出来のいいピアノ・トリオだが,ECM色は希薄なSteve Kuhnの新譜。でもこれはよい。
"Wisteria" Steve Kuhn(ECM)
ECMレーベルのSteve Kuhnのアルバムにはいいものが多く,Joe Lovanoとやった"Mostly Coltrane"も最高な作品だったと思う。そんなKuhnのECMからの新譜だから期待するのが人情。しかもSwallow~Baronとのトリオならおかしなことになるわけがない(きっぱり)。今回のアルバムは3者の名前が並列して書いてあるから,Kuhnのリーダー作であるが,この3者のコラボレーションというところへのこだわりがあるのかもしれないが,やはりこれはいいと思う。
主題にも書いた通り,ECMレーベル色はそれ程濃厚ではない。むしろ希薄と言っていいぐらいに適度にスインギーさも持ち合わせたピアノ・トリオ作となっている。冒頭のイントロこそECMっぽく幕を開けるが,そうしたトーンは継続しない。Swallowがいつも通りエレクトリック・ベースを引いていることがその要因ではなく,アルバム全体としてそういう感じなのだ。だが,ECMというレーベル・カラーにこだわりをもたなければ,これは美しくも楽しいアルバムである。
また,選曲の妙にも触れておく必要がある。Kuhn,Swallowの優れたオリジナルに加え,"Romance"はDori Caimi,"Permanent Wave"はCarla Bley,そしてタイトル・トラックはArt Farmerの作品である。"Romance"や"Wisteria"に特に強く感じられる彼らの美学にはやはりまいってしまう。これらの曲を選ぶにはそれなりの理由があるのだと強く感じさせる出来なのだ。
もちろん,Swallowのエレクトリック・ベースに違和感をおぼえるリスナーもいるかもしれないが,KuhnとSwallowの長年の共演を聞いてきている私としてはこれでいいのだ(バカボンのパパかっ!)。そうでなければ,このアルバムをこれほどリピートして聞きたいと思わないだろうし,聞くたびに別のタイミングで「おぉっ,いいじゃん」と唸ってしまうこともなかろう。いずれにしてもとても3人併せて200歳を越える人たちが作ったとは思えない創造力と美しさだと言っておこう。しびれるような緊張感はないが,これは多くの人が楽しめるアルバムであることは間違いない。星★★★★☆。本当に大した(老)人たちである。
Recorded in September 2011
Personnel: Steve Kuhn(p), Steve Swallow(b), Joey Baron(ds)
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» Steve Kuhn Trio / Wisteria [とっつぁんの日記帳]
Steve Kuhn (p)
Steve Swallow (b)
Joey Baron (ds)
Rel:2012 ECM 2257 / Recorded at Avatar Studios ,NY September 2011
またしてもインターバルが長くなってしまいました。
今月から来月にかけて僕の中での注目盤がなんか大挙してリリースされる予定で、今から懐具合が気になるところですが、、いろいろ増やして(?!)どうにかなるはず・・・。今僕のiPhoneでは今月届いたこのS..... [続きを読む]
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ECMレーベル新譜聴き3日目。このアルバムを最初に聴けばよかった、と思うぐらい「 [続きを読む]


































































お久しぶりです。確かにこれはECMらしくないですね。どちらかというとVenusっぽい(笑)。しかし、そこはやはりECM。「Promise Kept」など、おなじみの曲でも、軽やかは軽やかなりに上質のArrangeが為されているので、新鮮味があるように感じました。
投稿: カビゴン | 2012年5月20日 (日) 15時52分
音楽狂さん、こんにちは。TBありがとうございます。
Steve Kuhnは老いてもなお前作"Mostly Corltrane"のようなスピリチュアルな作品もあるし、この作品のようにリラクゼーションを提供するような作品も作ったように、芸を超えた域にはいっているんでしょうね。
エレベでECMっていうのもなかなか新鮮ですし。
というわけで長く1軍に残る作品となりそうです。こちらからもTBさせていただきます。
投稿: とっつぁん | 2012年5月20日 (日) 18時15分
カビゴンさん,お久しぶりです。さすがに私もあのFred HerschすらボロボロにしたVenusと同じにする気はありませんよ。あのレーベルは絶対許せんと思っているのは私だけではないはずです。
それはさておき,ECMらしさは希薄としても,ちゃんとクォリティは維持するところがManfred Eicherの素晴らしいところでしょう。だからこその星★★★★☆ですから。引き続きよろしくどうぞ。
投稿: 中年音楽狂 | 2012年5月20日 (日) 21時05分
とっつぁんさん,こんばんは。TBありがとうございます。
まぁこの作品を特徴づけているのはやはりSwallowのベースかもなぁなんて思っています。基本的にECMのKuhnのアルバムにはずれはありませんが,これもその一枚ですね。
投稿: 中年音楽狂 | 2012年5月20日 (日) 21時07分
今まで聴いてきたECMのアルバムの中では、いちばんバップ(4ビート)色の強いアルバムじゃないか、と思いました。キース・ジャレット・トリオはスタンダードを演奏していても、キースの自然発生的なメロディと、ゲイリー・ピーコックの4つをあまり刻まないベースラインとで、記憶違いでなければ、もっとあっさりとした印象でした。
今回マンフレート・アイヒャーのプロデュースとはっきりうたっていて、こういうアルバムが出てきたということは、今後も期待できそうです。
TBさせていただきます。
投稿: 910 | 2012年6月 5日 (火) 18時29分
910さん,こんばんは。TBありがとうございます。
このアルバムといい,John Abercrombieの新作といい,ECMにしてはコンベンショナルというか,正統派モダン・ジャズの香りがしますよね。だからこそECM色は希薄に思えるのだと感じますが,これはこれでよく出来たアルバムですよね。Eicherの心理に変化があったとは思えないのですが,面白いです。
ということで,こちらからもTBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2012年6月 5日 (火) 20時31分