「サイド・エフェクト」:惜しい,あまりに惜しいSteven Soderberghの映画界引退
「サイド・エフェクト("Side Effects")」('13,米)
監督:Steven Soderbergh
出演:Jude Law, Rooney Mara, Channing Tatum, Catherine Zeta-Jones
日本では宮崎駿の長編映画からの引退ばかりが話題になっているが,それはそれで惜しいとしても,洋画好きの立場から言えば,Steven Soderberghの映画界からの引退の方がはるかに重大なニュースである。まだ50歳のSoderberghがなぜこれからという時期に引退しなければならないのかの真相は本人のみぞ知るというところだろうが,引退は「惜しい」という思いを強くさせたのが,現在公開中のこの映画である。
Steven Soderberghという人は多作の人で,私も全部見ているわけではなく,前回見たのは「コンテイジョン」で,その後2本日本で公開されているものの,それらも見ていない。だが,私が見た映画はどれもよく出来たものだったと言ってよいと思う。そうした感覚は本作でも健在である。この静かに,かつじわじわとサスペンスを盛り上げるタッチは,凡百の監督には無理という感じである。ある意味での「静けさ」は「コンテイジョン」でも私が感じたものであるが,私としてははるかに「サイド・エフェクト」の方を支持したい。
あまり細かいことを書くとネタバレになってしまうので,ストーリーについては記述を避けるが,なるほど,そういうことかぁという展開である。それを破綻なく見せるのは,Soderberghの演出力とScott Z. Burnsの脚本に依存するところ大である。このBurnsという人,本当にいろいろな映画の脚本を手掛けているが,昔で言えば,William GoldmanやStirling Silliphantの絶頂期のような,見事な仕事ぶりである。次作は新生「猿の惑星」シリーズ第2弾らしいから,こちらへの期待も高まると言っておこう。
そしてSoderberghであるが,本当にこれを最後にしてしまうのかと言いたくなるようないい仕事である。派手派手しい部分は何もないこの映画のサスペンスを維持したことはちゃんと評価しなければならない。「そんなのあり?」という話ではあるが,フィクションの世界の中でちゃんと落とし前をつけた作品である。大作って感じの映画ではなく,これは確実に愛すべき小品ということで,私としてはSoderbergh作品としては「イギリスから来た男」みたいに評価したい映画であった。星★★★★☆。Soderberghが翻意し,また映画の世界に戻ってくることを期待しよう。
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