またまたコレクターはつらいよ(15):Petra Haden盤での素晴らしき"Calling You"
"Petra Goes to the Movies" Petra Haden (Anti)
マレーシアから帰国したばかりで,バテバテ状態のため,ちゃんと音楽を聞いていないので,ちょいとストックしておいた記事をアップである。
Charlie Hadenの娘,Petra Hadenの多重録音によるほぼアカペラ・アルバムである。ほぼというのが曲者で,迎えたゲストが父Charlie(1曲),Bill Frisell(2曲),そしてBrad Mehldauが1曲だけ参加である。Brad Mehldauのコンプリートを目指す以上,こういうのも購入しなければならないというのがつらいが,それはそれとして,このアルバム,なかなか面白い。
本作はPetra Hadenが新旧の映画音楽を歌ったものだが,曲のセレクションがへぇーと思わせるようなものもあって,それが面白い。脈絡がないと言えばその通りだが,取り上げられているのは「理由なき反抗」,「タクシー・ドライバー」,「暴力脱獄」,「ニュー・シネマ・パラダイス」,「荒野の用心棒」,「サイコ」,「ゴールドフィンガー」,「8 1/2」,「トッツィー」,「スーパーマン」,「マイ・ボディガード」,「シェフとギャルソン,リストランテの夜」,「バグダッド・カフェ」,「ソーシャル・ネットワーク」,「コードネームはファルコン」である。分裂症的チョイスとも言えるが,更に輪を掛けるのが選曲に合わせるかたちで,ジャケやライナーを飾るPetra Haden自身による映画のキャラへのなり切り(コスプレ)ぶりである。これがポイントが高い。とにかくこれが笑えるのだ。これが面白過ぎて肝腎の音楽への関心が高まらないってことにならないかと余計な心配をしてしまう私である
音楽はほぼアカペラということもあってかなりクセは強い。映画に関心がなければ,リスナーにはややハードルが高いと思わせる部分がある。それでもこれらの音楽をどう料理するのかを考え,かつオリジナルを知っていると面白さは増すと思う。だが,正直なところ,Petra Hadenには申し訳ないが,彼女がアカペラでやった曲よりも,ゲストの伴奏で歌った曲の方が私にとってははるかに味わい深いものであったし,彼女の声の魅力を感じさせるものだったように思える。
ここでBrad Mehldauが客演したのは「バグダッド・カフェ」から"Calling You"であるが,元が素晴らしいこの曲を支えるMehldauの伴奏が美しい。私はここでのMehldauのソロにKeith Jarrett的な響きを感じているのだが,やはりMehldauが成熟度を増すとKeithのようになっていくと予想させるに十分な演奏のように思えた。
この1曲だけのために本作を買うのは私のような物好きだけかもしれないが,Mehldauファンにとっては必聴の好演と言える。アルバムとしては星★★★☆ぐらいのものだが,この曲と父やFrisellの伴奏付きの歌唱なら満点と言ってもよい。
Personnel: Petra Haden(vo), Brad Mehldau(p), Bill Frisell(g), Charlie Haden(b)
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こんにちは〜
娘さん、美人ですね〜
ジャケとライナーの中の写真だけ見ても 楽しいかもですね。
こういった アルバムにも メルドーが参加しているんですね♪
投稿: Marlin | 2013年2月10日 (日) 17時06分
Marlinさん,こんばんは。これはですねぇ,ジャケも含めて楽しむべきアルバムだと思いましたです。
なぜここにBrad MehldauがいたかというのはCharlie Hadenとの付き合いがあるからだというのが順当でしょう。それはさておき,ここでの"Calling You"は痺れるできでした。1曲のために購入してもこれなら納得できます。財布には痛いですけどね(笑)。
投稿: 中年音楽狂 | 2013年2月10日 (日) 21時40分