いくらMilt Jacksonとは言えども,さすがにこれは...
"Sunflower" Milt Jackson(CTI)
昨日アップしたBernstein / IPOのマーラーの印象が強過ぎて,その後,まともに音楽を聞く気にならない日を過ごしてしまった。そんな中,何を聞こうか迷って,ちょっと毛色の違う音楽としてチョイスしたのがこのアルバム。
Milt Jacksonと言えばMJQあるいはブルーズ・フィーリング溢れる音楽というのが定番であるが,そのJacksonがCTIに吹き込むとどうなるのかと言えば,普通心配になるってのが人情である。
結局のところ,これはMilt Jacksonのアルバムと思わずに聞けば,出来のよいイージー・リスニングだとも言えるのだが,こうしたサウンドをJacksonに期待する人がどれだけいるのかということに落ち着いてしまうような気がする。参加しているFreddie Hubbardのフレージング等は素晴らしいと思うが,それでもこれはやはりやり過ぎ感が強い。
このアルバムでは私はStylistics(!)がオリジナルの"People Make The World Go Round"はかなり好きだと思うが,これもいくらいいソロを展開していてもMilt Jacksonである必要はないわけで,どちらかと言えばFreddie Hubbardがリーダーのようにも思えてしまうぐらいである。更に私がこのアルバムにどうしてものめり込めない最大の要因はRon Carterのベースである。とにかく増幅し過ぎのアコースティック・ベースはどう聞いても気持ちが悪い。こういうのが私のRon Carter嫌いを「増幅」させると言っておこう。
繰り返すが,イージー・リスニングあるいは映画音楽的な聞き方をしていれば,それほど悪い印象は持たないが,Milt Jacksonの作品だと思うと評価は別になってしまうところが辛い。総合すると星★★★ってところだろう(もう少し辛くてもいいぐらいだが...)。何ともCTIだよなぁと思える作品(かなりアンビバレント)。
Recorded on December 12 & 13, 1972
Personnel: Milt Jackson(vib), Freddie Hubbard(tp, fl-h), Herbie Hancock(p, el-p), Jay Berliner(g), Ron Carter(b), Billy Cobham(ds), Ralph MacDonald(perc) with Strings & Horns arranged by Don Sebesky
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コメント
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このアルバムはクリスさんのブログで以前知りました!とても似たジャケットがあったようにも記憶しています。sunflwerがありますから、私は親近感があります。また、フレディ・ハーバードの紫のドレスを着た女性と並んだアルバム、これ好きです。黄色のひまわりと紫が補色で、たまたま花を飾っていて、CDを聴いていて発見、こういうセンス、私は大好き。先日、マイルスとパリの恋人の話しをNHKで見ました。そのバンドメンバーに、ロン・カーターも出てきて、勉強になりました。あなたはフランス語を話せない、私は英語を話せない、、二人の恋が素敵。ロン・カーターの記事、音楽狂さんぶし、笑ってしまいました。
投稿: ひまわり | 2012年4月12日 (木) 11時15分
ひまわりさん,こんにちは。返事が遅くなりました。すみません。
ジャケのセンスはCTIらしくていいと思うんですが,音楽としてはちょいと微妙と言うのが正直な感想です。まぁ,私のRon Carter嫌いは筋金入りですから,逆に笑えるかもしれませんね。
投稿: 中年音楽狂 | 2012年4月15日 (日) 17時31分