多様な音楽を収めた"Inner Smile"は私には微妙であった
"Inner Smile" Aldo Romano (Dreyfus)
Aldo RomanoとBaptiste Trotignonと言えば,既に"Flower Power"というアルバムで,往時のポピュラー・ソングを取り上げて結構笑わせてくれたが,久々の共演ということになるのだろうか。更にそこにEnrico Ravaが加わるというのだから,これは注目度の高いアルバムになるのは当然である。
冒頭の"Positano"から歌心のある演奏で,これは結構美的な展開を図るのかと思わせ,2曲目も"More"だもんなぁ。ずっとこういう路線で行くのかと思いきや,3曲目ではコレクティブ・インプロヴィゼーションのようになり,う~む,どうなっているのだ。更には"Anny's Lullaby"では盛り上がってきたところでフェード・アウトとは何を考えているのやら...。収録時間は50分弱なのにこれは解せない処置である。また,8曲目には"My Funny Valentine"とあるが,コード進行に乗ったRavaやTrotignonのアドリブが続くが,テーマは最後になってようやく出てくるという演奏。演奏としては最高なのだが,なぜこうしたのやら...。このほかにもピアノレスの演奏がカッコいい"Old Devil Moon"やピアノ・ソロながら唐突なエンディングの"Where Is Aldo"等もあり,構成としては謎が多いアルバムである。
だからと言って,このアルバムが悪いというわけではない。演奏は十分楽しめると思うのだが,私としてはもう少し一貫性の保たれたプロダクションをやって欲しいと感じてしまう演奏集である。かつ,エンディングの"I'm Getting Sentimental Over You"も何とも軽くて,アルバムを締まりのないものにしていないか。私はこの演奏ならば,エンディングには持ってこないだろうというような演奏なのである。
ということで,いいところもあれば,よくわからんところもあるというアルバムだが,全体的にはいろいろな意味での「緩さ」が感じられて,私としては非常に微妙。残念ながら,何回も聞きたいとは思わないだろうなぁということで星★★★。このメンツを揃えながら,何だか勿体ないアルバムである。
Recorded on March 1-3, 2011
Personnel: Aldo Romano(ds), Enrico Rava(tp), Baptiste Trotignon(p), Thomas Bramerie(b)
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まぁまぁ(笑)、Aldo Romanoさまですからね。
と、私もフェイドアウトや如何にもおしまい、って、終わり方は気になりましたね。
閣下の仰ることもわかりますが、あんまり厳しい目で見ないで、小春日和の日にききなされ。(爆)
トラバしまーす。
投稿: Suzuck | 2011年11月 6日 (日) 13時50分
すずっくさん,こんにちは。TBありがとうございます。
いえ,厳しく対応します(笑)。このアルバム,悪くないのに,プロダクションに問題があると思います。このメンツならもっといい作品ができたはずでしょう。
おそらくはRomano本人がプロデュースしたんでしょうが,これはやはりもったいない作品です。もっと上を求められるメンバーですから。
ということで,心の狭い中年音楽狂ということで。
投稿: 中年音楽狂 | 2011年11月 6日 (日) 16時03分
個人的には半分ラヴァさん買いだったので、まあ、彼のマイペースも強調されていて良かったと思いました。
アルド・ロマーノの曲も、いくつかはゆったりとしてメロディアスで、というのもあったので、そういう曲がやりたい気分だったのかな、とも思います。
ただ、次回はハードなやつを、と期待もしています。
TBさせていただきます。
投稿: 910 | 2011年11月24日 (木) 17時13分
910さん,こんばんは。TBありがとうございます。
Romanoのアルバムって,こういう甘めのアルバムもあるのはわかっているのですが,メンツがメンツだけにもっときっちりとプロデュースして欲しいなぁと思いました。もちろん,Eicherがプロデュースしていたら,全然違う音になっていたでしょうが(笑)。
ということで,こちらからもTBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2011年11月24日 (木) 21時53分