2013年の回顧(音楽編):その1
今年を回顧するシリーズの音楽編はジャズ以外の音源についてである。
まず,ロックであるが,世評の高いVampire WeekendやArcade Fire,更にはPaul McCartneyの新作もちゃんと聞いているのだが,記事にはできなかった。これらは相応に優れたアルバムだと思うが,今年のベストだったかというと,自分にとってはそういうことではなかった。Paulはアルバムよりもライブの方が若々しさを感じさせたのも事実である。そんな私にとって,今年のロック・アルバムと言えば,David Bowieの"The Next Day"ということになると思う。この作品は世間の評価も非常に高かったが,ここまでいいとは思っていなかった。正直なところ,David Bowieの新作ねぇ...なんて思っていた私の認識を完全に改めさせるに十分な作品であった。66歳にしてこの作品とは,まさに恐れ入ったというしかないだろう。
そして,もう1枚挙げるならPrefab Sproutの"Crimson / Red"である。もともと,メロディアスであるPrefab Sproutであるが,Paddy McAloonの現在の見た目からは想像もできないような素晴らしいメロディの連発には興奮した。前作"Let's Change the World with Music"をはるかに凌駕するアルバムとなった。このメロディ・センス,やはり心を揺さぶるものがあると言ってよい。
メロディという観点では,Nick Drakeの音楽の持つ素晴らしい魅力をあぶり出したトリビュート盤,"Way to Blue: The Songs of Nick Drake"も記憶に残るアルバムである。こういうライブが日本で見られることはまず考えられないが,Nick Drakeの曲の素晴らしさを再確認させるには十分な作品であった。その他にも意外や意外の相性を示したElvis Costello & the Roots,Ry Cooder久々のライブ盤等も忘れ難い。
この音楽をどうカテゴライズするかは難しいところであるが,ポピュラー・ミュージックという観点で,往年のディスコ・サウンドを現代によみがえらせたという意味ではDaft Punkの"Random Access Memories"も楽しかった。私のジョギングの最中の音楽としては最もお世話になったのがこの作品であるが,ランへのフィット感は最高によかった。日本の評論家からははあまり評価されていないようだが,この作品はもっと評価されて然るべきものと思う。
ソウルは今年はあまり聞かなかったかなぁって感じであるが,引越しによってショップ通いの頻度が大きく下がったこともあり,新しいディスクのフォローができていないのだから,仕方がない。そうした中で,Donny Hathawayの4枚組アンソロジーは家宝にしたくなるような珠玉の歌唱が聞けて,思わず嬉しくなってしまった。特にBitter Endにおける未発表ライブにはしびれた。
そして,これもどういうカテゴリーに分類すればいいのか悩むところだが,ECMから出たZsófia Borosによる"En Otra Parte"は素晴らしいギター・アルバムとして多くの人に聞いて頂きたい傑作。Zsófia Borosはクラシックのギタリストだが,やっている曲からすれば,現代音楽とも言えそうなセレクションは,ギター好きなら思わずうなってしまうような作品であった。これはプロデューサーとしてのManfred Eicherの審美眼にも依存した作品とは思うが,これは本当に好きなアルバムであった。
歌謡曲では,何と言っても私さえはまった「あまちゃん」から小泉今日子の歌う「潮騒のメモリー」が最高であった。私はついついこの曲をカラオケで歌ってしまうぐらいだが,「当時」のテイストを作り出していて好きである。ちなみに余談ではあるが,小泉今日子演じる天野春子の若い頃を演じた有村架純のブレイクぶりは凄い。まぁ,可愛いから当然だが(笑)。でも最近,CMに出過ぎかなぁって気がしないでもないが,SMAP×SMAPにも出てきている彼女はやはり可愛いのだから,まぁ許す。
だが,ジャズ以外のカテゴリーの音楽で,今年私が一番好きだったアルバムは間違いなくPaula Santoroの"Mar Do Meu Mundo"である。このアルバムの心地よさは今年最高。入手には時間が掛かったが,それでも入手するだけの価値がある一枚。正確に言うと,これも昨年リリースのアルバムなので,2013年の回顧で取り上げるのもいかがなものかって気はするが,まぁいいや(笑)。
ということで,いろいろな音楽を聞いたなぁって感じは例年通りである。
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コメント
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今年も色々参考にさせて頂きました!
そのなかで、ライクーダーのライヴレコードをやっと買いまして、先日届きましたが、こうりゃ良いですね!
それとダニーハザウエイも聞きましたが、これもライヴ良いですね!
この二枚が今年のお気に入りになりました。ありがとうございます!
投稿: takeot | 2013年12月28日 (土) 16時46分
takeotさん,こんにちは。
Ry Cooderはよかったですよね。声のトーンはやや変わっても,ギターの腕は確かです。今年の代表作とまではいかなかったかもしれませんが,十分満足の行く出来だったと思います。
Donny Hathawayはベスト・コスト・パフォーマンス賞ですね。あんなにいい音源があんな値段で...って,財布に優しいコンピレーションでした。
投稿: 中年音楽狂 | 2013年12月28日 (土) 17時17分