これまたかなりの出来と言ってよいGilad Hekselmanの新譜
"This Just In" Gilad Hekselman(Jazz Village)
これも久々のショップのぞきで購入したCDである。Gilad Hekselmanというギタリストについては以前のAri Hoenigのアルバムでのプレイぶりに感心してはいた(記事はこちら)ものの,リーダー作まで追い掛けるところまではいっていなかったのだが,今回はショップでちらっと試聴して購入決定である。これもメカニカルな響きも織り込んだ典型的なコンテンポラリー・スタイルのジャズであるが,非常に魅力的な響きを持っている。
Gilad Hekselmanは1983年生まれということで,まだ30歳そこそこってところであるが,テクニックも十分あれば,歌心も備えたミュージシャンということができると思う。このアルバムは3曲でMark Turnerが加わるが,基本はギター・トリオによる演奏で,Hekselmanの実力が十分に感じられるものとなっている。その中で,面白い選曲がAlan Parsons Projectによる"Eye in the Sky"である。この曲をジャズ・アダプテーションしたというのは私の記憶にはないが,私の好きなバンド,そして優れた曲なので,どういうことになるのか非常に興味深く聞いた。そして聞こえてきたのは,Pat Methenyの"James"にも似た響きだったのは意外だったが,これはMethenyへのシンパシーというか,強い影響のようなものを感じるものとなっていた。また,それに続くインタールード的に挿入される"Newsflash #5"がこれまた"The Roots of Coincidence"的なハードな響きを持っていて,やはりMetheny的である。まぁ,現代のジャズ・ギタリストでMethenyの影響を受けていない方が少数派かもしれないが,ここにMethenyへの明確なシンパシーを感じるのは私だけではあるまい。
"Eye in the Sky"のほかに収録されているカバー曲はDon Grolnickの"Nothing Personal"であるが,この曲はMichael Breckerの当たり曲であって,どちらかというとクールな響きを持つMark Turnerが,ここでも決して熱くはならない(笑)が,Breckerのライブよりはややテンポを落とした演奏の中で,いつもよりアグレッシブな感じの吹きっぷりで気に入った。カバー曲ということであれば私は"Eye in the Sky"よりこちらを評価したいと思っている。
この2曲以外がHekselmanのオリジナルで,先述の通り,コンテンポラリー・ジャズ・ギターの代表みたいな曲であり,演奏である。曲間に"Newsflash"という曲が#1~#5として短いインタールードのようなかたちで挿入されているが,その効果のほどはやや疑問があるとしても,このアルバムは共演者の好演もあってなかなか優れた出来を示し,これならほかのアルバムも聞いてみてもいいと思わせる作品である。ついつい星も甘くなり星★★★★☆。
Recorded between December 2011 & January 2012
Personnel: Gilad Hekselman(g, synth, glockenspiel), Joe Martin(b), Marcus Gilmore(ds), Mark Turner(ts)
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どちらかというと繊細なギターの音だと思うのですが、フレーズや、時にエフェクターのかけ方からすると、やっぱり彼も現代ジャズのギタリストですね。オリジナリティもあるように思います。また、ギター・トリオでも過不足なく安心して聴けるところがなかなかやり手かな、と思います。
TBさせていただきます。
投稿: 910 | 2013年6月 6日 (木) 08時51分
910さん,こんばんは。TBありがとうございます。
結構コンテンポラリーな響きもあって,楽しめる作品でした。Mark Turnerの出番がもう少しあってもいいとも言えますが,アクセントという意味ではこの程度でもいいかなぁとなかなか微妙です。
いずれにしても,バンドとしてのクォリティも高く,これは予想よりも楽しめる作品でした。
ということで,こちらからもTBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2013年6月 6日 (木) 23時04分