ぎりぎりになってJohn Scofieldの"A Moment's Peace"を聞く。
"A Moment's Peace" John Scofield(Emarcy)
この作品はブログのお知り合いの皆さんが結構高く評価されている作品である。にもかかわらず,私が最近のJohn Scofieldの活動に関心を失っている(とかいいながら,MM&Wとのライブ盤はアップしているが...)のが災いして,結局買わずに,そして聞かずに過ごしてきたのだが,さすがに年末も近づいて一応聞いてみるかという気分になり,ようやく記事のアップである。
そして本作を聞いてみたのだが,確かにこの作品,深みのあるいい作品であった。テンポはゆったりしているのだが,ジョンスコのまさに歌うかのようなギターの旋律は,この人のイメージを覆すに十分である。私にとってジョンスコと言えば,デニチェンの爆裂ドラムス入りのエレクトリック・バンドということになるのだが,同じ人のギターとは思えないぐらいの違いがあるのだ。ギターのトーンはまさにジョンスコそのものなのだが,ここまで落ち着きを感じさせるジョンスコは初めてだった。そう言えばジャケの雰囲気も落ち着きに溢れているし...。こうした印象を持つのは,私が"Quiet"を聞いたことがないせいかもしれないが,ここでのジョンスコのビター・スイートな感じはかなりよい。繰り返し聞いてもOKの音楽なのだ。リピートにたえる音楽はいい音楽だと私は思っているが,まさにそういう感じである。これなら何回でもいける。
ジョンスコに求める音楽はこんなものではないというリスナーにとっては,若干退屈に響くかもしれないが,ここではムードに流されることなく,ちゃんと個性は打ち出していて,きっちりジョンスコの音楽になっているところが彼の偉いところだと思ってしまった。バックの面々も楚々とした演奏で応えているが,これだけのメンツである。悪いわけはないんだよねぇ。こういう作品をスルーしてきたのはやっぱりまずかったという反省も込めて星★★★★☆。
それにしてもジョンスコが"I Will"を弾くなんて想像した人がかつていただろうか?"I Am the Walrus"とかならわかるが,"I Will"だもんなぁ。意外だが,このアルバムのトーンにはぴったりであった。そして締めくくりの"I Loves You Porgy"の見事な演奏にも全くもって感心させられた私であった。
Recorded in January, 2011
Personnel: John Scofield(g), Larry Goldings(p, org), Scott Colley(b), Brian Blade(ds)
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John Scofield (g)
Larry Goldings (p,org)
Scott Colley (b)
Brian Blade (ds)
Rel:2011 Emarcy 0602527642482
Recorded Jan,2011 at Sear Sound,NY
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味わいジョンスコです。
こういうスタジオ物はハッチャケた演奏は少なくなりますが、企画の軸がしっかり通っているといつもと違ったところにスポットが当たって作品の存在意義が明確になりますね。
今回はこのメンツにしてバラード集ということで、すこし拍子抜けし...... [続きを読む]
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音楽狂さん、こんばんは。
これ、ジョンスコとは思えないジワッとくる音楽で、繰り返し聴いてもそれに応えてくれる味わいがたまらないですね。音色は確かに彼のものですけど、おっしゃるとおりI Willのようなラブリーなものとか、どうしたものかと思いました。
続編でこのメンツでファンキーな感じでやってもらいたいというのが今のところの希望です。
それでは、TBさせて頂きます。
投稿: とっつぁん | 2011年12月15日 (木) 22時17分
とっつぁんさん,こんばんは。TBありがとうございます。まさに「ジョンスコとは思えないジワッとくる音楽」ですよねぇ。このアルバムに感じられる滋味というのは今まで私が彼に感じたことのないタイプの感慨ですが,こういうのもいけるんだぁと思わずにはいられませんでした。
これは多くの人が愛することができる音楽だと思いす。ということで,こちらからもTBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2011年12月16日 (金) 20時42分
なかなかいいアルバムですよねえ。気分と嗜好の違いでMSMWの方を選ぶ人もいるかもしれませんが、私はやはりこのバラード集の方かな。
どこを切ってもジョンスコだ、というのが改めて分かった1枚ではありました。
TBさせていただきます。
投稿: 910 | 2011年12月16日 (金) 22時51分
910さん,おはようございます。TBありがとうございます。
全くおっしゃる通りで,「どこを切ってもジョンスコ」という個性は感じさせながら,本当に落ち着いていて,「これがジョンスコ?」と思わせるギャップが楽しめるアルバムでした。しかし,演奏が素晴らしく,ジョンスコに対する見方を変えさせられました。バックのメンツによる部分も大きいかもしれませんね。
投稿: 中年音楽狂 | 2011年12月17日 (土) 08時23分
わたしは、今年一番何度も聴いたアルバムは、グエン・レのアルバムなのです。で、2番目はこれです。
これは、テンションはあまり高くないけど、表現力(フィギアでいうところの芸術点だなぁ)で改めてジョンスコの力を感じた次第です。
暮れに温泉につかりながら、この曲きいて、、冷たいビール!
なんて、やってみたいものですわ。
トラバしました。
投稿: 名前は秘密♪ | 2011年12月17日 (土) 12時11分
名前は秘密♪さん,こんにちは。TBありがとうございます。なんでハンドル・ネームを使い分けるのやら...。
Nguyên Lêは私もよく聞きました。あっちのアルバムも驚きましたが,このジョンスコにも驚きましたねぇ。イメージを完全に覆してくれました。そして,繰り返し彼のアルバムをプレイバックしたのは久しぶりだったかもしれないなぁなんて思いました。
さすが,皆さんの審美眼は信頼できますわ。ありがとうございました。
投稿: 中年音楽狂 | 2011年12月17日 (土) 14時08分
音楽狂様
コメントありがとうございます。
この作品は聴きやすくもありそれでいて底が見えません。ずいぶん先まで保証されている感じがします。その他メンバー全員が同じくらい質の高い演奏で聴くほどにまた発見です。制御美みたいなものを感じています。それではトラバさせていただきます。
投稿: ki-ma | 2011年12月17日 (土) 17時38分
ki-maさん,こんばんは。TBありがとうございます。
制御美。なるほどって感じです。確かに抑制されたストイシズムみたいな部分はありますね。静謐なだけではなく,ジョンスコらしい毒も含むって感じでしょうか。
いずれにしても,このアルバムはよかったと思います。
投稿: 中年音楽狂 | 2011年12月17日 (土) 21時14分