普遍的な魅力を持つSchiffの「平均律」
「Bach: 平均律クラヴィーア曲集全曲(Das Wohltemperierte Clavier)」 Andras Schiff(ECM New Series)
本作もリリースから随分と時間が経ってしまったが,本年のうちに記事を上げずにはおけない作品である。最近のSchiffはECMにおいて,多数の作品をリリースしているが,Schiffのバッハとなればやはり聞いておきたい。
バッハの「平均律」は誰しもが耳にしたことのある曲集であり,そもそも既に普遍性を持った曲だと言ってもよいものである。その既に普遍性を持つ曲に,普遍的な魅力の演奏を加えたと言ってよいSchiffの「平均律」再録音である。
「普遍的」と言ってしまえばそれまでなのだが,逆の見方をすれば,強烈な個性や独自性を打ち出したものではない。だが,「平均律」のような曲に私はギミックは不要だと考えているし,今年は大してクラシックの新譜を聞いていないものの,そうした中でも「別格」の一作を除けば,非常にプレイバック回数も多かったし,大きな感銘を受けた全曲集である。私にとっては,「平均律」はこう弾いて欲しいというかたちの演奏と言ってよく,個人的にはこれこそある意味での今後の「スタンダード」となりうる作品だと感じた。久しくDecca盤のSchiffの「平均律」も聞いていないが,年末年始には両作をゆっくりと比較できればなんて思ってしまった。いずれにしてもこれは星★★★★★をつけてよい演奏だと思う。
それにしても,輸入盤と国内盤の価格差が大き過ぎである。敢えて国内盤を2倍以上の値段を出して買うことは私にはありえないなぁ。あと,全くの余談だが,ECMのオーナーであるManfred Eicherには,Schiffのベートーベンのソナタのボックス・セットを早いところ廉価でリリースしてくれと頼みたいと思っているのは私だけではあるまい。
Recorded on August 11-14, 2011
Personnel: Andras Schiff (p)
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コメント
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確かに輸入盤と国内盤の価格差はかなりのものですね。
国内音楽産業の保護目的で再販制を維持していることの是非についてはともかく、
先週号の東洋経済のアマゾン特集によると、
アマゾンはそこに目を付けて、ダイレクトに米国のアマゾンに注文した場合、関税などの面倒な手続きを代行する仕組みを目指しているとのこと。(来年?)
米国アマゾンに直接発注して国内ネット販売業者同様に安心の代引きで買うことができるようになると、内外価格格差を利用したタワー・レコードのようなビジネスモデルや国内音楽パッケージ流通業者が大打撃をうけるのは確実ですね。
投稿: mmm | 2012年12月10日 (月) 08時41分
mmmさん,こんばんは。さすがAmazonのやることは鋭いですね。ちゃんと弱いところにつけ込んでくるところが競争戦略を勉強している方々~って感じです。
今までの護送船団方式あるいは保護主義的なアプローチがもはや立ち行かないことをまだ日本の業界が理解していないこと自体,Amazonの軍門に下ることを示しているように思えますね。
投稿: 中年音楽狂 | 2012年12月10日 (月) 22時59分