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2012年11月 7日 (水)

Marcin Wasilewski Trioライブ観戦記

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昨日もお知らせしたとおり,11/6,Marcin Wasilewski Trioの来日公演を見に行ってきた。場所は白寿ホールという聞きなれない場所であったが,キャパは300人の,元来クラシックが基本のホールのようである。Wasilewskiのような繊細なサウンドにはこうしたホールもフィットするかもしれないなぁなんて思いつつ,今回のPAはオノ・セイゲンが担当するという情報も入ってきていた。会場に入ってみると,確かに通常のPAとは異なり,写真にもあるように,ECLIPSE TD712Zというスピーカーを10本配置するという代わったスタイルであった。そうしたホールに駆けつけた聴衆は6分の入りってところか。まだまだポーランド・ジャズについては認知度は高くないようだと思わせるが,その一方で,(リアルでは初めてお会いした方も含めて)ブログのお知り合いの皆さまがいらっしゃること,いらっしゃること。かく言う私もイタリア・ジャズの女神さまことrhodiaさんとご一緒させて頂いて,そうしたブロガーの一員にはなっていた(笑)。

そしてこの不動のトリオによる演奏である。端的に言えば,緩と急を交互に表出させるような選曲だったと思えるが,大部分はECMレーベルの最新作"Faithful"からのものと思われる。それに加えて「ローズマリーの赤ちゃん」もやっていたが,実際に演奏したのはアンコールのPrince作"Diamonds And Pearls"まで入れて(多分)全9曲,約80分程度ってところだったと思う。ホールでのライブにしては若干短めながら,十分にその魅力は堪能できたように思える。

特に私が感心したのはWasilewskiの右手から繰り出される誠に見事としか言いようのないメロディ・ラインである。テンポの遅い曲でも速い曲でも,その美感が損なわれることがないのは大したものである。私は今回のライブを聴きながらさしずめ「奇跡の右手」だなぁ~なんて思っていたぐらいだが,それぐらい印象的なフレーズを次から次へと繰り出してくるのである。まぁ,どれも同じように聞こえるという気がしないでもない(爆)が,それでも十分にリリカルで美しいソロを展開していたと思える。こういうフレージングを繰り出すWasilewskiであるから,神経質そうな一面も見せてもなるほどと思うのだが,テンポが上がってくると,足を踏み鳴らしたり,Keithほどではないが,椅子から若干立ち上がって演奏する等の側面も示していたのは出てくる音とのギャップありって感じである。

ベースのSlawomir Kurkiewiczも素晴らしいベースであることはそのバッキングでもソロでも明らかなのだが,いかんせん,前半でのベースの・ボリュームがやや低く,十分に聞き取れなかった部分があったのは残念である。後半には多少修正され,ちゃんと聞こえるようになったが,それでもちょっと惜しかったように思える。そして,今回のライブにおいて,最も問題があったのがMichal Miskiewiczのドラムスではないか。ブラシやマレットを使っている時は全然問題ないのだが,スティックで音量を上げて叩くと,バンドとしてのバランスを若干崩していたように思えるのである。これは演奏のせいだけとは言い切れない部分もあって,PAのバランスがよくないという考え方もあると思う。そもそも1曲目でピアノが一瞬ではあるがハウリングを起こし,Wasilewskiがのけぞっていたのを聴衆は見逃していまい。いずれにしても,私にはMisliewiczのドラムスの音量はもう少し工夫があってもよかったように思えるのである。スローな曲で楚々としたというか控え目な伴奏をつける分には問題はなかったのだが,ドラムスが自己主張を始め出すと,具合が悪くなる傾向があったことは否めない。リハーサルをしてサウンド・バランスは決めているとは思うのだが,それにしてもドラムスがバランスをやや崩していたのはもったいない。でもこれはPA担当のオノ・セイゲンの責任と言ってもよいものだろう。

