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2011年1月11日 (火)

Dave Grusin,70年代の傑作:久々に聞いてもこれは最高だった。

One_of_a_kind_cd"One of a Kind" Dave Grusin(Polydor→GRP)

昨日のLevon Helmと同じような時期に出たアルバムである本作も,私はLPだけで保有していて,聞こうと思えばいつでも聞けるのだが,なかなか聞く機会に恵まれなくなっていたアルバムである。しかし,フュージョンがまだクロスオーバーと言われていた頃,ほかのアルバムとは決定的に何かが違うと感じさせてくれたアルバムであり,私の中では,Dave Grusinというミュージシャンの占めるポジションが,この作品で一気に高まったような気がする。

One_of_a_kind_lpもちろん,本作が出た頃と相前後して,渡辺貞夫とのコラボレーションが進められたりしていたから,Grusinの名前については,認知度は高まっていたのだが,リーダー作がこれほどいいとははっきり言って思わなかった。
以下は以前Amazonに投稿した内容とも相当かぶるが,まぁよかろう。

なぜかはわからないのだが,初出のLP(ジャケ画像もアップしてしまおう)とCDでは曲順が変更されており,LPではCD4~5曲目がサイド1,1~3曲目がサイド2であった。この曲順変更の意図は不明ながら,素晴らしい曲,素晴らしい演奏の数々であることは間違いない。

このCDの冒頭に収められた"Modaji"こそクロスオーバー/フュージョンにおける屈指の名曲と思うが,この曲をプッシュしたいという思いがGrusin本人にもあったのかもしれない。それも当然だと思わせるぐらいのしびれる名曲である。続く映画「愛すれど心さびしく」の主題曲"A Heart Is a Lonely Hunter",Milton Nascimento作のサンバ・タッチが楽しい"Catavento",はじけるリズムとシンセの響きが絶妙な"Montage"(しかも何ともAnthony Jacksonらしいベース・ライン!),Granadusの曲をアダプテーションした美しいバラード"Playera"とどこから聞いても駄曲なしである。久々に聞いたが,やはりこのアルバムは素晴らしい。まぁ,曲順変更によって,最初が"Montage"でないというのに,若干違和感がないわけではないが,それなら,iPodでプロパティを変更すればいいだけの話である。

Dave Grusinは渡辺貞夫の"California Shower"の影響もあって,西海岸的なイメージが強いが,これは明らかにNYCあるいは東海岸的なサウンドと言ってもよい,何とも心地よいウェットな感覚に満ちている。決して能天気ではなく,非常に優れた曲,アレンジ,演奏なのである。Dave Grusinのストリングスのアレンジは一聴しただけでわかるぐらい,明確な個性があるが,ここでもそうした美点が表出していると思う。まぁ,映画音楽も多数ものにしている人なので,ストリングスが過剰になれば,どうしても映画音楽的な部分を感じさせてしまう(というか"Cinemagic"のようになってしまう;と言いながらあれも好きだが...)ところがないわけではない。だが,ここはストリングスは控え目なので,そうした点も一切気にならないという点では,やはり好きだなぁ。

何か機会がないと,こういうアルバムの買い方はできないのだが,どうしても聞きたくなってしまったのだから仕方がないのである。だったらLPでいいじゃんという話もあるが,やっぱりiPodに突っ込んでおきたかったというのが本音である。

いずれにしても,本作は70年代のDave Grusinがいかに優れた仕事をしていたかを示す証として,より多くの人に聞いてもらいたい傑作。そして,このアルバムが,凡百のアルバムではないということは,ギターが入っていないということにも感じられる。ギターという楽器はクロスオーバー/フュージョンの中では花形楽器の一つだと思うが,それなしでも素晴らしい音楽を構成できるのである。私の中では,クロスオーバーのひな型はこれだったということで,星★★★★★を謹呈してしまおう。

Personnel: Dave Grusin(key, p), Grover Washington(ss), Dave Valentin(fl), Anthony Jackson(b), Ron Carter(b), Francisco Centeno(b), Steve Gadd(ds), Ralph McDonald(perc), Don Elliott(mellophone, vo), Larry Rosen(perc), with Strings

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コメント

こんばんは、jamkenです。この作品、実は購入してまもなく、ラックの中に収まってしまいました。何故か?わたしには今一刺激が足りなかった…が答えかな。この記事を読んで「しまった!」と思いました。私は聞いてみて第一印象で判断する癖があるのです。帰ったらさっそく聞き直ししてみます。

jamkenさん,こんばんは。返信が遅くなりまして申し訳ありません。

確かにこのアルバム,刺激には乏しいかもしれませんが,いろいろな仕掛けを感じさせてくれますし,いい曲が揃っていると思います。是非ご感想をお聞かせ下さい。

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