Fred HerschとJulian Lageのデュオ:う~む,悪くはないんだけど,没入できない...
"Free Flying" Fred Hersch & Julian Lage(Palmetto)
このアルバムのリリースが告知された時から本作には並々ならぬ期待を寄せてきた私である。そしてようやくデリバリーされた本作を聞いたのだが,これが主題の通り,決して悪いとは思わないのだが,私としてはもっと上のレベルを期待しただけに,やや肩透かしを食らった気がしている。
冒頭の"Songs Without Words #4: Duet"は出だしの1曲としては上々の立ち上がりである。だが,この後が必ずしも,こちらの思っているように行かないのである。本作は9曲のうち7曲をHerschのオリジナルが占め,多くが誰かに捧げられている。ほとんどはミュージシャンだが,8曲目の"Gravity's Pull"が捧げられているMary Jo Salterという人は詩人だそうである。それはさておき,彼らがどういう意図を持ってそうしたオマージュを捧げたかはわからないが,正直言って,それがそもそもピンときていない。タイトル・トラックの"Free Flying"は何とEgberto Gismontiに捧げられているのだが,HerschとLageのどちらからもGismontiとの関係性は明確には浮かび上がってこない。それっぽいと言えばそれっぽいが,どうも彼らのイメージと違うんだよなぁ。
私としてはリズミックに攻められるよりも,もう少し美的な側面を強調して欲しかったなぁというのが正直なところである。もちろん,全編を聞いていれば,やっぱりこの二人はいいねぇと思わせる瞬間も沢山あるが,それでもリスナーは贅沢なのである。私としてはやはりコットンクラブで聞いたHerschの生のイメージが強過ぎたかもしれない。ということで星★★★★。
尚,この作品が録音されたのはNYCのPark Avenueにあるホテル,The Kitano内のJazz at Kitanoにおいてである。私もThe Kitanoのバーには行ったことがあるが,その頃は現在ほどライブを定期的にやっている感じではなかった。現在はほぼ毎日ブッキングされているようであるが,比較的地味なミュージシャンの出演が多く,穴場的な感覚もあるので,落ち着いて音楽を楽しむにはいいかもしれない。そういうところにこの二人が出ていたということがある意味羨ましい。HerschのホームグラウンドはVanguardのはずだが,Lageとのデュオってことでヴェニューを変えたってことかも知れない。
Recorded Live at Jazz at Kitano on February 14-16, 2013
Personnel: Fred Hersch(p), Julian Lage(g)
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Fred Hersch (p)
Julian Lage (g)
Recorded Live at Jazz at Kitano ,NY ,Feb,2013
Rel:2013 palmetto-records PM2168
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こんばんは。
僕はコットンクラブのライブを聞いていないのと、ソロ2作くらいしかHerschを聞けていないのもあるのか、Village Vangurdのライブ作からの流れみたいなものを感じて満足度高かったです。
多くのシチュエーションや作品を聞けば聞くほどリスナーって贅沢になるものですねぇ。なんかキースの作品と似たようなコメントとなってしまいましたが、TBさせていただきます。
投稿: とっつぁん | 2013年10月 6日 (日) 19時38分
とっつぁんさん,こんばんは。TBありがとうございます。
このアルバム,悪いとは思ってないんですけど,私がHerschとLageに求めたのは,ホテルのラウンジで演奏してOKのレベルではなく,バーで飲んでいる連中すら黙らせるレベルの音楽でした。
そういう意味では,このアルバムはリラクゼーションが勝ってしまっていて,私としては100%満足できるものではなかったと思っています。でもこの二人がやれば,「間違いない」世界を作り出せるのも事実だと思います。ここ暫くは別の視点で,このアルバムに接してみたいと思います。
投稿: 中年音楽狂 | 2013年10月 7日 (月) 00時12分
閣下、、
閣下が求めるものもわからなくはないのですが。。
いや、わかるのですが。。
これ、ライブ会場で聴いていたらへべれけの輩でも黙らせることができるような気がしますが。。てか、できると思いますが。。
ハーシュはもちろん、、レイジの能力の高さは改めて驚きでございました。二人とも、このぴったりとはまり込んだ感じは、すごすぎると思いますです。
トラバ、ありがとうございました。
秋っぽさのほとんどないデュオでござったが。。
投稿: Suzuck | 2013年10月15日 (火) 18時28分
Suzuckさん,続けてこんばんは。TBありがとうございます。
私は記事の書き方はやや辛口ですが,嫌いなら星★★★★はつけません。でもこれはやはり私にとってのHerschの最高作ではないんで仕方ないです。
ライブ会場で聞いたら,おっしゃる通り違う感慨があったかもしれませんが,それでもやっぱり最高ではないんですよ(きっぱり)。私も頭が固いですね(笑)。
投稿: 中年音楽狂 | 2013年10月16日 (水) 21時59分
音楽狂さん、こんにちはmonakaです。
ハーシュが元気にアルバムをだしてくれてうれしいけれど全部追っかけられませんね。
トランペットとのデュオがでていますがあきらめました。
TBさせていただきます。
投稿: monaka | 2013年11月17日 (日) 11時25分
monakaさん,TBありがとうございます。
おっしゃっているのはRalph Alessiとのデュオですね。彼らは今までにも共演していますが,Alessiって結構クセがありますし,さすがに私もそこまでは...って感じです。
まぁ,それでもHerschが元気にアルバムを出してくれるというのは素晴らしいことだと思います。
投稿: 中年音楽狂 | 2013年11月17日 (日) 12時39分