今回仕入れたSmalls Liveシリーズの2枚目:Alex Sipiagin
"Live at Smalls" Alex Sipiagin(Smalls Live)
今回,米国から飛ばしたSmalls Liveシリーズの新作は2枚。先日取り上げたWill Vinson盤と本作である。Will Vinson盤は非常にいい出来だと思った(記事はこちら)が,メンツ的には実はこちらも非常に期待値が高かった作品である。
本作のメンツを見れば,Criss Crossから出たOpus 5に近いことはすぐにわかるわけだが,Opus 5からドラマーがDonald EdwardsからNate Smithに代わっているというのがポイントが高い。Nate Smithと言えば,Chris Potter Undergroundでの超絶ドラミングも記憶に新しいが,私が以前,SmallsでSipiaginのバンドで叩くNate Smithを見た時もそれはいい仕事をしていた(その時の模様の記事はこちら)からである。あの時は今回参加のSeamus Blakeは日本公演中だったのだが,それを見逃した私はSipiaginバンドを見て溜飲を下げていたのであったのも懐かしい。
それはさておきである。ここでの演奏を聞くと,2年前に聞いたSipiaginバンドを生で見た時の感覚がよみがえる感じである。あの時の演奏よりはややコンベンショナルな感覚は強いが,それでもこれだけのメンツが揃えば,聞き手を興奮させる演奏をすることが当たり前のように思えてしまう。私の好きな"Destinations Unknown"からも2曲やってるしねぇ。
実を言うと,私はOpus 5のアルバムにはどうもピンとこなくて,2枚目の"Pentasonic"は1枚目よりはいいかなぁと思いつつ,当ブログに記事さえアップしていないし,Sipiaginの最新作"Overlooking Moments"にも超興奮ってわけにいかなかったこともあって,このアルバムを聞く前には若干の不安がなかったわけではない。だが,聞き始めてみれば,こちらの想定する通りの音が出てくるからホッと一安心である。もちろん,このメンツだったら,もっと激しく行けるとも思えるのだが,激しければいいというものでもないし,各人のソロの質が相当高いので,これもWill Vinson盤並に満足できる作品だと言ってよい。
だが,Opus 5でもそうだったのだが,SipiaginとKikoskiに比べるとSeamusにもう少し頑張って欲しいなぁと思える部分がないわけではない。ちょっとした感覚の問題なのだが,あと一息のパワフルな吹奏があれば,尚よかったように思う。全編,"Returning"のようなソロを取っていては血管が切れるかもしれないが(笑),私がSeamusの望むのはこれなのだ。ただ,そのあと一息感はSeamusのせいというよりも,本シリーズの特性であるローファイな音のせいかもしれない。多分,生で見ていたら,CDで聞く以上の興奮はしていただろうと思わせるには十分な吹奏はしていると思う。また,Nate Smithの力を示すようなメカニカルかつパワフルな演奏を期待している私にとっては,これで音がもっとよく録れていたら更に興奮しただろうと思ってしまう。もちろん,"Pass"でのソロや"Returning"でのドラミングにはSmithの実力は十分捉えられているが,リスナーは贅沢なのである。私がプロデューサーなら"Returning"を冒頭に持って行って,イケイケ感を演出したかもしれないあなぁ。
と,ああだこうだと言ってはみても,こんな演奏を眼前でしょっちゅう聞けるNYCの聴衆は羨ましい限りだと思うし,いかにも夜な夜なSmallsで演奏されているって感じの典型的な演奏とは言え,これは満足度が高い。いずれにしても,Sipiaginは絶好調をキープしている。星★★★★☆。
ということで,今回入手の2枚はどちらも逸早く入手してよかったと思っている。だったらもっとさっさと記事をアップしろってお叱りを受けそうだが,ここのところちょっと忙しかったもんで...。
Recorded Live at Smalls on June 25 & 26, 2012
Personnel: Alex Sipiagin(tp, fl-h), Seamus Blake(ts), David Kikoski(p), Boriz Kozrov(b), Nate Smith(ds)
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