James Farm:Joshua Redmanが今イチ苦手な私もOKの快作
"James Farm" James Farm(Nonesuch)
このアルバムを新譜と呼ぶにはリリースから随分と時間が経っているのだが,私の中ではまだまだ新譜ということにさせてもらおう。もっと早い時期に記事にしようと思っていたのだが,ずるずるとここまで来てしまった。
主題にも書いたとおり,私はJoshua Redmanが今イチ苦手である。名門Harvard卒という育ちのよさというか,この人の音楽には非常に「理知的」なものを感じてしまい,クールに演奏されると何だかなぁとなってしまうのである。うまいのはよくわかるんだが,どうもサックス・プレイヤーとしての魅力を感じさせてくれないと思えてしまう。これが相性ってやつなのかもしれないが仕方がない。ということで,Joshua Redmanがシーンに登場してからも,実はBrad Mehldauがらみのアルバムと"Wish"ぐらいしか買っていない。MehldauがらみはあくまでもMehldauで,"Wish"も伴奏陣に魅かれてということであるから,本当にほとんど関心がないのだ。
しかし,このアルバムはお知り合いのブロガーの皆さんの間でも評価が高いし,何よりもリズム・セクションが気になる面々ということで購入したわけだが,やはりJoshuaとの相性からというわけではないが,どんどん聞く優先順位が劣後していってしまった。
だが,ようやくここにきて何度かプレイバックしてみて,これはかなり出来がいいのではないかと思うに至った私である。Joshua Redmanは相変わらずのクールな吹きっぷりであるが,このアルバムの面白いところは曲とアレンジなのだと思える。自発的のようで,実は書き込まれているのではないかと思える精緻さが演奏の端々に感じられる。Eric Harlandは思ったほど激しくやってはいないが,この演奏でのキーはAaron Parksが握っていたのではないかと思えるほど,私にはParksの演奏ぶりが気に入ってしまった。
彼らはやはりバンドとして活動しているだけに,きっちりアレンジしている感覚が濃厚ではあるが,ジャズ的なスリルに乏しいということでは決してない。ワンホーンというジャズの王道のような編成を取りながらも,聞こえてくる音楽には普通の4ビートなんてほとんど顔を出さないところが面白い。まさに典型的なコンテンポラリー・ジャズとして捉えることができるように思う。Joshua Redmanは相変わらず私のタイプではないが,このバンドならばOKと言える。また,アルバムとしては推薦に値する出来だと思う。星★★★★☆。
いやいや,それにしても今年はいいアルバムが多いなぁ。年末のベスト盤選びに苦しみそうである。
Recorded on August 26-29, 2010
Personnel: Joshua Redman(ts, ss), Aaron Parks(p), Matt Penman(b), Eric Harland(ds)
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Joshua Redmanの新作は、個人名義ではなくJames Farmというユニットの名義となっております。
が、メンツがとんでもなく凄く、期待感はかなり高いものとなっております。
Jamesというのは、各人の名前の最初の字を繋げたJAMEに由来しているようですね。
なので、書く順番もこれ例外はダメな、メンツは以下の通り。
Joshua Redman(Ts,Ss)、Aaron Parks(P)、Matt Pennman(B)、Eric Harland(Ds)
演奏曲は、4人そ..... [続きを読む]
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ちょっと頭でっかちというのがJoshuaのここしばらくの印象。
デビューから3作目までは大好きでしたがそれ以降はピンと来ず。ジャズの未来を背負っている気負いか、音まで息苦しい物になってしまった様な気もしてました。でも毎回即買いしてしまうのはなんなのか。
...... [続きを読む]
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James Farm ( amazon.co.jp )
2011 Nonesuch Records
Joshua Redman (ts,ss)
