Tim Berne:正調フリー・ジャズか,はたまた現代音楽か?
これはなかなかに難しいアルバムである。私はフリー・ジャズは決して嫌いな方ではないと思うのだが,どちらかというとドシャメシャな山下洋輔的フリー・ジャズのような音楽に爽快感を求める傾向が強い。よって,頭で考えるタイプの理屈っぽいフリー・ジャズはあまり真っ当に聞いていない。このアルバムも冒頭から現代音楽的な響きで,何となく理屈っぽい感じを与えて,決して爽快な音楽とは言えないところからハードルが高い。Tim Berneってこういう演奏をする人だったんだっけ?という疑問がまず頭をよぎるのである。
しかし,2曲目の"Scanners"なると,正調フリー・ジャズ的な響きが聞こえてきて安心するのだが,それでも疾走感を感じさせるところまではいかない。全編を通じて聞いてみても,これが本当にいいのか悪いのかよくわからないのである。私は音楽の評価を直感的に行う傾向が強いが,このアルバム,何回か通して聞いてみても,正直なところ魅力が理解できていない。「お前の耳は節穴か」というお叱りの声も飛んできそうだが,これがECMレーベルから出てなければ買ってなかったなぁっていう気持ちには変わりはない。その程度の評価しかできないのである。だって,最後の曲のタイトルは"Spectacle"となっているが,これが「壮観」だなんて,まさにご冗談でしょうみたいな曲調なのである。どういう感覚で曲のタイトルをつけているのやら。別の意味があるのかもしれんが,これには苦笑してしまった私である。
Tim Berneが山下洋輔の"Ways of Time"に客演した時は感じが違ったんだけどなぁという違和感が聞いている私の中をぐるぐるしていたというのが正直なところ。もう少しスピード感があってもよかった。ECM作品ではDavid TornやMichael Formanekの作品に参加しているBerneだが,本作に対するような違和感をそちらには感じなかった。これは私と作品との相性の悪さだろう。でもこれはやっぱりあまり評価できないなぁ。だって面白くないんだもん(苦笑)。星★★☆。
Recorded in January 2011
Personnel: David Berne(as), Oscar Noriega(cl, b-cl), Matt Mitchell(p), Ches Smith(ds, perc)
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ティム・バーンというと、ここ10年以上リーダー作はご無沙汰でしたが、構築された部分とフリーの部分がうまくかみ合わさった発散しないジャズ、というイメージがあります。そういう意味では予想通りではありましたが、聴いていい、って言う人と、ストレスがたまる方向にある人と分かれるようで、そういう意味ではある種不思議なサウンドではないかと思っています。
TBさせていただきます。
投稿: 910 | 2012年2月15日 (水) 17時56分
910さん、おはようございます。TBありがとうございます。返事が遅くなりまして申し訳ありません。
私が勝手にTim Berneに持っているイメージとの乖離があったのかなぁなんて思っていますが、私はもう少しスピード感があった方がよかったかなぁなんて思っています。
追ってこちらからもTBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2012年2月17日 (金) 08時53分