Criss Crossがヴァイオリンのリーダー・アルバムとは意外だ
"Almost Never Was" Zach Brock (Criss Cross)
Criss Crossレーベルと言えば,コンテンポラリーなハード・バップを聞かせるレーベルというイメージが私の中では強いのだが,このアルバムのリリースがアナウンスされた時はへぇ~って感じであった。だってヴァイオリンがリーダーって,レーベル・カラーと随分違う気がするもんなぁ。だが,そんなアルバムを買う気になったのもリーダーを支えるバックのメンツゆえである。Aaron Goldberg~Matt Penmann~Eric Harlandがリーダーを支えるとすれば,私としてはピアノのGoldbergはさておき,リズムの2人で聞きたくなってしまっての購入である。
最近のGoldbergはよくわからないが,私が彼を聞いたのは99年の"Turning Point"が初めてで,その作品にピンときていなかったのが事実で,その後,Kurt Rosenwinkelの"Remedy"での好演は印象的ながら,私の中での注目度は決して高くない。だが,Penman~Harlandと言えば,James Farmのコンビであるから,こちらはやはり気になる(つくづくライブを見逃したのは残念だったが,聞けなかった分はブート音源を聞いて我慢しよう)。
それでもって,リズム・セクションは期待通りの好演と言って良いのだが,驚いたのはリーダーのBrockである。これが全く侮れないのだ。モダン・ジャズ的な部分は比較的控えめだが,コンテンポラリーな感覚含めてなかなかの才人と思わせるプレイぶりである。
Mahavishnuのようなパターンを除けば,ヴァイオリンという楽器がジャズにフィットしているとは全く思えないのだが,ここでのBrockはピチカートも含めて,ヴァイオリンとしては考えられないぐらいソロ楽器として機能させているではないか。予想以上にカッコいい。これが,リズム・セクションの好演に依存していることには疑義はないとしても,リーダーが優れていなかったら,このクォリティは出ない。
私としては"Monk’s Dream"をやるよりも(これが一番面白くないように私には感じられるのだ),オリジナルや,よりコンテンポラリーな曲だけで勝負してもよかったんじゃないかとも思えるが,そんな思いは抱えつつもヴァイオリンという楽器だけを理由にしてこれを聞かないとすれば,それはかなり勿体無いと思える,そんなCDである。星★★★★。
Recorded on February 3, 2012
Personnel: Zach Brock(vln, baritone-vln), Aaron Goldberg(p), Matt Penman(b), Eric Harland(ds)
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criss crossの6月の新譜です。今回は以下の4枚となります。
John Ellis It s You I Like
Luis Perdomo Infancia Project
Zach Brock Almost Never Was
David Kikoski Consequences
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バックのメンバーがいいですね。ラストの曲あたりそうなんだけど、バックの音数に比べ、ヴァイオリンがなめらかにメロディを弾いているので、少し穏やかに感じられるのは気のせいでしょうか。ただ、1、4曲目のように激しめの曲もあるので、バラードもあったりと、うまくバランスがとれているようですね。
TBさせていただきます。
投稿: 910 | 2012年6月23日 (土) 16時27分
910さん,こんばんは。TBありがとうございます。
確かにこのアルバム,普通の人はバックのメンツで買うと思います。しかし,聞いてみると,このZach Brockと言う人,ジャズ的な観点で見てもなかなかいいセンスをしていますよね。
記事にも書きましたが,コンベンショナルな曲よりも,より現代的な響きを持つ曲の方が,このヴァイオリニストにはフィットしているようにも思えますが,これは予想よりもずっとよかったです。もちろん,バックのメンツの好演あってのものって気もしますが...。
ということで,こちらからもTBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2012年6月23日 (土) 20時23分
ヴァイオリンのヴァイオリンらしい多彩なサウンドを駆使した演奏が好印象で、それに盤石のピアノトリオがしっかりと彩りを添えた演奏は、おっしゃる通り期待を裏切る良い演奏を楽しませてもらいました。
TBありがとうございます。逆TBさせていただきます。
投稿: oza。 | 2012年8月13日 (月) 07時13分
oza。さん,おはようございます。TBありがとうございます。レーベルとしては異色な感じが強いですが,それでもこれはなかなかいけている作品だと思いました。
私はジャズ・ヴァイオリンに対する理解者とは言えないですが,それでもこういうのは十分ありだと思いました。
投稿: 中年音楽狂 | 2012年8月13日 (月) 09時04分