やや辛口になったが,私はWasilewskiの演奏には全く文句はなく,やはりこの人の才能は大したものだということを再確認した次第である。ライブとしては大体満足のいくものだったのだが,それでももっといいライブになりえただろうという感覚を残したのも事実である。逆に言えば,クラシック向けのホールにおけるPAを使った音響の難しさということを感じさせたと言ってもよいかもしれない。サントリー・ホールのBrad Mehldauもそれで私には駄目だったのかなぁなんて思い出しつつ,やっぱりジャズはクラブなりライブ・ハウスで見るのが正しいんだと思ってしまう私である(ちなみに,以前,Wasilewskiのライブ関連で書いた記事はこちら)。

2012年11月6日@白寿ホール

Personnel: Marcin Wasilewski(p), Slawomir Kurkiewicz(b), Michal Miskiewicz(ds)

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コメント

全然ブログを書いていないrhodiaですが、今夜はありがとうございました!
すずっくさんやmonokaさんにもお会いすることが出来てよかったです。
小すずっく、ちょっと似てましたね。かわいい。

演奏中話せないので黙ってましたけど、公演後「ドラマー・・・?」だけで何かを中年狂さんと一瞬で解り合えたので安心しました笑。
PAの件といい、Miskiewiczのバチ叩き過ぎと言いますか。。
Miskiewiczにベースが聴こえてるのか疑いたくなりましたよ。
Marcinの音色はリリカル!どんな旋律でもとんでもなく美しかったですね〜。次誰いきましょうね。

友だちとメールでドラムを話題にしてました。あのホールでジャズのドラムはきびしいなぁ。。と。
でも、それでも、どーにかするのもおミュージシャンとしての踏ん張りどころかと。楽器のケア、叩き方。。そういった対策をとっていたのかもしれませんが、ホールの魔物に喰われましたね。

マルチンは頑張ってましたね。
演奏のはじめと最後の曲は予想どおりでした。(笑)
ピアノの精霊が乗り移ったよーでした。でも、仲間の窮状をすくうが為かオーバーワークな場面が多かったきもします。そのせいかワンパターンな終わりかただったり。。しかし、、いろいろ差し引いても彼は世界水準は間違いないとおもったし、聴きに行けてよかったとおもいました。
パーマネントなバンドを長く続ける難しさを感じました。
でも、楽しかったですよ。これも本当。

名古屋で聴いた方が「今年のぶっちぎりの一番」と仰っていたので、ピットインで勝負させたかったでしね。が、ピットインという場所の有利さをのぞいても、ヘルゲリエン トリオの一体感のすごさを改めて実感しました。へっへへ。たぶん、、リエンのトリオのドラムはどーにかしたとおもいます。めちゃくちゃ音に拘ったドラムだったもの。まさに三位一体でした。

こすずっくは新宿のホームのところまで送ってくれました。世話がやけるすずっくで申し訳なーい、、でも、夕飯ご馳走したからいいや。

音楽狂さん、こんにちはmonakaです。
やっと遭遇しましたね。考えていたよりかスラッとしていて、Hの方とは思えぬ感じでした。
年に幾つか来日するもので聴いておきたいものにご一緒できましたね。
それを記録にとどめることもわたしは大切とおもいます。
TBさせていただきます。

rhodiaさん,こんばんは。昨晩はありがとうございました。

私はWasilewskiには完全満足モードだったんですが,PAにも問題があったように思えます。やっぱりああいうホールでやってはいけないんだと思いました。

いずれにしても,おそらく同じ感覚をおぼえていたというのは音楽の聞き方が似てるってことでしょうね。妙に納得してしまいました。次は何がいいか考えます。

すずっくさん,こんばんは。昨日はどうもありがとうございました。

私は演奏は悪いとは思ってないんですが,何とも言えない違和感があったんですよねぇ。ドラムスはニュアンス不足は否めないと思いますが,あのヴェニューにしては叩き過ぎました。アルバムを聴いている限りはいいんですけどねぇ。

それでもWasilewskiを見られた(聴けた)だけでも私には価値がありました。でももう少しやってもよかったですよねぇ。

monakaさん,TBありがとうございます。昨日はお目に掛かれましたが,ご挨拶だけであまりお話もできず残念でした。また次の機会にでもと思います。

すらっとした感じというか,monakaさんの影響というわけではないのですが,私,現在ダイエット中でして,ついこの間までは史上最高体重更新中というもっとデブな状態でした。ここ2カ月で6キロほど減量しまして,来年の春までにあと6キロ落とそうという野望を抱いております。まぁ,これだけ飲んだくれていれば無理でしょうが...(笑)。

