George AdamsとECM?と思いがちだが,なかなかいいんだよねぇ。
"Sound Suggestions" George Adams(ECM)
大方のリスナーにとっては,George AdamsとECMの相性については「どうなんだろう?」と思うのは当たり前だと思う。かく言う私もそうである。ウィスキーをラッパ飲みしながらライブで演奏する野獣系テナー,George AdamsがECMのレーベル・カラーと合いそうだとはとても想定できない。しかしである。このアルバムを聞いていると,全然違和感がないことに驚かされる。
メンツからすれば,Adamsを除けばECM的なメンツであると言ってもよい。まぁ,もう一本のテナー,Heinz SauerもECM吹き込みが多いわけではないが,ドイツ出身だからECMと縁があっても不思議はない。だからこそAdamsが浮くわけだが,演奏においては個性を出すべきところは出しつつ,バックの面々との親和性には問題がないのである。個性という点では,特に4曲目の"Got Somethin' Good for You"はECMらしからぬ「ど」ブルーズで,しかもAdamsがよじれヴォーカルで歌ってしまうというところが凄い。よくEicherが許したものだと思えてしまう。こういう曲をこのメンツでやるのはどうかねぇというところはあるものの,実はこの演奏には笑えるのでついつい許してしまうのである。
Adamsが吹いていないと,途端にECM的になるのもおかしいが,最後の"A Spire"なんて,冒頭のWheelerのラッパだけ聞けば,ECMの音にしか聞こえないのである。そして,ここでのAdamsは抑制的なトーンで,ECMらしいクロージングに貢献するというところに,Adamsの「意外」な(笑)バランス感覚を感じる。つまり単なる野獣ではないということである。
いずれにしても,本作はECMレーベルにおいては異色の作品ということになるだろうが,それでも十分に楽しめる作品であることに間違いはない。星★★★★。
ところで,今回はiTunesで本作を聞いたのだが,引越しの際に箱詰めしたのはわかっているのだが,まだ現物が見つかっていない。う~む(苦笑)。
Recorded in May, 1979
Personnel: George Adams(ts, vo), Heinz Sauer(ts), Kenny Wheeler(tp, fl-h), Richard Beirach(p), Dave Holland(b), Jack DeJohnette(ds)
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フリー・ジャズを纏った演歌テナーのようなジョージ・アダムスのECMって、ちょっと考えられない。 [続きを読む]

































































TBありがとうございました。
見た瞬間にコメントしようと思いましたが、最近はスマートホンで読んじゃうので、コメント投稿が面倒なのですよね。という怠け者になっています。
こんな(といっちゃいますが)変なアルバムを今時アップするブログは好きですね。ホント。井上敬三も一時聴いていたので、キュンときます。あの80年代を思い出しますからね。20代だった。
今からアダムスを聴くと前衛性のカケラも感じず、むしろ土着性の強さ、カークに近い世界を感じます。また聴きたくなりました。
こちらからもTBします。
投稿: ken | 2013年4月 3日 (水) 07時37分
kenさん,こんばんは。TBありがとうございます。
私もブログはスマホで見ることが増えましたので,私もコメントの返信は相当遅れていると思いますから,どうかお気になさらずに...。
「こんな(といっちゃいますが)変なアルバムを今時アップするブログ」と言って頂けるのは褒め言葉と思っておきますが,やっぱり変ですよねぇ(笑)。
私もAdamsは情念たっぷりの演歌の世界だと思ってますが,ちょっと違うタイプの伴奏で歌ってみましたって感じですよね。好きですが。
投稿: 中年音楽狂 | 2013年4月 3日 (水) 22時21分
アダムスは確かギルエバンスと来日した時に聴いた気がしますが、定かではありません。昔すぎて
(笑)
ただ、バナナホールのライブでは長い客テーブル
の上で吹きまくってました。これはしっかり覚えてます(笑)マウントフジでの名演も懐かしいです。
素敵なブログをありがとうございます。
投稿: ノブ | 2018年6月20日 (水) 12時49分
ノブさん,はじめまして,ですかね。古い記事にコメントありがとうございます。
George AdamsはGilのオーケストラのレギュラーでしたが,日本には狂ったJaco Pastoriusと一緒に来た時でしょうか?あるいはMilesとのダブルビルの時ですかね?何れにしてももう34-5年前です。懐かしいです。
私がSweet BasilでGilを見たときには,George Adamsはウイスキーをラッパ飲みしてました。そういう人なんですね(笑)。
こんなしょうもないブログですが,今後ともよろしくお願いします。
投稿: 中年音楽狂 | 2018年6月20日 (水) 13時08分