Aaron Parks (p, key)
Matt Penman (b)
Eric Harland (ds)
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Joshua Redman (sax)
Aaron Parks (p)
Matt Penman (b)
Eric Harland (ds)
Rel:2011 NONESUCH 526294-2
Recorded Aug 26-29 ,2010 at The Clubhouse,Rhinebeck,NY
2009年後半くらいからこの構成でバンドとして活動はしていたようです。ジャズの今の空気を表現するアーティストでは筆頭にあげられる面々が勢揃いしたっていう、やっぱ買っちゃいますよっ..... [続きを読む]
» Joshua redman『James Farm』 [kumacs Jazz]
ジョシュア・レッドマンっていつもいいドラマーとユニット編成していますね。音が硬くて、叩きっぷりがいいです。推進力があります。この作品『James Farm』は録音が2010年8月26~29日です。約1年前に録音された作品です。ジョシュア・レッドマンの新作というにはちょ... [続きを読む]


































































こんばんは。
>この人の音楽には非常に「理知的」なものを感じてしまい,クールに演奏されると何だかなぁとなってしまうのである。
うーーん。。。でも、、ほら。。全く、知性を感じないのもなぁ。
と、誰って、ことではない。
真面目に言うと、ここまでは結構同じような感想。でも、サックスプレイヤーとしては魅力を感じてます。
なんでだか、よくわかんないけど。
ただし、これはわたしはAaron Parks買い。演奏もよかったし、結構計算された、ってのも、その通りだと思います。
でも、最後、聴き終わったときは、ジョシュアだったなぁ。
やっパ、うまいなぁ、だけでなく、なんか、わたしを惹きつけるものを感じちゃいました。
ということで、このバンドで来日するように、願ってます。
トラバしますね。
投稿: Suzuck | 2011年6月23日 (木) 18時34分
やっぱり皆さん絶賛されているだけのことはありますね。
内容的にはけっこう凝っているんだろうけれども、そう感じさせなくて、けっこう聴きやすかったり、メロディが印象に残ったりする場面が多かったアルバムでした。
このメンバーだからこそ、あえて入り組んだっ方向に行かなかった、というのは正解だったのでは、という気がしています。
TBさせていただきます。
投稿: 910 | 2011年6月24日 (金) 07時37分
すずっくさん,TBありがとうございます。返信が遅くなりました。すみません。
記事にも書きましたが,相性ってありますよね。でも相性が悪くても,こんな作品なら全然問題ありません。Aaron Parksもいい仕事振りでした。
ということで,こちらからもTBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2011年6月25日 (土) 09時00分
910さん,おはようございます。TBありがとうございます。返信の順番がぶれてしまってすみません。
このメンツならではの出来と言えばその通りでしょうが,私にとってもこれは評価できるアルバムでした。レギュラーで継続すると面白いことになりそうですね。
ということでこちらからもTBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2011年6月25日 (土) 09時45分
さすがに、ユニット名義のアルバムだけあって、個が立っているというより、グループでの演奏に焦点が当てられている印象でした。
が、それでいてジャズの熱さがしっかり伝わってくる凄い盤だと思います。
なんだかんだ、Joshua Redmanは侮れない人です。
TBありがとうございます。逆TBさせていただきます。
投稿: oza。 | 2011年6月25日 (土) 14時24分
音楽狂様
こんばんは。思ったよりjoshuaはパスしてるんですね。でも凄く気持ちわかります。
近年は曲が複雑でも乗りこなしてしまうミュージシャンが増えてきた気がします。この作品はその好例ですね。全然違いますがこのドラマ性にchickのThree Quartetsなど思い出してしまいました。
