ゴスペル色が濃厚になったLizz Wright
"Fellowship" Lizz Wright(Verve Forecast)
私はLizz Wrightの前作"The Orchard"が出たときも結構ベタぼめした(記事はこちら)のだが,彼女の通算第4作となるアルバムが発売になった。彼女の声に惚れこんでしまった私としては当然の行動であるが,今回のアルバムはこれまで以上にゴスペル色が強くなっているのに驚かされた。相変わらずの声の素晴らしさであるが,これでゴスペルを歌われたら思わず信心深くなってしまうとさえ感じる歌唱ぶりである。
もちろん,ゴスペルだけにとどまらず,Clapton,Jimi Hendrix,Gladys Knightなんかのカバーも入っていて,ソウルやロック好きも納得させる選曲のよさは健在。私は彼女がジャズ・ヴォーカルだとは思わないので,今回もカテゴリーに困ったしまったのだが,Cassandra Wilson同様,ジャンルなんてどうでもいいと思わせるような歌い手だであることは間違いない。冒頭のヘビーなファンク(さすがN'Degeocelloと思わせる)から中盤のゴスペルの連打,そしてAngelique Kidjoとの共演をインタールード的に挿入して,Claptonの"Presence of the Lord"という流れもたまらん。そして最後を"Amazing Grace"で締めるというのはちょっとでき過ぎという気がするが,それでもこの人の声の魅力は十分に伝わってくる。
まぁいろいろなタイプの音楽が混在し,更にはゴスペル色が強いこともあり,ややこれまでのアルバムとはタイプが異なるとも言えるし,ややまとまり的にはどうかと思わせる部分もある。それでも,この人が次代のCassandra Wilsonたりうると評価している私にとっては,今回のアルバムも十分に楽しめるものであった。正直に言ってしまえば,前作の方が好きだが,これはこれで星★★★★には十分値すると思う。それにしてもいい声である。
尚,一部でベースを弾いているNic D'AmatoはWayne Krantzと"Nullius in Verba"(記事はこちら)というナイスなハイパー・フュージョン・アルバムを吹き込んでいるが,随分やっている音楽は違うなぁと感じさせられて面白かった。また,このジャケの写真を見て,ちょっと薬師丸ひろ子みたいだと思ったのは,私だけ?だな(爆)。
Personnel: Lizz Wright(vo), Glen Patsche(p, key, org), Me'Shell N'Degeocello(b), Rocky Bryant(ds), Oren Bloedow(g), Joan Wasser(vln, vo), Nic D'Amato(b), Alfredo 'Catfish' Alias(ds), Robin Macatangay(g), Marvin Sewell(g), Fred Walcott(perc), Todd Sickafoose(b), Bernice Johnson Reagon(vo), Toshi Reagon(vo), Kenny Vanks(p, vo), Mimi Jones(b), Angelique Kidjo(vo), Nacho Arimany(perc), Dave Cook(p), Jano Rix(ds), Josette Newsam Marchak(vo) and Others
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コメント
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おはようございます
彼女の新譜が出ていたんですね!まずいなあ!
これは聞かないと駄目ですね!前作も良かったのでしかもクラプトンの曲も歌っているなどと聞いてしまうと聞くしかないですね!情報ありがとうございます
投稿: takeot | 2010年10月10日 (日) 07時55分
takeotさん,こんにちは。お役に立てて何よりです。
私は作品としては前作の方が好きですが,ここでの"Presence of the Lord"は泣かせます。やはりこの人,カバーのセンスが素晴らしいですね。
投稿: 中年音楽狂 | 2010年10月10日 (日) 11時08分