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2012年12月26日 (水)

2012年を回顧する:音楽編(その3)

Sleeper

おそらくは皆さんには退屈であろうロンバケ・シリーズをちょいとお休みして,回顧シリーズをはさみたい。実はこの記事は出国前に書いてあったのだが,アップをしていなかったもの。本年の回顧シリーズもこれが最後。最後にジャズのカテゴリーである。今年も購入した枚数もアップした記事もジャズが一番多いのはいつも通りである。そんな中で,今年最も感動したアルバムは何だったかというと,録音は古いがKeith Jarrettの"Sleeper"だったように思う。これを今年のベスト作とするにはやや抵抗があるのは事実だが,このテンションは凄いと思った。ECMのアーカイブ・シリーズではMagicoのライブもよかったが,"Sleeper"の域には達していないようにさえ思わせる戦慄盤。いずれにしてもこんな音源を出されては,恐れ入りましたと言わざるをえないが,このように優れた音楽が聞けるのであれば大歓迎である。

Fred_hersch_trio_vanguard

発掘作ではないものから選ぶとすれば,感銘度からするとFred Herschの"Live at Village Vanguard"が最も高かったように思う。ここでのHersheは完全に闘病モードから脱しており,力強ささえ感じさせたのは驚くべきことであった。私はもとからHerschを高く評価しているが,ここでは非常にレベルも緊密度も高いトリオ演奏を聞かせてもらい,更に好きになってしまった。来年にはソロでの来日の噂もあるが,是非トリオでも来日して欲しいということで,本作をピックアップすることにしたい。ここからはFred Herschにつきまとう「病魔との闘い」というフレーズは全く不要。そんなものを微塵も感じさせない快演揃いである。これは本当に素晴らしいことである。

Mehldautriowheredoyoustart

同じくピアノ・トリオ盤ということになってしまうが,我がアイドルBrad Mehldauの"Where Do You Start"は素晴らしい出来であった。何よりもMehldauの様々な音楽への目配りが感じられて,曲の本質的な魅力をあぶり出す能力が十分に発揮された作品となった。本当にいろいろな音楽を吸収していると思わされるが,本作のタイトル・トラックにうっとりとさせられたリスナーは多いはずである。今年,Mehldauはトリオで2作をリリースしたわけだが,"Ode"も悪くなかったが,私はこのタイトル・トラックゆえに"Where Do You Start"を選んでしまうというのが正直なところである。ライブには必ずしも首肯できなかった私も,本作は完全にOKであった。いつものことながら,彼のファンでよかったわと思ってしまう私である。

Accelerando更にピアノ・トリオ盤ということで,まずいかなぁとも思いつつ,やはりこれは決して無視できないと思わされたのがVijay Iyerの"Accelerando"である。タイトルのごとく,音楽における「加速度的」訴求力を感じさせながら,非常に理知的な演奏を展開されていて,正直驚かされたのも記憶に新しい。音楽的に言ってしまえば,なかなか一筋縄ではいかない人だという気もするが,この演奏については非常に感銘を受けたし,今までこの人を聞いてこなかったことを後悔したと言ってよいだろう。米国でも玄人筋からの評価の高いIyerだが,ライブも見てみたいと思わせる本当の才人である。だが,日本に呼ぶのは難しいかなぁ。

Nik_bartschs_ronin_live

先述の"Sleeper"以外にも今年はECMレーベルからも多数の新作がリリースされたが,その中で私を興奮させたのがNik Bärtsch's Roninのライブ盤である。ミニマルな音楽でありながら,ファンクを感じさせる彼らの音楽は,一種特有のグルーブ感を生み出しており,聞いていて何とも心地よいのである。非常にカッコいい音楽として,より多くのリスナーに聞いて欲しいと思ってしまう。ただ,ミニマル・ミュージックに耐性がないと,何のこっちゃになってしまうわけだが,これが気持ちよいと一度感じてしまえば,癖になること請け合いである。私は前回のバンドでの来日は見逃しているので,次の機会は絶対見逃せないと思っている。ちなみにShaとのデュオ・ライブってどんな感じだったんだろうか。

The_eleventh_hourもう一枚,これにはびっくりさせられたということで挙げておくと,Johnathan Blakeの"The Eleventh Hour"である。初リーダー作にしてこれほど優れた作品を出してしまっては後で困るのではないかと思わせるほど,このアルバムはよく出来ている。Tom Harrellに鍛えられた成果が出ているというか,本当に才能のある人だったのねぇというのを感じさせてくれる作品であった。

