Milton Nascimentoのライブ盤が素晴らしい
"A Barca Dos Amantes" Milton Nascimento (Verve)
今日は本当はBob Dylanの新譜について書こうと思っていたのだが,もう少し歌詞を吟味してからにしようということで,突然Milton Nascimentoである。私はこのブログにも彼のアルバムについて書いたことがある(記事はこちら)し,素晴らしい歌手だと思う。それでもなぜか彼の音楽には私はのめり込めない部分があったことも事実である。実のところ,理由はよくわからないので,これも相性ってやつだろう。
しかし,今回中古でゲットしたライブ・アルバムは非常によかった。Milton Nascimentoの声の魅力というものを私はこのアルバムで初めて本当に理解したのではないかと思えるぐらいである。ライブ盤であるから,音場がライブ感たっぷりなのは当たり前であるが,ここでのエコーの掛かり具合が,彼の声の魅力を増幅しているように感じたのだ。これは心地よい。バックの音はかなりコンテンポラリーな感覚が強いが,それもここでの歌にはマッチしているように思える。更に何よりもWayne Shorterのゲスト出演が花を添える以上の劇的な効果を発揮している。
告白してしまえば,"Native Dancer"でさえ実はピンと来ていない部分がある私だが,そんな私にとっても,ここでの共演ぶりは文句なしである。私はこのアルバムを通勤途上に2回繰り返して聞いたのだが,まだまだ聞けるって感じだ。それは決して熱くなることはなく,あくまでも穏やかに音楽を聞かせるここでの演奏に私が大いに惹かれたからではないかと思う。繰り返すが,私は本盤で本当のMilton Nascimentoの魅力を再認識した。素晴らしい声,そして素晴らしい音楽。これこそMPBのあるべき姿と言ってもいいかもしれない。ということで星★★★★★としてしまおう。
こういうアルバムが廃盤というのは信じられないが,米国方面なら中古でいくらでも安く買えるし,国内でも事情は同じだろう。いやぁ,それにしても気持ちよい音楽である。
Recorded Live in Sao Paulo in April 1986
Personnel: Milton Nascimento(vo, g), Wayne Shorter(ss), Luiz Avellar(key), Ricardo Silveira(g), Nico Assumpcao(b), Robertinho Silava(ds, perc)
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コメント
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音楽狂様
こんばんは。
絶頂期のミルトンの声、私は’91年のLUTSにてミルトンをはじめて聴きましたが、このアルバムのような声量でした。'03と’07の青山でのライブは、あーミルトンも年とったんだなー、という感じでした。そうですよね自分も年とってんだから・・・・・
このアルバム、LPは2種類あるんです。
確か日本盤とブラジル盤はB面ラストが「Maria,Maria」で、米盤は「Nos Bailes Da Vida(人生のダンス)」なんです。
どっちがいいかというと、やはりラストはマリア、マリアですが、欲張って究極の選曲は、人生のダンス~マリアマリアでしょうねぇ。
CDはどうですか?
投稿: HamaVenturini | 2012年9月13日 (木) 22時48分
HamaVenturiniさん,おはようございます。返事が遅くなりました。LUTSに出てたんですね。私は91年はNYC在住でしたので,行けませんでした。よみうりランドにこの声が響いたと思うとぞくぞくしますねぇ。
ちなみに私がゲットしたのは国内盤の中古CDですので,ラストは"Maria Maria"でした。米盤は曲違いですか。それも気になりますねぇ(笑)。
投稿: 中年音楽狂 | 2012年9月15日 (土) 10時27分