天地明察:映画はご明察とはいってない。
監督:滝田洋二郎
出演:岡田准一,宮崎あおい,佐藤隆介,松本幸四郎,中井貴一
この映画,週末に見に行ったものの,全くの失敗であった。脇を固める連中は悪くないが,主役の岡田准一の演技は一体何なのか?入場料を取って見せるレベルではなかろう。これが決定的な弱点である。
ストーリーそのものは改歴に挑む安井算哲の姿を描くものであるが,それはそれで悪くないとしても,映画としてはこれだけの時間を掛けるようなものではない。これは脚色と編集の問題もあるが,滝田洋二郎の演出もiMDBなら"Goofs"と言われるようなおかしな部分があることに,何の問題も感じていないところに疑問を感じる。また,時の流れを反映させないメイクアップに関しても,どう考えても文句の一つも言いたくなる。
こうしたコスチューム・プレイであるから相応の予算も時間も掛けて撮影したものと思われるが,それにしてはつくりが甘過ぎるのである。見ていて途中から段々アホくさくなってしまった私である。そしてまた腹立たしいのが久石譲の音楽である。既視感(既聴感?)たっぷりのあの音楽は何なのか。いかにも持ちメロ再生産,一丁上がり的な音楽はこれまた観客をバカにしているとしか思えない。まさに噴飯ものの映画音楽。そうした点も含めて,はっきり言って映画としては気に入らないので星★で十分である。映画としては正直言って見に行くことは時間の無駄。星は脇の役者に免じてと言っておく。
前述の通り,脇の役者は結構ちゃんとやっている。笹野高史,岸辺一徳は言うに及ばず,私が受けていたのはきたろう,尾藤イサオ,そして武藤敬司というキャスティングだったかもしれない。こんなもんを撮っているようでは滝田洋二郎は大したもんじゃないな。
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久石譲の音楽には常にそう感じています。
投稿: カビゴン | 2012年9月25日 (火) 15時44分
滝田洋二郎監督作品は、「おくりびと」がなんであんなに評価を受けたのか疑問でした。
昔の日本映画にありがちな、原作をかいつまんで、だらだらとショットを重ねるだけの映画だったので、期待をしてませんでしたが、鑑賞券をもらったので、ついでに見てきました。
とにかく、スポンサーの意向なのかどうかしりませんが、ジャニーズタレントを主演に置き、だめ演技を本物の役者で脇を固めるってスタイルはいいかげんに辞めてもらいたい。
ネタ的に客を呼べないから、こういうスタイルになるのはわかるのですが、存在感もない、セリフも棒読み、目を見開くだけしか表現方法のない人間に主役は勤まらないのです。
TV業界が映画に進出したころから邦画はダメになりましたが、(もともと邦画などダメですが)、いまの状況は、ただ映画業界で働いている人間に仕事を与えるために、無理やり映画を製作しているような気がします。
投稿: ujiji | 2012年9月26日 (水) 12時38分
カビゴンさん,こんばんは。返事が遅くなりました。ここでの久石譲の音楽は絶対に受け入れられません。手抜きもいい加減にして欲しいです。音楽も映画にとっては重要な要素だという意思が全く感じられません。
投稿: 中年音楽狂 | 2012年9月27日 (木) 00時47分
ujijiさん,こんばんは。岡田准一は全くおっしゃる通りのイモ具合で,彼が「御意」と言うシーンには失笑してしまいました。意味をわかって言ってんのか?って感じですよねぇ。
日本映画にも優れたものはあると思いますが,こういう愚作を作っているようでは確かに評価されませんね。製作に対する真面目さが感じられないと言うべきでしょう。いずれにしても,滝田洋二郎はろくなもんじゃないです。
投稿: 中年音楽狂 | 2012年9月27日 (木) 00時52分
まったくもって、同感です。
原作が、誤謬だらけの問題作ですから、映画の出来も期待はしていませんでした。和算に関しては「和算研究会」の重鎮が参画していることもあり、少しはまともになったかなと思い、観に行きましたが、やはりボロボロです。
投稿: nitobe | 2012年10月18日 (木) 21時26分
nitobeさん,はじめまして(ですよね)。TBありがとうございます。
この映画,ろくなもんじゃないですよ。大ヒット御礼舞台挨拶とか言ってましたが,本当のロング・ヒットになるような映画では絶対ありませんでした。邦画が洋画の興行収益を上回ったとかなんとか言っていますが,この程度では邦画は再び衰退の道を歩むと言わざるを得ません。
ということで,貴ブログにもお邪魔致します。
投稿: 中年音楽狂 | 2012年10月18日 (木) 23時06分
何でも完璧にわかってる、すごーい人なんですね~。
投稿: | 2012年10月21日 (日) 14時55分
お名前を頂いておりませんが,コメントありがとうございます。
頂いたコメントは短いものながら,行間からは皮肉しか感じられませんね。あなた様が岡田准一のファンならば,私の記事がお気に召さないかもしれませんが,私個人としては記事の通りとしか思えませんでしたので,ご了承下さい。
お気に召さないということであれば当方ブログは無視して頂いて結構です。
投稿: 中年音楽狂 | 2012年10月21日 (日) 15時38分
脇の人達が良かったのと、美形坊主を堪能したので、よしとすることにします・・・
投稿: まなみ | 2012年12月24日 (月) 09時46分
まなみさん,こんばんは。こちらでははじめましてでしょうか。
私自身,この映画は脇役で持っているという感覚ですが,おそらくは同じように感じられているんでしょうね。彼らがちゃんと仕事をしているだけに,岡田准一のどうしようもなさがさらに目立つのは皮肉と言わざるをえません。
投稿: 中年音楽狂 | 2012年12月24日 (月) 15時47分