Smalls Liveの新作はWill Vinsonから
"Live at Smalls" Will Vinson(Smalls Live)
私はこのシリーズを全部買っているわけではないが,Smallsというクラブの魅力についてはこのブログでも書いてきた(記事はこちら)し,ライブ録音の場にも立ち会ったことがある(記事はこちら)。キャパとしても適切,雰囲気もよく,かつエスタブリッシュメントではないが,相当の実力者が手頃な価格で聞けるこのクラブは私としても評価が高い。そんなSmallsが同所でのライブ盤をリリースするようになって結構な時間が経過し,カタログも充実してきている。今回も4月半ばぐらいに告知が出て,フィジカルなCDを早速発注した私である。今回は2枚。本作ともう1枚はAlex Sipiaginである。どちらもメンツがいいので期待していたが,まずはWill Vinsonからである。
Will VinsonはCriss Crossからもアルバムをリリースしているが,私が彼を聞いたのは同じSmalls LiveシリーズのAri Hoenig盤のことであった(記事はこちら)。そこでも私はVinsonのプレイぶりに相当感心していたが,彼の音楽を聞くのはそれ以来ってことになる。今回のメンツは特にLage Lundとはしょっちゅうやっているみたいだが,まぁ気ごころが知れたメンバーってところではないだろうか。特にLundの場合,Vinsonのアルトとのユニゾンも目立つし,活躍の機会が大きいように思える。
そして展開される音楽はいかにも現在のNYCっぽいって感じである。変拍子にモーダルなアプローチを加え,極めて現代的な響きが強い。ここでは珍しく,Matt Brewerが一部でエレクトリック・ベースを弾いているのもそうした響きを強く感じさせる要因かもしれないが,やはりこれは「最先端」の音とは言わずとも,今のシーンに多く聞かれる感じだなぁって気がする。そうした中で,スタンダードとして一曲"Stablemates"が入っているが,アドリブ・パートになると途端に自由度が高いと言うか,いい意味でのグシャグシャ感が増してくる。もう1曲Duke Ellingtonの"Morning Glory"という曲も入っているが,不勉強にして私は初めて聞いたかもしれない。ここではVinsonとLundのデュオが展開されている。それ以外はVinsonとLundのオリジナルなので,このバンドはこの二人の双頭バンドだと言ってもよいかもしれないが,いずれにしても,全編を通じて,スリリングな展開と高レベルなソロが聞けて,これはなかなかよい。
まぁ,Smalls Liveの録音は超手作りというか,かなりローファイな感覚で作られているので,音としては大したことはないが,それでもこういう演奏が繰り広げられているのだという十分なドキュメントにはなっている。
昨今はNYCを訪れる機会にも恵まれていないが,やはりこういう演奏はライブで見たいよねぇと思うのが人情である。ますますNYCへの想いは強くなるが,また行きたいなぁと思わせるに十分な音源であった。星★★★★☆。
Recorded Live at Smalls on December 4 & 5, 2012
Personnel: Will Vinson(as), Lage Lund(g), Aaron Parks(p), Matt Brewer(b), Marcus Gilmore(ds)
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