Patti Smith教入信! 慈愛とパワーと。
Patti Smithが来日することはわかっていたのだが,出張日程とのバッティングの可能性があったため,実はチケットの購入を見送っていた。しかし,日程的に問題がないとわかって慌ててチケットを購入したのが先週のことである。席はオーチャード・ホールの2階の3列目だから全然問題なし。客層はさすがに私よりは若い人が多いが,30代〜40代が中心だろうか?
そして始まったライブだが何とシンプルなステージなことか。飾りっ気全くなし。またそれがいいのだが。ライブの前半は最新作"Banga"からの曲が中心。冒頭は"April Fool"だったと思う。どちらかと言えばソフトな曲調が続き,聴衆に手を振るPattiの姿を見て,アイドルみたいだと思っていたのは私だけではないだろう。だが,そんな雰囲気が一変したのは東日本大震災の鎮魂曲とでも言うべき"Fuji-san"あたりからか。もはやスピリチュアルなものさえ感じさせて,感動的な歌唱であった。更にAmy Winehouseに捧げた"This Is the Girl"も泣かせる歌いっぷりだったが,このあたりには私はPatti Smithによる慈愛のような感覚をおぼえていたのであった。
そこからLennie Kayeを中心とするハードな(本人曰く)ガレージ・ロックのセットをはさんで,ライブの模様は更に変化を示す。そこからはベスト盤"Land"に収められたPatti Smithの有名曲の連続となり,歌唱,演奏は激しさを増していき,まさにパンクのゴッドマザーとしての面目躍如である。ある意味超リベラルなパワーをまざまざと感じさせたのであった。"Rock'n Roll Nigger"だ,"People Have the Power"だ,"Gloria"だと本当にこの人は現在66歳なのかと思わせるような激しさではないか,アンコールの後,ギターをフィードバックさせたままでステージを去るのもカッコよ過ぎである。
誤解を恐れずに言えば,これはもはや宗教的なものを感じてしまった。正直言って,私も感動してしまっていて,Patti Smithを教祖とする宗教があるなら即入信致します!って感じであったのである。今までだってファンだったが,そのレベルが上がってしまった。
オーチャード・ホールを埋めた聴衆も特に後半はPattiの歌唱に興奮の坩堝に叩き込まれたってところだと思うが,その激しさを支えていたのはLennie Kayeを筆頭とするバック・バンドである。特にLenny Kayeのギター・フレーズは美しさと激しさを両立させた素晴らしいものであったことは付け加えておかねばなるまい。前半は若干ベースがブースター効き過ぎって感じだったのは惜しいが,後半には改善されたから文句は言うまい。
いずれにしても,こんな素晴らしいライブに接する機会が日本であと5回あるのだ。名古屋,金沢,大阪,広島,福岡の皆さんは見逃すこと,聞き逃すことなかれ。特に広島にはPatti Smithは特別な思いを持って訪れるという話も伝わっている。広島でのライブは更に熱いものとなること必定と思う。私だってもう一度行けるものなら行きたいぐらいである。それぐらい感動した。最高のライブだったと言ってしまおう
今一度,Patti Smithの音楽を詩も咀嚼しながら聴き直すことを決意した私である。
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