ思えてしまう。役者が揃っているというのはやはり強力である。まぁ,演奏としては渡辺香津美作"Milky Shade"が浮いているようには思えるが,全体を通して日本ジャズ界の実力を十分に示しているように思う。

そうした中で,Steve Grossmanのオリジナルが2曲収録されているのは意外な気もするが,そんなことは別にどうでもいいと思えるような演奏ぶりである。ちゃんと全員がフィーチャーされる場が維持されているのも感じがいいと思う。私はしょうもないものまでいかにも売ろう精神でリリースしているのが見え見えの「和ジャズ」なるものには一切与しないが,こういう演奏ならばちゃんと認めるべきと声を大にして言いたい。大したことがない作品を数多く聞くよりも,優れた作品を繰り返し聞くことの方が,はるかに合理的であり,情操を磨く上でもポジティブに機能すると思っている。歴史に残る名盤というものではないかもしれないが,間違いなく記憶には残る作品である。星★★★★☆。それにしても,後の香津美と大きな違いを感じられるのも凄い。

Recorded Live at 根室市民会館 on February 7, 1976

Personnel: 日野元彦(ds),山口真文(ts),清水靖晃(ts, ss),渡辺香津美(g),井野信義(b)

2013年12月 7日 (土)

相変わらず記事の更新に苦労中だが,早いうちにWill Lee観戦記を。

24_street_band001 何だかんだで忙しい日々を過ごしているため,なかなか記事をアップできずに,どうも具合がよくないが,先日のWill Lee & Familyのライブについて,記憶が薄れないうちに記事をアップしておこう。

私の中ではWill Leeは"Late Night with David Letterman"におけるThe World Most Dangerous Band(現在のCBS Orchestra)のメンバーとしての記憶が最も深い。もちろん,私が渡米する前から,Will Leeはセッションマンとしていろいろなアルバムに顔を出していたから,そもそも認識もしていたわけだが,毎夜毎晩,TVでお目に掛かっていたら親しみも湧くってもんである。そして,今回だが,オープニングは24丁目バンドの"Quack!!"で始まり,アンコールは"Shoppin' Round Again"で締めたと記憶している。それ以外は,新作からのレパートリーが多かったようだが,アンコールの1曲目にはハーモニクスを多用した"Smile"も演奏していたが,これも新作からのレパートリーってことになる。

Metro001 そして,今回のライブであるが,とにかく芸人魂炸裂である。聴衆を盛り上げる術は"David Letterman Show"で十分に身に付けていることはこちらも承知しているが,それにしてもよくやるわ。アンコールでは客席の柱の上でプレイしているのだから,これはもう大したものである。Will LeeだけでなくChuck Loebまでやっているんだから,ますます笑えたが,Will Leeは既に還暦を迎え,Loebも還暦近いことを考えると,歳とっても元気だねぇと言わざるをえない。そして,Will Lee,やはり歌も相変わらずいけているし,体型も維持しているから,見た目は非常に若い。ついついあやかりたいなんて思っていた私である。

Bfd001 それを支えるのがSteve Gaddなのだから,何をかいわんやであるが,加えて二人の若手も結構優秀なのには驚いた。  Oli Rockbergerの方はBrecker Brothers Reunion Bandでも演奏していたので知っていたが,これが初めてのGiulio Carmassiはキーボードだけでなく,ギター,サックス,フリューゲルホーンもこなすマルチ・インストゥルメンタリストで,そのどれにも破綻がないのは立派である。まだまだ若いと見たが,やはり米国の音楽界は奥が深いねぇと思ってしまった。この二人は昨年の来日時にも同行しているようだから,定期的にやっているのかもしれないが,それにしても大したものである。

まぁ,演奏はエンタテインメントに徹して楽しいものであったが,先日も書いたとおり,私の体調が今イチだったのはつくづく惜しい。そして,終了後のサイン会にはWill Lee,Chuck Loebに加えてSteve Gaddまで登場したが,私はWill Lee関係作しか持っていかなったのは惜しかった。まぁ,話はしたからいいんだが(笑)。ということで,今回は収穫の3枚の画像をアップしておこう。24丁目バンドのHiram BullockのサインはWill Leeが真似してしたもの(笑)。Metroはこれで4人分揃い(W. Haffnerはダブっているが),そしてBFDのようなマイナー盤もちゃんとWill Leeは記憶していたのが素晴らしいねぇ。

Live at Cotton Club on December 5, 2013, 2nd Set

Personnel: Will Lee (b,vo), Steve Gadd (ds), Chuck Loeb (g, vo), Giulio Carmassi (key,g, fl-h, ts, vo), Oli Rockberger (key,vo)

2013年12月 6日 (金)

Will Leeを見に行ったのだが...

Will_lees_family_band01119 ここのところの風邪で体調がすぐれない中,仕事を終えて,Cotton ClubでのWill Leeのライブに向かった。でも予想通りというか,体調が悪いため,ついつい音楽への集中力がそがれてしまったのは返す返すも残念。自己責任だが。

ということで,ライブの模様は詳しくは別途ご報告とするが,楽しいライブだったのは間違いない。でも私の体調が悪過ぎたのだ(爆)。

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