これは凄い!超重量級のBrötzmann〜佐藤〜森山トリオ
"Yatagarasu" Peter Brötzmann / 佐藤允彦 / 森山威男(Not Two)
私は夏の暑い時期などにフリー・ジャズを聞いてはストレスを発散することもあるが,濃厚なフリーに身を委ねているとある意味での心地よさを感じることができると思っている。ただ,どういうアルバムを選べば良いかは悩むところも多い訳だが,このアルバムはメンツを見て飛びついたものである。音を聞かずともある程度のアウトプットは想定できる。そして聞いてみたら予想通り,あるいは予想を上回る激演に身をよじってしまった。
本作はただでさえ音圧が高いのだが,こういう音楽は小音量で聞いてはいかんと思わせるものである。私は購入後,新橋のテナーの聖地,Bar D2でこれを大音量で聞かせてもらったのだが,まさに快感であった。3人とも結構な年齢のはずなのによくやるわというのが正直な感想である。彼らには老成,あるいは老化という概念はないらしいと思わせる。その誰もがパワー全開だが,私が特にびっくりしてしまったのが森山威男のドラムスである。とにかく激しい。
いずれにしてもこれは私の中ではフリー・ジャズかくあるべしと言うべき作品であり、マジでたまらん。こんな演奏に立ち会えたポーランドの聴衆にジェラシーすら感じてしまう。こんな演奏滅多に聞けないと思わせるに十分な演奏である。これで燃えられなければ,フリー・ジャズと縁がないと思った方がいいと言い切ってしまおう。私にとってはDave Liebman~Even Parkerの共演盤以来の衝撃。星★★★★★。彼らが自分たちを"The Heavyweights"と呼ぶことに異論を差し挟む余地なし。
だが家庭内でこれを大音量でプレイバックしたら,家庭不和間違いなしなので念のため(笑)。
Recorded Live in Krakow, Poland on November 8, 2011
Personnel: Peter Brötzmann(as, ts, tarogato, b-flat cl), 佐藤允彦(p), 森山威男(ds)
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コメントありがとうございます。
確かに、予想を上回る激演、ですよね。佐藤允彦が山下洋輔的怒濤のなかで弾いていることが、面白かったですね。パワーアップで。本当に組み合わせの妙、です。
http://kanazawajazzdays.hatenablog.com/entry/2018/01/25/141446
投稿: ken | 2018年1月30日 (火) 22時09分
kenさん,こんばんは。リンクありがとうございます。
確かに激演としか言いようがないです。このトリオは組合せの妙と言うべきでしょう。それにしてもパワーありますよね。
投稿: 中年音楽狂 | 2018年1月30日 (火) 23時37分