Tord Gustavsenの新譜はECMファンがはまること必定。
"The Well" Tord Gustavsen Quartet(ECM)
私はTord Gustavsenというとトリオ編成での3枚のアルバムがどれも素晴らしく,本当に期待の星の一人として認識していたのだが,前作"Restored Returned"にはピンとこなくて,今イチ感たっぷりなレビューをこのブログにもアップした(記事はこちら)。
前作はTord Gustavsen Ensemble名義だったが,そこからヴォーカリストが抜けた以外は同じメンツである。しかし,それだけで私にとっての印象は全く違うものとなったのはどうしてなのかと言いたくなるような作品の出来だと思えるのである。冒頭の"Prelude"におけるTore Brunborgのテナーはまるで通奏低音のようであり,静謐な立ち上がりであるが,Keithの欧州クァルテットを彷彿とさせるようなタッチの"Playing"のような曲が続き,ECMファンにとっては相当に嬉しくなる出来のアルバムと最初から確信してしまった私である。
そうした印象は全編を通じて変わることはなく,これはやはりECMファンの心の琴線をくすぐる音楽である。基本的には静謐なトーンが中心であることは間違いのない事実であるが,Gustavsenの美学がそこかしこに横溢していて,アルバムとしては非常にバランスが取れていることが嬉しいのである。
そんな彼らが昨年来日していたことを今頃になって思い出し,聞きそびれたことを反省した私である。生でこんな演奏をされていたら,多分私は感動してしまったであろう。もちろん,こういう音楽である。どういう姿勢で聞けばいいのかって話はあるが,身じろぎもせず,首を垂れた姿勢で聞いちゃうんだろうなぁ(笑)。しかも,公衆の面前であろうがなかろうが,膝を抱えたい(爆)。
いずれにしても,前作で若干の不安を感じさせたGustavsenだったが,やはりこの人には期待できると思わされた作品である。星★★★★☆。私は今回は全面的に支持したいと思うが,こういう音楽に魅かれてしまう私はやっぱりネクラなのか?はい,ネクラです(きっぱり)。
Recorded in February, 2011
Personnel: Tord Gustavsen(p), Tore Brunborg(ts), Mats Eilertsen(b), Jarle Vespestad(ds)
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「わたくし、こういう音楽をやっているものです」
「よく存じ上げませんが、すばらしいように思います」
Tord Gustavsenの伝えたいもの、
それは多くの初対面の方にも伝わるのではないでしょうか。
メロディアスとか音が綺麗とかそういう問題じゃない気がします。
...... [続きを読む]
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音楽狂様
おはようございます。私もネクラを含め同感です(笑)。つい「至福、、、」とつぶやいてしまいました。うっかり知人が釣られて試聴でもしたら距離が出来てしまうかも知れません(←言い過ぎ)。ついでにジャケも秀逸ですね。
投稿: ki-ma | 2012年2月11日 (土) 06時21分
ki-maさん,こんにちは。これははまりますよねぇ。「至福、、、」と言うべきか,表現は違うかもしれませんが,「これよ,これよ,これなのよ」って感じでした。
私の秘められた(?)性格がバレバレになってしまうので,確かに知人にはストレートには勧めにくい音楽かもしれません(笑)。
投稿: 中年音楽狂 | 2012年2月11日 (土) 11時19分
前からECMでは好きなピアニストではありますが、やっぱりというか、このアルバムもメインの基調が薄暮的なゆったりとした世界なので、私もハマってしまいました。サックスも独特な人なので、うまくクァルテットでもマッチしていますね。
TBさせていただきます。
投稿: 910 | 2012年2月13日 (月) 20時48分
910さん,こんばんは。TBありがとうございます。
これはよかったですねぇ。私がECMに求めるサウンドの一角を担えます。前作が不安を感じさせるものだっただけに,この路線は非常に嬉しいです。
ということで,こちらからもTBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2012年2月14日 (火) 22時23分