Moutin Factory Quintet:驚きはないが,レベルの高い演奏が楽しめる佳作
"Lucky People" Moutin Factory Quintet(Plus Loin Music)
これまではMoutin Reunion Quartet名義でアルバムをリリースしてきたMoutin兄弟が新たに編成を拡大して発表した新作である。そもそもこれまでがなんでReunionで,新しいバンドがFactoryなのかはさっぱりわからないが,この人たちのアルバムはいつもクォリティが高くて,失望させられることがない。私の中では,フランス人の演じるジャズはその癖のようなものが,どうも肌に合わないことが多いのだが,この人たちの演奏はそういう要素が希薄であることもポイントを高くしている理由と言えるかもしれない。こういう演奏ならば,現在のNYCで演奏されていると言ってもそれほど違和感がないように思える。まぁ,現在,Francois Moutinは活動拠点をNYCに置いているようだからそういう要素は十分あり得るが...。
前作の"Soul Dancers"ではWeather Report色濃厚なところを聞かせた彼らだが,今回は"Relativity"にWR的なところを感じないわけではないが,前作とは違って,そうした要素は抑制されているように感じる。だが,彼ららしいスリリングさは健在で,これはなかなか楽しめるアルバムである。
リーダーのMoutin兄弟に留まらず,参加しているメンバー全員が相当の腕の持ち主であると思わせる演奏の数々と言ってよい。Moutin兄弟の書くオリジナルもなかなか魅力的である。しかしながら,その一方で,「これは凄いや!」って感覚までは与えられないというのも事実であり,正直言って驚きはないというのが実感である。まぁ,音楽はどこまで突き抜ければいいのかと考えだしたらキリがないが,今一歩のハイブラウさがあってもよかったように思える。例えば,冒頭の"Lucky People"に若干聞かれるEmmanuel Codjiaの暴れっぷりを拡大しても,面白い演奏になったのではないだろうか。
但し,上述の通り,演奏としては十分楽しめるし,メンバーの実力も発揮されているので,購入しても決して損はしないと言える佳作。私にとってはあまり馴染みのないミュージシャンではあるが,世界は広いねぇ。いつも通り兄弟デュオで演じる偉人シリーズは今回はOrnette Colemanがお題であるが,これも十分に楽しめるものであった。星★★★★。
Recorded between May and June, 2013
Personnel: Francois Moutin(b), Louis Moutin(ds), Emmanuel Codjia(g), Thomas Enhco(p), Christophe Monniot(as, sopranino)
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お久しぶりです♪
斬新な感じや、革新的なものは感じませんものね。
そのうえ、皆さん、大変巧いので、妙に綺麗なサウンドにきこえますしね。充分に楽しませていただきました♪
でも、ギターは、、このサウンドにグエンレだと、変態過ぎる気がいたします。。
こちらからも、トラバいたしました。m(_ _)m
投稿: Suzuck | 2013年9月24日 (火) 18時24分
Suzuckさん,こんばんは。TBありがとうございます。飲み会続きで返事が遅くなりまして申し訳ありません。
コメントはNguyên Lêぐらいの変態が入っても大丈夫という意味で書きました。もちろん,両方にとってほめ言葉ですよ(笑)。
投稿: 中年音楽狂 | 2013年9月26日 (木) 22時15分