John LegendがThe Rootsと挑むカバー・アルバム
"Wake Up!" John Legend & the Roots(Columbia)
私はJohn Legendが結構好きだが,前作"Evolver"はLegendのよさを活かしていないと思えて,あまり評価できなかった私である。前作がどちらかというとダンス・フロア向きという感じだったのだが,今回はガラッと趣向を変えて,60~70年代のソウル・ミュージックのカバーが中心となっている。巷ではカバー・アルバムが大流行(特に日本は異常だ)だし,しかも伴奏はヒップホップ・グループThe Rootsであるから,若干の不安がなかったわけではないのだが,それは杞憂に終わった。これは曲の力にもよるところも大きいが,なかなかにいけているソウル・アルバムとなった。
私はThe Rootsというバンドの演奏を聞くのは初めてのはずだが,伴奏に関してはちゃんと生の演奏を行っていて,所謂「ヒップホップ」的でないところがまずよい。確かに今までのLegendのアルバムのバッキングのパターンとは異なるが,それでも相性は結構悪くないと思う。そもそもLegendがこのアルバムを作る動機になったのが,前回の米国大統領選におけるObama支持のムーブメントに感じられた熱気を音楽的に再現しようということだったらしいのだが,その結果やっている曲は政治的な意識を高めるようなトーンの曲が多くなるのは当然のことであろう。
そうしたLegendの意思が良いか悪いかは別にして,私としては純粋に音楽的に評価すれば,このアルバムはかなり好きである。オリジナルの曲を全部聞いたことがあるわけではないから比較することはできないが,それでも黒人の権利を保全しようとした60~70年代当時の熱気を再現することにはほぼ成功しているのではないだろうか。スイートさはないが,非常に熱いパワーを感じさせてくれるものである。
おそらく,このアルバムにケチをつけるとするならば,オリジナルとの比較においてという議論になるのだろうと思うが,そういうこだわりを持たないリスナーには,素直に受け入れられる可能性は高い。もちろん,ベースのミキシング・レベルが高過ぎて何だかなぁと思わされる曲もあるが,そこは伴奏がヒップホップ・バンドならこういうのもありなのは仕方があるまい。
全編を通して聞いても相当楽しめるのだが,白眉はMarvin Gayeの"What's Going On"からの"Wholy Holy"だろうか。これは曲の勝利って気がしないでもないが,Legendの声で聞くMarvin Gayeナンバーがまた心に沁みる。最後に収められたカバー曲ではない"Shine"がこれまたいいねぇ。これこそ私がLegendに期待する歌唱と言っても過言ではない。最後にこれを持ってくるところがにくい。作品中にはやや冗長あるいは凡庸に響く曲もないわけではないが,ゲストも好演でこれなら私には全く問題なしである。John Legendの最高傑作とは思わないが,これはこれで楽しめる作品であった。星★★★★。
Personnel: John Legend(vo, p) & the Roots: ?uestlove(ds, perc), James Poyser(key, org, xylophone), Cap'n Kirk Douglas(g), Owen Biddle(b) with Black Thoughts(vo), Melanie Fiona(vo), Common(vo), CL Smooths(vo) and Many Others


























































































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