このほかにもいいアルバムは多数あったということで,2012年も実り多き1年だったと言ってよいのではないかと思う。ここに挙げられなかったものではJohn TaylorやSimcock~Garland~Sirkis,そしてJerry Bergonziが最高の出来だったCarl Winther盤,超絶フリーを聞かせたBrotzman~佐藤~森山も記憶に残る。Unity Bandはどうした?って声が聞こえてきそうだが,私はあのアルバムは相応の評価はしているが,感銘度からすると,ここには上がってこないというのが正直なところである。期待値が高過ぎたせいもあるが,もっとはじけた感覚があってもよいと思えたからだ。ライブを重ねて,バンドはよりタイトなものへと変容しているはずであるから,来日時にはその神髄を聞かせてくれるであろうが,アルバムとしてはトップ10には入ってくるとしても,ここからは外す結果となった。

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ジャズ(2012年の記事)」カテゴリの記事

コメント

こんばんは〜
やはり!
全部良いと言っておられた キース、ハーシュ、メルドーが入りましたね。
メセニーが入らなかったのは意外です。

今年も、閣下さまのお薦めから一枚でも聴けて良かったです♪

Marlinさん、こんにちは。

Unity Band入れてもよかったんですが、根が天邪鬼ですし、私が選ばなくてもほかの方が選ばれるはずなので、敢えて選出することもなかろうという判断もありました。私にとっては「最高っ!」とまではならなかったですしね。

いずれにしても、Brad MehldauがMarlinさんのお気に召したのは幸いでした。

今年もお世話になりました。
そして、お帰りなさい!

ECMのアーカイブシリーズ?って、なんだか、狡い気がする。(笑)
年間ベストを考える時は、外してしまいました。
ユニティバンドはわたしがしっかり一位にしましたから、、ご安心を!(爆)
来年は来日ライブだそうですが、、いけなかったら、、一年間落ち込みそうです。

では、来年もよろしくお願いいたします。

音楽狂さん、ご無沙汰しています。
ロンバケ羨ましいかったです。Brad Mehldauの"Where do you start"はなんか素直にグッと来る作品ですぐに愛聴盤になりました。Mehldauの作品がすぐにビビっとくることってないんですが、やはりラストが反則でした。

というわけで、今年も1年多くの音盤ご紹介ありがとうございました。来年も宜しくお願いします。

Suzuckさん,TBありがとうございます。

完全新譜にこだわるという考え方は多分正しいと思うんですが,それを越える魅力が"Sleeper"にはあったように思えます。とにかく,一番びっくりしたというのが正直なところです。

Unity Bandのライブは見たいですけれども,ちょっと高いですよねぇ。考えちゃいますね。きっと行くでしょうけど(笑)。

ということで,こちらからもTBさせて頂きます。

本年もお世話になりました。来年もよろしくお願いします。

とっつぁんさん,こんにちは。TBありがとうございます。

カナダでのバケーションは終わってしまいましたが,まだまだ年末年始休みは続くということで,あと1週間以上ありますがな(笑)。

Brad Mehldauはトリオ盤が2枚出るという1年でしたが,どちらもいいとしても,私は"Where Do You Start"のタイトル・トラックにやられたというのが実感です。"Ode"もいい作品ですが,どちらを愛聴したかと言えば,やはり...って感じでしょう。

今年は記事にしきれない作品も多数あって,実は心残りな部分もあります。しかし,毎日記事をアップするのはちょっと厳しくなってきたこともも事実で,来年はどういう運営にしようか考え中です。まぁ,大きくは変わらないと思いますが,是非今後ともよろしくお願いします。

ということで,こちらからもTBさせて頂きます。よいお年を。

無事ご帰国お帰りなさいです。
今年も色々と情報交換させていただき、
有難うございました。
拙ブログでも今年の私的で選んだべスト盤
紹介しております。ご笑覧ください。
http://ameblo.jp/otremazul/entry-11438391346.html

Maria Schneider Orch.良かったです・・・・・
で、Maria Ritaの2枚組みライブ盤。
母親を超えようとしています、涙モノです。
年末は二人のマリア様に救われました(笑)

来年も宜しくです!良いお年を!

Izui Ochoswiyerさん,あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いします。

Maria Ritaはこれからちゃんと聞きたいと思っていますが,あれはちょいと聞いただけでも素晴らしいですね。私は2013年盤としますが,ブラジル部門ではもはや有力でしょう。Maria Schneiderは皆さんほめてますよね。行っとけばよかったかなぁ。

ともあれ,今年もよろしくお願いします。

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