セミファイナルにおけるなでしこの戦いぶりを見て

オリンピックの女子サッカーで、なでしこジャパンがフランスを2-1で破って決勝に進出したことは非常に素晴らしいニュースであった。だが、冷静に戦いぶりを見ていると、ディフェンスはそこそこ機能していたものの、オフェンスには課題を残したように思う。
おそらく日本が放ったシュートは3本だと思うが、得点はいずれもセット・プレイからのものである。正確なフリー・キックを蹴った宮間は褒めて然るべきであるし、キーパーのミスを逃さずゴール前に詰めて得点した大儀見、また2点目をドンピシャのヘッドで決めた阪口も見事であった。しかし、オフェンス面を振り返れば、もう1本、大儀見がポストに当てたカウンターからのシュートと得点シーン以外にも見るべきものがなかった。
もちろん、少ないチャンスを活かす力は評価に値するのだが、なでしこが世界を驚かせたのはパスの連動性ではなかったか。その魅力が今回のオリンピックでは発揮されていないように感じているのは私だけではあるまい。とにかくパス・ミスが多く、前線へのロング・ボールのフィードにも正確性に欠けるため、攻撃にリズムが生まれないのである。セミ・ファイナルにおいては、左サイドからの川澄の突破もあまり見られなかったことも、オフェンス面では気になった点である。
そして後半になって、防戦一方になると攻撃への意識が低下し、中途半端なクリアから、セカンド・ボールをフランスに奪われるという展開が多過ぎた。ここはドリブル突破か、パスのつなぎで攻め上がる姿勢が欲しいところだったが、意識が守備にばかり向いていたように思える。その中で阪口が与えたPKがはずれたからよかったようなものの、あれで同点になっていたら、一気にフランスに逆転を許した可能性が高い。
よって、ファイナルに向けては、攻撃の精度を上げるとともに、パスのつなぎ、更にはプレスのかけどころを今一度見直すべきだろう。フランス戦ではプレスのタイミングが遅く、自陣までボールを持ち込まれることが多かったことはきっちり修正してもらいたい。
一方、気になるのがファイナルでの対戦相手、宿敵アメリカである。アメリカがカナダにあそこまで苦戦するとは思わなかったが、三たびリードを許しながら追いつき、延長後半も残り1分を切ったところでの決勝ゴールという劇的な勝ち方は、チームのモチベーションを無茶苦茶高めたであろうことは疑いの余地がない。しかし、あわやPK戦というところまで追い込まれ、120分を戦ったことによる体力面での疲弊を招いたことも事実である。フィジカルで劣るなでしことは、これで互角ってところかもしれないが、あの粘りは賞賛に値する。
ファイナルはドイツW杯決勝の再戦となったが、このファイナルにこそなでしこの真価が問われると言ってよいだろう。当然、なでしこが攻められる時間が増えるだろうが、安定したセンター・バックはよいとして、今回のオリンピックでは、サイドを破られることが多いので、ディフェンスはサイド・アタックへの防御の意識を高めて欲しい。そして早めのプレスで相手のチャンスの芽を摘んでしまうこと、それは男子U-23の戦い方にヒントがあるはずだ。ボールを支配されていても攻められているように見えないというU-23のマジックのような展開は、アメリカ戦に示唆を与えているように思えるのだ。
いずれにしても残すところ一戦のみである。なでしこには、米国を撃破して金メダルを獲得してもらうことを願ってやまない。
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