コレクターはつらいよ(12):フランスのヴォーカルのバックでピアノを弾くBrad Mehldau
"Entre Ombre Et Lumiere" Michèle-Anna Mimouni(Lebel Ames)
実に久々の「コレクターはつらいよ」である。ほぼ2年振りにこの主題の記事を書くことになった。Brad Mehldauの音源収集についてはかなり一生懸命と言ってよい私だが,最近のMehldauは相当ビッグネーム化しているので,他のミュージシャンのアルバムに参加したとかいう情報もかなり入りやすいし,私にはJens Linge氏というMehldauディスコグラファーの強い味方がいるので,ほかの人よりは情報もかなり迅速に入ってくると思っている。
しかし,最近はLinge氏も仕事が忙しいのか,情報の更新頻度は一時期よりはかなり間が空くようになってきている。その彼が直近で情報を更新したのは4月半ばのことだったが,当然それはMehldauの新作"Ode"のリリースを受けてのものであろうと考えていた私である。だが,念のため,ほかのアルバムについても新情報がないかどうかを確認していたらあった,あった。それがこのアルバムである。
私が知る限りにおいては,今回の情報のアップデートまではこのアルバムはLinge氏のディスコグラフィーには載っていなかったはずである。だからこそ,今回このアルバムを見つけてびっくりしてしまった。なぜ驚いたかと言えば,このアルバムがほぼ5年前にリリースされていたにもかかわらず,彼のレーダー・スクリーンに引っ掛からなかったことにある。彼には相応の協力者がいて,いろいろ情報交換をしているはずにもかかわらずである。それほどマイナーなアルバムと言ってよいかもしれないし,ググるにしても,相当注意深くやっていかないとこのアルバムには到達するまい。このアルバムの情報を見つけて,いろいろ探したのだが,あっても日本ではなぜか無茶苦茶高い。ということで,本国フランスに直接発注と相成った。はっきり言って,送料が高く付くって感じだったが,まぁこれは仕方がない。
Michèle-Anna Mimouniはジャズ・ヴォーカリストと呼んでよい音楽をここで展開しているが,特徴的なのが基本的にフランス語で歌っていることであろう。そんな彼女のアルバムになぜMehldauがって感じなのだが,その秘密はMehldauのオリジナル"Ron's Place"と"Dusty McNugett"にフランス語詞をつけて歌っているからだということと判断して間違いないだろう。2曲目のタイトル・トラックが"Ron's Place",5曲目の"Ma Bohème"が"Dusty McNugett" である。Mehldauの歌伴はご夫人のFleurine以外は珍しいということもあるが,いかにもMehldauらしいピアノを聞かせていて,ファンにとってはこれだけで満足度が高い。
また,Mimouniの歌も,このサウンドにフランス語というところにはそこはかとなく違和感があるとともに,2曲のスタンダード"Beautiful Love"と"Them Their Eyes"の英語での歌唱はいかにもフランス人の英語って感じではあるが,サウンドとしては決して悪くない。むしろ,これはかなりいいのではないかと思えるような出来なのである。ついでに言っておくと,最後の曲の伴奏はPierre de Bethmann(あのPrysmのBethmannである)なのである。ここではピアノに乗ったモノローグのような展開も聞かれるが,それがいかにもフランス的な感覚を感じさせて面白いと思った。でもライナーも全部フランス語なんで,全くわからんというのが難点だなぁ(頑固なフランス人,というよりも,非フランス語圏のリスナーを意識していない?)。
いずれにしても,情報なかりせば決して出会うことのなかった音源であるが,こういうのまでフォローするのは大変なのだ。何度も言うが,やっぱりコレクターはつらいのだ(だったらやめれば...という声も)。
Recorded: April-December 2006
Personnel: Michèle-Anna Mimouni (vo, p), Brad Mehldau (p on 1, 2, 4, 5), Rémi Vignolo(b), Karl Jannuska(ds), Pierre de Bethmann(p)
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