Miles Davis:"Tutu"のデラックス・エディションの注目はディスク2だよねぇ。
"Tutu Deluxe Edition" Miles Davis(Warner Brothers)
実を言ってしまえば,私はMilesがWarner Brothersレーベルに移籍してからのアルバムをあまり評価していないのだが,唯一許せるというのがこの"Tutu"だったような気がする。そんな私だから,"Tutu"がリマスターされるだけなら買っていないが,今回は未発表ライブ音源がオマケでついてくるということで,どちらかというとそっちが聞きたくて購入してしまった。そもそも値段も手ごろだし。
この頃のMilesはアルバムでやっている音楽と,ライブの場での音楽が結構違って,ライブでは相当ハード・ファンク的な要素もあったように思えるのだが,私もアルバムは今イチと思いながら,来日公演では結構燃えていたのも懐かしい。だが,死が近づくにつれて,私はそのライブにさえ魅力を感じなくなっていたのも事実であり,Milesが客に媚びてはいかんと,亡くなる直前のNYCのJVCジャズ・フェスティバルでは感じていた。あれは91年6月の頃のはずだが,あまりにも演奏がつまらなくて,私は拍手をする気にもなれなかったのである。
しかし,今回収録されたのは1986年,フランスはニースにおけるライブであるから,まだまだMilesがそんな感じになってしまう前の,ハードボイルドな側面も残っている頃である。注目すべきはギタリストがRobben Fordだってことだろうが,彼との共演はモントルー・ボックスにも入っていたから私にとって初めてではない。だが,あのボックス,なかなか引っ張り出して聞くには気合が必要なので,Robben Ford入りMilesを聞くのは久しぶりである。だが,これがかなりよいのである。まずそれが意外。Robben Fordはブルーズ色が濃い人ではあるが,ここでのこの人のトーンやフレージングが,この頃のMilesバンドに相当フィットしているように聞こえてしまうのである。絶対John Scofieldより合っていると言っては言い過ぎだろうか。でもかなり相性がいいと思えるのだ。
Fordもいいが,やはりこの頃のMilesバンドが魅力的なのはBob Bergのサックスのせいだと思うのはきっと私だけではないはずだ。ワンパターンと言えば身も蓋もないが,いかにもBob Bergらしいフレージングの連発である。しょうがないな,好きなんだからと開き直るしかないが,やっぱりBob Bergはカッコいいのである。やたらに体をくねらせて吹けばいいと思っていたかのようなKenny Garrettとは大違いである。
いずれにしても,こういう音源がいくらでもあるってことが明らかになったようなものであるが,Milesはハイノートもちゃんと吹けているし,まだまだ元気一杯である。でも私としてもこの頃がMilesを聞くのが限界だったのかなぁとも思えてしまう。というよりもRobert Irving IIIが抜けてから,バンドとしての締まりがなくなってしまったのではないかと感じられるという完全回想モードの中年音楽狂である。
ともあれ,このライブは荒っぽい演奏とも言えるが,ちゃんと聞かせる音源になっており,オマケとしては相当レベルが高いと言っておこう。オマケなので評価はしないが,これを目当てに買ってもまぁ損はしない。久しぶりにモントルー・ボックスも聞いてみますか。
Recorded Live at Jardin de Arenes de Cimiez, Nice in July, 1986
Personnel: Miles Davis(tp, key), Bob Berg(ts, ss), Robben Ford(g), Robert Irving III(synth), Adam Holzman(synth), Felton Crews(b), Vincent Wilburn Jr.(ds), Steve Thornton(perc)
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