ファンも驚愕のECMとテクノのコラボ。
"Re: ECM" Ricardo Villalobos / Max Loderbauer(ECM)
この作品にはびっくりするECMファンも多数いるはずである。ミニマル・テクノのRicardo Villalobos(そう言えば,彼のアルバムもこのブログで取り上げたことがあったなぁ。記事はこちら)とアンビエント・テクノのMax LoderbauerというコンビがECM作品をリミックスするという驚きの企画である。
しかし,よくよく考えてみると,ミニマル・テクノが「リズム,ベースを主に,少数のフレーズを加えたものを反復させる」という音楽である点,アンビエント・テクノも環境系のゆったりした音楽だと解釈すれば,ECMの"The Most Beautiful Sound Next to Silence"という特性と全く合致しないわけではない。
それでもこうしたテクノ・ミュージックとECMが合体してしまうことに驚きをおぼえる人がいても不思議ではないが,そもそもRicardo Villalobosは以前からECMの音楽を素材としたDJも行っていたということであるから,彼らとしては素材にECMを選ぶことには何の抵抗もなかったということであろう。
こうした音楽をどのように解釈すればいいのかというのは,あまり意味がない行為のようにも思える。そもそもミニマルとかテクノとかいう音楽は一種のアンビエント・ミュージックと考えることもできるから,何らかのイベント(美術館でもいいし,クラブでも,バーでも,それこそ空港でもOKである)のバックで掛かっていることを意識させないタイプの音だと思えばいいのだと思う。私は家で仕事をしているバックでこのアルバムを流していたのだが,一切邪魔にならないというのが,このアルバムの特性を物
語っている。決してこれは鑑賞音楽だと思ってはならないのである。環境と同化する音として捉えればいいのであって,その素材にECMレーベルに吹き込まれ
たアルバムが見事に合致していたということになるだろう。いずれにしても,私にとっては,こうしたアルバムを「音楽」という尺度で評価することは無意味の
ように思える。
いずれにしても,ECMのオーナーであるManfred Eicherがこのアルバムのリリースを許可したこと自体に,私は彼の進取の気性を感じ取ってしまって,Eicherってやっぱり凄いと思ってしまうのだが,皆さんはどうだろうか。
一般的にはこれは賛否両論確実なアルバムであることは間違いないだろうが,今までECMなんて関心も示さなかったであろうテクノ好きの人々にECMを認知させるという点では十分意味があるだろうし,私はこれは絶対「あり」だということで,「賛」の立場を取りたいと思う。コアなECMファンがこのアルバムにどう反応するのか本当に興味深い。
この手の音楽を取り上げると,どうも私はいつも同じようなことを書いているように感じてしまうが,それでも私はこれでは絶対踊れません(笑)というのは確実である。逆にこれで踊れる人ってどういう人たちなのだろうかと思ってしまう私...。
いやいやそれにしても驚いた。
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ECMに関しては守備(受け入れる)範囲は広い方だと思う私ですが、これのコメントはうまく書けずに、引用された元のアルバムを書いて、ちょこっとコメントを書いただけでした。
エレクトロニクスを使ったアルバムなどは今までにも出ていますが、リミックスアルバムとなると、なかなか他では聴いていないので、比較できるものがなく、しかもクラシックの題材もあったりしますし。でも、マンフレート・アイヒャーも制作段階で関わってますし、もしかするとこういう方向で今後も出てくるかもですね。
TBさせていただきます。
投稿: 910 | 2011年6月 4日 (土) 11時07分
910さん,こんにちは。TBありがとうございます。
このアルバムは一般のECMファンにはかなりハードルは高いでしょうねぇ。私みたいな雑食系音楽聞きは,これもありだと思いますが,これにはびっくりしたのも事実です。
しかし,こんなところも飲み込んでしまうECMの魔力って話もありますよね。素晴らしいことです。
ということでこちらからもTBさせて頂きます。
投稿: 中年音楽狂 | 2011年6月 4日 (土) 17時05分
弊ブログへのコメントありがとうございます.
私的には,ECMらしいアンビエントで,大いにアリ,というか好みのアルバムになっています.
仰せのとおり,アンビエントそのもので邪魔にならない.同時にECMの音源を解体して,「21世紀のECMの音」にコンパイルしているような感覚が面白かったです.
またかつては,結構,アンビエント+電子音的なアルバムが出ていたのですが(それがECMという感覚もあった),近年は欧州*アコースティックに偏重しているようにも思っています.
https://dailymusiclog.hatenablog.com/entry/2025/01/03/084430
投稿: ken | 2025年1月13日 (月) 10時46分
kenさん,おはようございます。リンクありがとうございます。
>私的には,ECMらしいアンビエントで,大いにアリ,というか好みのアルバムになっています.
>仰せのとおり,アンビエントそのもので邪魔にならない.同時にECMの音源を解体して,「21世紀のECMの音」にコンパイルしているような感覚が面白かったです.
そうですね。この辺りが進取の精神そのものって感じがして,ECMらしいとも言えますね。
>またかつては,結構,アンビエント+電子音的なアルバムが出ていたのですが(それがECMという感覚もあった),近年は欧州*アコースティックに偏重しているようにも思っています.
Manfred Eicherも年齢が年齢だけにテイストの変化もあるかもしれませんね。
投稿: 中年音楽狂 | 2025年1月13日 (月) 11時08分