昨日のライブは満足感と違和感が入り混じるってところでしたが,Marcin Wasilewskiは大したものであるということは間違いないと確信しております。

次回はいつになるかわかりませんが,日程さえ合えば,間違いなく来春のオーチャードではお会いできるのではないかと思います。是非リアルな世界でもよろしくお願い致します。

追ってこちらからもTBさせて頂きます。

おはようございます〜

みなさまと楽しめてよかったですね♪

ポーランドジャズは オラシオさまの記事で時々読んではいるのですが、まだまだ聴く機会がありません。
YouTubeにあるかな と、きのう検索していたのですが、ないような…

今回、ホールでのライブとのこと たくさんの方々が聴ける良い機会でしたね。
わたしも いつか ぜひ聴いてみたいです♪
まずは、CDからですね。

以前の記事のポスター 見たら たもさんかと思った(笑)
彼も こっそり!? こちらの記事 読んではると!? 思います(笑)

Toshiyaさん、こんにちは。

ブログのお仲間の繋がりは、スゴイですね!趣味を通じて、ご一緒に過ごせるのは素晴らしいです。音楽は、インターネットの世界も超えてしまうのだなぁ。。と改めて感心しています。

ポーランドのグループ。。ということで、今、調べ直して見たら、
3年前にこのトリオに、トマス・スタンコを加えた演奏を観ていました(笑)。そう言えば、トマス・スタンコが、写真を撮るなら、最初の5分以内にしてほしい、と言っていたのを思い出した。でも、皆、無視して、終始、バシバシ撮っていました。。

ピアニストの彼は、スゴ~く良かったのを覚えています。主人は、ピアニストが目立ち過ぎ、とか言っていましたが(苦笑)。
それにして、ドラマーとベーシストの印象が全くなくて、覚えていないのですが、ボーッとして聞いていたことには、間違いないなさそうです(笑)。

やはり、サウンドマンの腕にも、演奏が左右されそうですね。

Marlinさん,こんにちは。返事が遅くなりまして申し訳ありません。

皆さん,やはり同じような趣味をお持ちと言いますか,やはり集まるところには集まるんですよねぇ。monakaさんもおっしゃっていましたが,別にポーランドだからどうってこだわる必要はないと思います。私にとってはたまたまポーランド出身だっただけってことです。何てたってショパンの国ですから,ピアノについてはそれなりのものがありますよ。ワルシャワの空港なんてフレデリック・ショパン空港ですし...。

ということで,私はECMの3作ならどれをお聞きになっても大丈夫だと思っています。

Laieさん,こんにちは。そう言えば,以前,コメントでStankoをご覧になったと書かれていたように記憶しています。その時のバックはこのトリオですよね。それはそれで非常に羨ましいです。

まぁ,今回はいろいろな方と遭遇しましたが,バーチャル→リアルの関係ができるというのは素晴らしいことです。私のお知り合いはいい方ばかりなので,おかしなことにはなりませんしね。これからも交流を深めたいと思います。

 いやはや、マルチン・ボシレフスキ・トリオの盛り上がりは凄いですね。ブログの仲間の繋がりも羨ましいです。
 ポーランド・ジャズは極東の日本人にも何か心に繋がりを感ずるところがあると思っています。
 アンナ・マリヤ・ユペクやアガ・ザリヤンのヴォーカルも魅力がたっぶりで私にとっては大切なポーラントです。^^)
ところで、ポーランドの名前や言葉の発音は難しいのですが、マルチン・ヴァシレフスキのほうが正しいのかしら?。

風呂井戸さん,こんにちは。そうですねぇ。Marcin Wasilewskiという人がこの極東の地で盛り上がるってのは結構感慨深いですよね。

Aga Zaryanについても以前記事にしたことがあります。
https://music-music.cocolog-wbs.com/blog/2010/06/aga-zaryan-ad9b.html

名前の発音は難しいというか,正確にどうとは言えませんので,私はアルファベット表記にしています。

Wasilewskiのアルバムはどれも素晴らしいですが,"Faithful"もよかったですよね。ということで,こちらからもTBさせて頂きます。

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