Steve Hackettのプログレ魂
"Live Rails" Steve Hackett(Inside Out)
いきなりであるが,Steve Hackettという人に私はかなりのシンパシーを感じてしまう。私は別に彼のファンってわけではないのだが,私が保有する決して数多くないアルバムを聞いているだけで,特にライブにおける彼のギターって非常に魅力的だよなぁって思わせてくれる。"Seconds Out"然り,"Tokyo Tapes"然りである。
そのHackettの新しいライブ盤がリリースされたのだが,これまた私が嬉しくなるような出来である。こういう音源を聞いていると,ポップ化する前のGenesisを支えていたのはHackettだったんだろうと思わせるし,ポップへ傾斜していくGenesisに嫌気がさして脱退するのも必定だったように感じられる。この時代になってもここで聞かれるような音楽をやっているってことは,骨の髄からプログレな人なのだろうと思う。
本作は2009年から2010年に掛けてのツアーの様子をパリ,ロンドン,NYCで収録したものだが,ある意味では本当に何も変わらないねぇと思わせる。いつものようなHackettのギター・プレイが聞けてこれがかなり楽しい。演奏はほとんどハイブラウなものだが,"Serpentine Song"のようにまるでCSN&Yのコーラス・ワークかっ!と思わせる曲もあり,その辺はおそらく好みが分かれるはずである。だが,Hackettの現役ミュージシャンとしての実力をきっちり捉えていると言ってよい。
いずれにしても,全体的には私が求めるHackettの音楽と言ってよく,こうしたアルバムは(きっとそんなに売れないだろうが),より多くの人に聞いてもらいたいと思ってしまう。録音は現在のレギュラー・バンドによるものだろうが,バックもタイトに好演していている。中でもこの手の音楽にAmanda Lehmannという女性ギタリストが参加していることは非常に珍しいが,彼女もギターのみならず,コーラスでも貢献している。もちろん,本作には"Tokyo Tapes"のようなメンツの重量感はないが,出てくる音楽の質感はかなり近いのである。その辺りがSteve Hackettの音楽性が一貫していることを示しているように思える。
こんなライブなら,小さな小屋で見てみたいものである。全部が全部,曲も最高だとは思えないが,これはかなりいけている。星★★★★。
Recorded Live in Paris, London and NYC between 2009 and 2010
Personnel: Steve Hackett(g, vo), Roger King(key), Amanda Lehmann(g, vo), Gary O'Toole(ds, perc, vo), Nick Beggs(b, stick, vo), Rob Townsend(sax, perc, vo)
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