投稿: ki-ma | 2011年6月25日 (土) 19時54分
中年音楽狂さん、こんばんわ。
僕もけっこうジョシュアは苦手です。なにしろ、ジョシュアで一番好きなのがエラスティック・バンドですから。
でも、本作は、ジョシュアのリーダー作ではなく、文字通り四人の共同名義なので、そこが聴きやすいポイントだったと思いますけどね。最初は安易すぎるアルバムだと感じましたが、でもよく聴くと凄く緻密な感じが出てきて、流石~~って思っちゃいました。ジョシュアはアルバム・コンセプトにハマった時は絶大な力を発揮する人なんだと感じました。
ということでこちらからもTBさせていただきます。
中年音楽狂さんの記事は最後にリンク貼らせていただきました。
ではでは。
投稿: criss | 2011年6月25日 (土) 23時12分
oza。さん,TBありがとうございます。おっしゃる通り,このアルバムはグループとしてのサウンドを重視していると思います。
Joshuaは苦手でも,確かに侮れません(苦笑)。
投稿: 中年音楽狂 | 2011年6月26日 (日) 13時08分
ki-maさん,こんにちは。TBありがとうございます。
確かにここに収められた音楽も複雑だとは思うんですが,そう感じさせないところが大したものです。そうした点も評価に値すると思っています。
投稿: 中年音楽狂 | 2011年6月26日 (日) 13時09分
crissさん,TBありがとうございます。今回もこちらからのTBはダメで,crissさんのはOKですね。FC2とココログ・フリーはOKなのに,ココログ・ベーシックはダメってのはどういうことなんでしょうね。ちょっと納得がいきませんが,お手数お掛けしてすみません。
ともあれ,このバンドはなかなかいいですね。確かにツボにはまったときのJoshuaは凄みを感じさせます。アドリブとアレンジのバランスもよかったのが勝因かもしれませんね。
投稿: 中年音楽狂 | 2011年6月26日 (日) 13時12分
中年音楽狂さん、こんにちはmonakaです。
私のところもそうですが、最近一番TBがついたアルバムでないでしょうか。
NYのクラブにも出ているようですが、このメンバーがそろって日本にはこないでしょうね。
生の演奏が非常にききたくなあります。
パークスがいっそう燃えそうです。
投稿: monaka | 2011年6月26日 (日) 16時10分
monakaさん,こんばんは。TBありがとうございます。確かにブログ界で話題沸騰ですね。
このメンツで日本に来れば,私も見たいですねぇ。特にAaron Parksがどういう演奏をするかは興味津々です。
投稿: 中年音楽狂 | 2011年6月26日 (日) 18時33分
音楽狂さん、こんばんは。
久しぶりにJoshua Redmanを聴きましたが、理知的な部分は感じさせながらもこのメンバーと組むと、ノリが違うのか、活性化されている気がしました。
Eric Harlandなんかはもっとこっちにガツンと来て欲しい気もなくはないんですが、それはライブでお楽しみ・・になればいいですね。TBありがとうございました。こちらからもTBさせていただきます。
投稿: とっつぁん | 2011年6月26日 (日) 23時21分
とっつぁんさん,こんばんは。TBありがとうございます。
確かにここでのHarlandはややおとなしめであることは間違いありませんが,トータルなサウンドとしてはよかったとも思えます。でもやはり「ガツン」を期待しちゃいますよねぇ。来日したら,私も行くだろうと思いますね。
投稿: 中年音楽狂 | 2011年6月26日 (日) 23時57分
Toshiyaさん、おはようございます。
自分はジョシュア・レッドマンの演奏は好きなんですが、最近はご無沙汰してました。こんないいユニットで活きのよい活動をしていたんですね。乾いた硬質な音の響きがなんとも心地よい作品ですね。ライブみたいですね。トラバさせてくださいね。
投稿: kumac | 2011年7月10日 (日) 09時31分
kumacさん,こんにちは。TBありがとうございます。
これはユニットとしての活動なんでしょうけども,メンツの勝利という気がします。それでも,このコンテンポラリーな感覚というのは実力がなければなかなか出せないものだと思います。いいバンドですよね。これなら私もライブを見たいです。
こちらからもTBさせて頂きますね。
投稿: 中年音楽狂 | 2011年7月10日 (日) 11時15分