かなり微妙なRoberta FlackのBeatles集:はっきり言って失敗作。
"Let It Be Roberta" Roberta Flack(429 Records)
Roberta FlackがBeatlesをカヴァーすると言えば,相当気になってしまうのが当たり前って気がする。彼女がどういう風にBeatlesを料理するか,興味はその一点に集中するのだが,今回このアルバムを聞いてみて,私には結構な違和感が残ってしまった。
その原因としてはアレンジメントの軽さということが一番の要因である。Robertaの声は何だか線が細く,彼女の声のよさを活かしているとは思えないし,曲をひねり過ぎなのも気に入らない。Roberta Flackももう75歳らしいので,昔ほど声が出ないのは仕方がないかもしれないが,それならソフトに歌っても私には全然問題ない。しかし,いくつかの曲は原曲のよさを消しているようなアレンジなのがどうしても私には気に入らないのである。無理にコンテポラリーな感覚を付け加えようという意図が見え見えで,聞いていて冷めるのだ。
Beatlesの曲は,曲そのもののよさがあるのであって,それをいじくるというのはある意味ミュージシャンにとってはチャレンジングな取り組みと言うこともできるわけだが,ここでの対応はアレンジャーが趣味でいじくってみましたって感じが強く,独りよがりにしか思えず,どうしても納得がいかない。その責任はRobertaと言うよりも,プロデュースもしているSherrod Barnesなるミュージシャンに帰するべきだろう。Barnesが単独でプロデュースせず,Barry Milesがアレンジに絡んでいる曲はまだ許せるのだから,この責任はやはりBarnesにある。Barnesがアレンジしたバックのスカスカ感も私には違和感の塊である。崩すなら崩すで,"Oh Darling"のようにブルーズ感覚を強めるのはいい(ここにもBarry Milesがちゃんと関わっている)としても,"I Should Have Known Better"なんて絶対に納得いかんわ。
結局,全編を聞いていても,最後のCarnegie Hallでの1972年のライブで収録された"Here, There & Everywhere"が一番いいのではやはりリスナーの納得は得られまい。この曲がよいと思えるのは,妙にいじくることなく,素直に曲に対峙している感覚が強いからである。その線でやればよかったものをと思わざるをえないのである。期待が大きかった分,失望も大きい失敗作。星★★。Sherrod Barnes抜きで作り直して欲しいと思ってしまうわ。
尚,Robertaには失礼だが,彼女のアルバム,ジャケが怖すぎである。購買意欲が高まないこと甚だしい。
Personnel: Roberta Flack(vo, key), Sherrod Barnes(g, key, b, ds, strings, vo), Jerry Barnes(g, b, vo), Dean Brown(g), Nathan Page(g), Selan Lerner(key), Barry Miles(key), Shedrick Mitchell(key), Morris Pleasure(key), Bernard Wright(key), Nichlas Branker(b), David Williams(b), Charlie Drayton(ds), Ricardo Jordan(ds), Kuhari Parker(ds), Chris Parks(ds), Bernard Sweetney(ds), Buddy Williams(ds), Tameka Simoen(vo), Vivian Sessoms(vo), Paul Lassiter(strings)
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コメント
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今晩は!関さばの写真で思わずよだれが出ております(^^;
さて、本日こちらのラジオでこのロバータのアルバムから3曲かかったのですが、聴いてみてアレンジのやり過ぎのような感じでしたね!もっとシンプルに歌ってほしかったですね!そう強く感じましたよ!
投稿: takeot | 2012年2月18日 (土) 20時15分
takeotさん,こんばんは。やはりそういう感想を持ちますよねぇ。私はこれはダメだと思います。というか,ミュージシャンのチャレンジ精神はわからないではないですが,ここでのやり方はBeatlesに対して失礼だと思いました。間違いなくA級戦犯はSherrod Barnesでしょう。
おっしゃる通り,シンプルにやったっていいものはいいんですから。
投稿: 中年音楽狂 | 2012年2月18日 (土) 21時28分