Bill Evansの未発表音源:貴重な音源とは思うが,いかんせん音が...
"Live at Casale Monferrato" Bill Evans Trio(Codec)
Bill Evansの晩年の音源で完全未発表というのはなかなか出てこないと思うが,最後のトリオが非常に充実したものだっただけに,出れば聞きたいと思うのが人情である。しかも今回発掘されたのはあの"Paris Concert"の4日後の演奏であるから,更に期待が高まるところである。
だが,私としてはこのアルバムに対して一抹の不安がなかったわけではない。いかんせん,音に関する記述があまり出てこないのである。某サイトでは音質良好なんて書いているが,ほかのところにはそういった話が出てこない。これがちょっと気になっていたのだが,見たらやはり買ってしまった私である。しかし,CDのくせに限定盤ってどういうことだろうか?ありとあらゆるショップで本作が売り切れになっているのはどうにも解せない。とあるサイトによれば,全世界300セット限定とかいう冗談のような話もある。300枚限定と言えば,Milesブートでおなじみ,So Whatレーベルという感じ(あちらはご丁寧にシリアル番号までついている)だが,結局はこれもその類ということではないのか。そもそもCodecなんてレーベル名称は怪しげな感じがプンプン臭ってくるしなぁ。更に不思議なのは,この音源に関してググってみても,ほとんど海外のサイトでヒットしないのだ(逆にほとんどが日本に輸入されているのではないかという勘繰りも可能)。
しかし,よくよく調べていくと,あった,あった。やはりというか,このアルバムのソースとなったと思しきブートレッグ情報を発見である。録音の日が一緒,曲目も一緒ということで,おそらくこれが今回のソースとなっている模様である(ジャケのイメージをアップしておく)。そのブートにはソースはSBD(?)<:原文まま>なんて書いてあるが,これはどう聞いてもサウンドボードではなかろう。非常に頑張ったオーディエンス録音ではないかと想像する私である。音楽として聞けないレベルではないが,肝腎のBill Evansのピアノがかなりしょぼい音(ピアノの音がざらついていると言えばいいだろう)なのにはかなりがっくりくる。よって,"Paris Concert"レベルの音(あれだって超優秀録音ではないが...)を期待すると,確実に裏切られるということはまず注意が必要である。こういう音源だからこそ,真っ当なリリースはできないということだろうが,それにしてはジャケ写真は相応に雰囲気はあるし,ブックレットもしっかり作ってあったりして,一体どうなっているのかという謎は深まる一方である。
まぁ,それはさておきである。やはりラスト・トリオの演奏だけに,音は悪くてもその質の高さはよくわかるし,3者のインタープレイも見事なまでに緊密である。だからと言って,やはりこれは素人さんにはお薦めすべきものとは思えない。相当のマニアだけが買えばいいし,だからこそ300枚限定なのであろう。私がこの記事を書いている段階では某所にはまだ在庫はあるようだが,これがアップされる頃にはさてどうなっているやら。
ということで,この音源は基本ブートであるということからすれば,採点は不要ということになる。なんでもかんでもBill Evans音源を揃えたいマニアには必須アイテムだろうが,これからBill Evansを聞こうなんて人が決して手を出してはいけないものである。私もBrad Mehldauに関しては,コレクター心理としては同じようなものなので人のことは言えないが,音の悪いブートにまでは手は出していない。
ということで,皆さん,お気をつけあそばせ。買うなら買うで,上記のような点を事前に認識した上でか,ちゃんと試聴してからにしましょう。
Recorded Live at Casale Monferrato, on November 30, 1979
Personnel: Bill Evans(p), Marc Johnson(b), Joe LaBarbera(ds)
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それでも聴きたい人には、大切な300分の一枚ですね。ファンの心理としては、理解出来ます。私も、聴きたくなるタイプです。そういえば、少し前のお話、アラスカのレンタカーでの旅、すごいキロ数ですね。レンタカー会社は泣いた?(笑)私は大学4年に、友人4人と北海道一周をレンタカーで周ったけど、一日に多くて300キロくらいでした。車内のBGMは、ドライバーに権利があるから、みんなドライバーをしたくて、4人で交代。アラスカどんな旅でした?是非記事にして下さい。学生の頃に国際免許証を持って海外にも行って来たら良かった、って思いました。あの頃は、何でも出来る気がしたし、そういう時代だった。最近は、こじんまりと無難な選択をして幸せを感じている気がします。
投稿: ひまわり | 2012年6月11日 (月) 12時11分
こんにちは。
そういうこともあるんですね。
最近また 古いアルバムのCD盤っていうのかな 999シリ-ズみたいに キ-スの「流星」とか 1000円で並んでいたけど そういうのはどうなんだろう…
安いとつい よく見ないで買っちゃいます
(^_^;)
気をつけねば。
投稿: Marlin | 2012年6月11日 (月) 16時38分
ひまわりさん,こんばんは。何だかお久しぶりのような気も...。
確かにあのアラスカ旅行は無茶苦茶でした。でも本当に楽しかったです。あれからもう21年です。私もまだまだ若かったですわ。そのうち,回想記でも書いてみますか(笑)。
投稿: 中年音楽狂 | 2012年6月11日 (月) 20時59分
Marlinさん,こんばんは。最近よくリリースされている廉価盤は正規の録音ですから,無茶苦茶ってことはないですよ。ご安心下さい。
例えば「バド・パウエルの芸術」のようなアルバムは録音時期の古さゆえに音が悪いですが,50年代以降のステレオ録音の時代になると,そうした問題はほぼ解消します。もちろん,古臭さはありますが,ここで紹介したCDのような胡散臭さはありません(笑)。だから基本的に安心して買って大丈夫ですよ。
投稿: 中年音楽狂 | 2012年6月11日 (月) 21時02分
初めまして。
今回のお話、非常に参考になりました。
実は、HMVに予約しようとしていたところ、もう既に販売終了との表示。
何処かにまだ残っていないかどうかググったところ、ここのブログに行き当たりました。
最近購入した、もう一つのLive音源である"Top of The Gate"がなかなか良かったので、"Live at Casale Monferrato"も同じかなーと思っていました。無理して購入しないで良かったです。
貴重なご意見、有り難う御座いました。
投稿: yasebow | 2012年6月14日 (木) 18時20分
yasebowさん,はじめまして。コメントありがとうございます。"Top of the Gate"はいかがでしたでしょうか?
私の情報が少しでもお役に立てれば幸いです。皆さんのお役に立つことを目標にしているわけではないのですが,そうした副次的な効果があったとすれば,それはそれで嬉しいことですね。今後ともよろしくお願い致します。
投稿: 中年音楽狂 | 2012年6月16日 (土) 10時15分