Ben Monderの新譜が非常に面白い
"Hydra" Ben Monder(Sunnyside)
私はBen Monderと言えば,"Excavation"を保有しているぐらいだが,感覚的に言うとBill Frisell的なサウンドかなぁなんて印象がある。だが,そのアルバムもどこかにしまったまま,ここのところ聞いたことがない(爆)。そんな私がこのアルバムを購入する気になったのは,某ショップで聞いて,私が記憶しているサウンドと感じがちょっと違うからである。
冒頭の"Elysium"からして,Pat Methenyのピカソ・ギターを思わせるようなサウンドなのである。ベースの感じもMethenyに近しい感じがした。そして,Ben Monderとは長い付き合いとなるTheo Bleckmannのヴォイスの効果もあって,ますますそういう感じがしてくるのである。2曲目のタイトル・トラックなんて24分を越える超大作であるが,Monderのギターそのものはここでは現在のMetheny的ではないが,昔のPat Methenyだったらこういう方向性もありだったかもしれないという感覚を覚えさせる。
だが,ここでのサウンドはそうした感覚を越えて,もはやロック,特にプログレッシブ・ロックと言ってもよい響きさえ聞かせるのである。これをジャズと呼ぶのかと問われれば,正直に言えば微妙ってところもあるが,そうしたボーダレスな部分が私を刺激すると言ってもよい。これは完全に私の中にあったBen Monderのイメージを覆している。それは決して悪い意味ではない。そんなに強烈なイメージではなかったところに,Ben Monderが入り込んできてしまったということである。"39"におけるアコースティック・ギターでのアルペジオなんて凄いことになってるしねぇ...。
さすがにタイトル・トラックのごとく1曲24分を越えると若干の冗長性を感じないわけでもないし,10分を越える長尺曲が3曲もあるのがこれまたプログレっぽくもあるわけだが,それでもこの演奏はなかなかに面白い。コンベンショナルなジャズ・ファンが聞いたら「なんじゃこりゃ~」という反応確実だが,ロックを聞いてきたリスナーにとっては,むしろこれもジャズ?って感じで,新しいファンの開拓につながるような演奏である。アンビエントな感覚のBen Monderの曲もあるので,いろいろなタイプの音楽が詰まっていて,聞いていて飽きることはない。だからと言って万人には勧められないタイプのアルバムなのも事実。しかし,見逃すには惜しいアルバムということで星★★★★。言ってることがなんだか無茶苦茶アンビバレントな感じだなぁ(苦笑)。でも結局のところは好きってことである。
Personnel: Ben Monder(g, b), Theo Bleckmann(vo), John Patitucci(b), Skuli Sverrisson(b), Ted Poor(ds), Gian Slater(vo), Martha Cluver(vo)
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TBありがとうございました。
昔のビル・フリの音、みたいなのをapple musicで探して、これを見つけました。ジャズとかロックとか、もう関係なく、こういう音が好物ですね。記載内容、まったくそのとおり、です。
投稿: ken | 2016年3月 7日 (月) 08時04分
kenさん,こんばんは。TBありがとうございます。
私もこういう音は好きですねぇ。ちょっとした冗長感は否めないですが,それでもこれはなかなか聞かせるアルバムでした。まぁ,Ben Monderらしいと言えばその通りですね。
投稿: 中年音楽狂 | 2016年3月 7日 (月) 19時50分