Wynton MarsalisとEric Claptonの共演の結果は...
"Wynton Marsalis & Eric Clapton Play the Blues" (Reprise)
この2人の共演だから,聞いてみたくなるのが人情である。だが,昨今のジャズ原理主義者的な音楽を展開するWynton Marsalisに対しては私としては微妙な感覚があり,この共演には若干の危惧があったことも事実である。
そしてその危惧は現実のものとなったと言わねばなるまい。"Play the Blues"というタイトルのもとに,多くのリスナーが期待するのは,よりモダンな感覚のブルーズであろう。しかし,ここで展開されているのはあまりにもトラッドな感覚が強い音楽であり,これではClaptonの強烈なブルーズ・プレイを期待するリスナーは確実に肩透かしを食うこと間違いなしである。
音楽としての質が低いとは言わない。しかし,私にはClaptonの魅力を活かしているとは思えないのである。ギターはそこそこ弾いているとしても,ヴォーカルも魅力が薄く,ゲストで登場するTaj Mahalの方がはるかに魅力的に聞こえるのはやはり納得できない。もちろん,伝統音楽としてのブルーズへのリスペクトはあるのだろうが,Wynton Marsalisというミュージシャンが日本で近年更に人気が出ないのは,伝統をあまりにも重視し過ぎた姿勢により,リスナー不在になっているからだと言ってもいいのではないか。
オマケのDVDで映像を見れば,また違った感慨もあるのかもしれないが,私はこのCDを聞いても全然楽しめなかった。聴衆に一番受けているのが"Layla"であるということも,私と同じ感覚をオーディエンスも感じていたということのように思える。結論から言えば,ClaptonはWyntonなんかと共演するよりも,もっと別の選択肢があったということにならざるをえない。星★★。
こうした辛い点数をつけざるをえないほど,私にとってはこのアルバムは面白くないのである。もっとディープなブルーズを聞かせて欲しかったのだ。
Recorded Live at Jazz at Lincoln Center on April 7-9, 2011
Personnel: Wynton Marsalis(tp, vo), Eric Clapton(g, vo), Victor Goines(cl), Marcus Printap(tp), Chris Clenshaw(tb, vo), Don Vappie(banjo), Chris Stainton(key), Dan Nimmer(p), Carlos Hernandez(b), Ali Jackson(ds), Taj Mahal(vo, banjo)
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» Play The Blues/Wynton Marsalis Eric Clapton [灼熱怒風]
年末よく聴いていたアルバム。女房はEric Claptonのコンサートに行ってきたそうだ。
Play The Blues/Wynton Marsalis Eric Clapton(Repise)
Personnel
Wynton Marsalis
: tp.vo... [続きを読む]




































































EVAです、今晩は。
私もこのアルバムどうしようか決めかねていました。
そこに音楽狂さんが入手したと言うことが先日分かりましたのでレビュー待ちにさせて頂きました。
記事を読ませて頂きこれで散財せずに済んだことを感謝します。有難うございました。
これからもソフトの紹介宜しくお願いします。
投稿: EVA | 2011年10月 1日 (土) 20時02分
EVAさん,こんばんは。私としてはご自身の耳で確かめて頂くのがいいとは思いますが...。
まぁそれでも少しでもお役に立つのであれば何よりです。いずれにしても私には全くダメでした。Claptonがいい人過ぎるって感じでしょうか(笑)。
投稿: 中年音楽狂 | 2011年10月 1日 (土) 20時42分
今晩は!私は購入しましたが、住所を間違えて自宅にしてしまい、まだ聞けておりません
そうですか?残念な内容でしたか?
もう少しで聞ける予定ですので自分でも確かめてみます!
投稿: takeot | 2011年10月 1日 (土) 21時41分
takeotさん,こんばんは。ご自身の耳でお確かめ頂くことがベターであることは間違いありません。しかし,私にとってはこれは受け入れられないって感じなんです。
しかし,こういう演奏がお好みの方もいらっしゃるでしょうから,何とも言えない部分もありますが,残念ながら私の求める音ではありません。
投稿: 中年音楽狂 | 2011年10月 1日 (土) 22時08分
我が家にも、ダーリンの名義で届いてます。
私的には、、前回だっけ?のアルバムも・・・だったのですが、閣下の評価はなんとなくわかる気がします。
開封されルのがいつになるかわかんないんですが、メルドーのアルバムが到着しましたんで、まぁ。。そのうちでいいかなぁ。。
それと、遅くなりましたが、70万Vおめでとうございました。
投稿: Suzuck | 2011年10月 2日 (日) 14時15分
すずっくさん、こんにちは。このアルバムを聞いて、微妙〜と思うのは私だけではないはずです。ちなみにClaptonの前作は私は試聴して見送ったんじゃなかったかと。
投稿: 中年音楽狂 | 2011年10月 2日 (日) 18時39分
音楽狂様
今年も宜しくおねがいします
私も聴く前はクラプトン寄りのブルースと勝手に考えて
聴いてみてびっくりでした
ここまで、やるかと
付き合うクラプトンもすごいと思いました
それはそれで結構楽しめました
こちらからもTBさせていただきます
投稿: HamaVenturini | 2012年1月 7日 (土) 21時05分
HamaVenturiniさん,本年もよろしくお願いします。TBありがとうございます。
私は,さすがにこれは行き過ぎだろうと思っています。Claptonの本質を全く理解していないWyntonと言いたくなります。勘違いも甚だしいです。Claptonも断ればいいものを,年とともに丸くなっているんでしょうかね(苦笑)。
あまりに音楽のギャップが大きくて,DVDもまだ見ていない私です。
投稿: 中年音楽狂 | 2012年1月 7日 (土) 21時22分